第128話 購入した食材でお昼ご飯を
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市場でたくさん買い物をして、一度宿に帰ってくると時計は既に正午を指していた。そろそろご飯時だな。幸い、この宿は高級宿なだけあってなかなか広いキッチンがついている。
「さてっと、今日のお昼ご飯は何にしようかな。肉も魚も野菜も山ほどある。」
ここは一つ、みんなに何が食べたいか聞いてみようか。
「みんな、お昼ご飯は何を食べたいとか要望はあったりする?」
「お魚っ!!」
「自分は肉が食べたいっす!!」
まず最初、元気に声を上げたのはシアとグレイスの2人。魚が好きなシアは魚料理を希望していて、肉が好きなグレイスは肉料理を希望している。
「ミカミさんは何かありますか?」
「私は基本的に柊君のお任せでいいよ。ルカちゃんとリタちゃんに聞いてあげて~。」
「わかりました、じゃあルカとリタは何かある?」
「私は美味しければ何でも。」
「わたくしもお任せいたしますわ。」
「ん~……わかった。」
今回要望があったのは結局シアとグレイスの要望のみ。それが魚と肉とで2つに分かれていると……。これはなかなか難しいオーダーかもな。
「じゃあ質問を変えるんだけど、ルカとリタは魚と肉ならどっちの気分だ?」
「私はどちらかと言えば、魚料理の気分でございます。」
「わたくしは……お、お肉が食べたいですわね。」
淡々と答えたルカとは対照的に、リタは少し顔を赤らめさせながら言った。
「うん、ありがとう分かったよ。」
2人の今の気分を聞いたところで、俺はミカミさんの方に視線を向けた。
「ミカミさんはどっちの気分ですか?」
「私は~……そうだなぁ~、どっちかって言うとお魚を食べたい気分かな。」
「わかりました。じゃあ、さっそく料理を作りますね。」
みんなの要望を聞いたところで、さっそく調理に取り掛かることにした。まず最初に取り掛かったのは、先程購入してきたモノホーンフィッシュの調理だ。
「モノホーンフィッシュは血をしっかりと拭き取って、切り身にして塩と胡椒で下味をつけておく。」
モノホーンフィッシュに下味をつけている間に野菜を切っていこう。
「今回メインで使うのはオニオスとガリクで、サラダにはパリパリーフとさっき市場で買ったソルティマトマと、肉瓜を使おうか。」
ソルティマトマは、北の方の海辺にしか生えないというほのかに塩気を感じるマトマだ。肉瓜はすごく面白い野菜で、見た目はズッキーニのようなキュウリのような見た目をしているが、味がまるでベーコンのような、肉の味を感じる野菜なんだ。
「オニオスは均一な厚さにスライスしたものと、みじん切りにしたもので分けておく。ガリクは潰して香りを出してからみじん切りに……。ソルティマトマと肉瓜は角切りにして、千切ったパリパリーフと一緒にオーリオオイルで和えておく。」
かなりシンプルだが、サラダは一先ずこれで完成でいいだろう。野菜の味が美味しいから凝った味付けはいらない。さぁ、後はメインを完成させよう。
「まずはパスタを魔法瓶から出そう。」
そう思って魔法瓶を手にした時に、ふとある問題に気が付いた。
(……この魔法瓶の大きさじゃ乾燥のパスタは出せないか?長さが足りないよな。)
この場合どうなるのだろうと、疑問に思って試してみると、魔法瓶の中に乾燥パスタではなく、生パスタがポンッと現れたのだ。
「なるほど、こう来たか。これはこれでありがたい。」
今ひとつわかったのは、この魔法瓶の中に入りきらないようなものを望んだ場合……それに最も近く、中に納まりきるものが出てくるという事が判明した。これは良い発見だ。
「生パスタなら、茹でるのは直前でいいな。お湯だけ沸かしておこう。」
たっぷりの水を張った鍋を火にかけておいて、その横で今回作る予定の2種類のパスタソースを作っていく。
「今回作るパスタはボロネーゼと、ペスカトーレの2種類。」
ボロネーゼは市場で購入してきたマッドバッファローの挽き肉を使う。ペスカトーレは魚介を使ったトマトパスタだから、使う食材はモノホーンフィッシュとクラーケン、それとまたまた市場で買ってきたミスリルシュリンプっていう、すっごく殻の硬いエビを使う。ミスリルシュリンプはレヴァで解体して剥き身にしておいた。
「ボロネーゼの方は、挽き肉とみじん切りにしたオニオスを、オーリオオイルでしっかりと炒めて、湯むきした普通のマトマをつぶしながらじっくりと煮込んでおく。」
次はペスカトーレのソースを作っていこう。
「ペスカトーレのソースは、用意した魚介類とスライスしたオニオス、みじん切りにしたガリクをオーリオオイルで炒めて、こっちにも湯むきしたマトマを潰しながら入れて煮込む。」
一先ず大方の仕込みを終えたところで一息つくと、いつの間にかリタがこちらに来て、じっと煮込まれている鍋を見ていたことに気が付いた。
「何か気になることでもある?」
「す、すごく良い香りがしてて、どんなお料理を作っているのか気になっただけですわ。さ、さっきはお肉って言いましたけれど、こっちのお魚の方も美味しそうですわぁ……。」
「ま、おかわりできるようにソースは多めに作るから、こっちが食べたかったらおかわりすればいいさ。」
「おかわりしてもいいんですの!?」
「美味しく食べてくれるなら、いくら食べたってかまわないよ。」
そう言うと、急に上機嫌になったリタは、何かの鼻歌を歌いながらシア達が待っているテーブルの方へと行ってしまった。
「さて、じゃあそろそろ仕上げようか。」
2つのソースを塩と胡椒で味を決めた後、生パスタを茹でて、たっぷりとソースに絡めてから盛り付けてみんなのところへと運んだ。
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