第127話 王都の市場へ
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王都に着いてから2日目の朝、宿で提供された朝食を食べたあと、みんなで王都の市場へと赴いていた。この前行ったカーズラ名物の八百屋とはまた比べ物にならない程巨大で、まさに物流の中心地と呼ぶに相応しい場所だ。
「ほへぇ~、人すっご~。休日に行く築地市場みたい。」
「多分あそこと同じく、ここも物流の中心でありながら観光名所も兼ねてるんじゃないですか?」
「きっとそうだね。面白そうじゃ~ん。早速行ってみよ~!!」
この人混みでシアが迷子にならないように手を繋ぎながら、市場の中へと歩みを進めた。入り口から入ってまず最初にこちらを出迎えてくれたのは、様々な飲食店や屋台が並ぶ通りだった。
「あ、ヒイラギお兄ちゃん!!お魚さんの食べ物がいっぱい売ってる!!」
「食べたいものがあったら遠慮なく言うんだぞ?」
「え、えっと~……じゃあシア、あれが食べたい!!」
シアが指さしたのは、カップにたくさん入った小魚の唐揚げ。量も結構入ってるし、食べ歩きにはもってこいだな。
早速その屋台に並び、その小魚の唐揚げを購入してシアに手渡した。
「はい、食べて良いぞ。」
「お兄ちゃんありがとう!!いただきま~す!」
小魚の唐揚げを一本つまんだシアは、それを一口で頬張った。サクサクと小気味の良い音がこちらまで聞こえてくる。
「味はどうだ?」
「美味しいっ!!お兄ちゃんも食べてっ!!」
シアから一本小魚の唐揚げをもらって食べてみると、ほんのり塩気が効いていて魚の旨味が強く、骨までサクッと食べることができた。スナック感覚で食べるものいいだろうし、お酒のあてにもちょうどいい。
「うん、美味しいな。」
「シアちゃん、自分も食べてみたいっす~。」
「いいよ~、グレイスにもあげる~。」
「ありがとっす~!!」
いろいろと食べ歩きをしながら、道なりに奥の方へと進んでいくと、少しずつ飲食店が減り始め、食材を専門的に扱うお店が増え始めた。
「柊君、見てよあれ……大きい魚の解体ショーみたいなのをやってるよ。」
「本当ですね、ちょっと近くで見てみましょうか。」
「おっきいお魚さ~ん!!」
前方で魚の解体ショーのようなものをやっている魚屋さんに近づいてみると、大きな刃物で巨大な魚を解体していた店主が、威勢の良い声でこちらに声をかけてきた。
「いらっしゃいっ!!なんか魚をお探しかい?」
「うん、それもそうなんだけど、ずいぶん大きな魚を捌いてるな~って思ってさ。」
「こいつは、モノホーンフィッシュって魚だ。もともとは、そこにあるデカい角がついてたんだぜ。」
「モノホーンフィッシュって……確かマイネちゃんのお店で柊君が料理した魚だよね?」
「そうですね。」
「ん?あんたら、マイネさんのこと知ってんのか?」
「うん、いろいろ良くしてもらってるんだ。キミこそマイネちゃんとは知り合いなの?」
「この市場で店を出してる連中で、マイネさんのことを知らないやつはいないぜ。マイネさんが王都で店をやってた頃は、この店に毎日のように魚を買いに来てくれたんだ。」
マイネさんはこの王都じゃ、かなりの有名人のようだ。聞いた話だと、エミルのギルドにドーナさんが所属することになったから、マイネさんも王都からエミルに移ったらしいけど……。
あとで機会があれば、マイネさんが王都にいたころのお話なんかも聞けたらいいな。
「っと、さて……何を買うかは決まったかい?」
「え~っと、一先ずそのモノホーンフィッシュのお腹の脂がのっているところをブロックでください。」
「はいよっ!!他にはなんかあるかい?」
「その他は、お任せでお願いします。できれば赤身の魚と白身の魚を、両方選んでくれると嬉しいですね。」
「任せな、最高の魚を選んでやる。」
モノホーンフィッシュのブロックを切り取って紙で包装した後、店主はおすすめの魚を鮮度を確認しながら箱に詰め込んでいく。魚を詰め込んだ後、最後に氷で箱を満たしてこちらに持って来てくれた。
「はいお待ちっ!!」
「ありがとうございます。いくらですか?」
「金貨3枚半……と言いてぇところだが、たくさん買ってくれたし、あのマイネさんの知り合いらしいからな。金貨3枚でいいぜ。」
「すみません、ありがとうございます。」
親切に値引きまでしてくれた店主の人に改めてお礼を言って、代金を支払いお店を後にしようと後ろを振り返ると、そこには近くにある肉屋の従業員の人達や、八百屋の従業員の人達が詰めかけていた。
「え、え?」
「お兄さんら、もちろん今度はオレの肉屋を見てってくれるよなぁ?マイネさんが絶賛した美味い肉をたくさん揃えてるんだ。」
「美味い肉っすかっ!?」
肉というワードにグレイスがキラキラと目を輝かせる。
「抜け駆けすんじゃないよ肉屋のっ!!次はウチの八百屋を見てっておくれ。」
「あはは、大人気だね柊君。」
「こ、これ多分っていうか間違いなく、俺じゃなくてマイネさんの人気だと思いますよミカミさん。」
マイネさんの人気の高さに驚かされながらも、いろんなお店の人達の招待を断ることはできず、ついついたくさん買い物をしてしまった。
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