第126話 大量の白金貨を賭けたギャンブル
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ヘールメースさんはにこりと笑うと、側に控えていたバニーガールの人へ何か合図を送った。すると、彼女は一度部屋の外に出て行った。
「ポーカーやルーレット等のギャンブルでは、お恥ずかしい話……私共にはお客様に勝てる見込みがございません。ですから、今回はこんなギャンブルにいたしましょうか。」
彼が説明している最中に、先程部屋を出て行ったバニーガールの人が戻ってきて、大きな袋を3つテーブルの上に置いた。
「ここに更に白金貨が300枚ございます。こちらは一旦お客様にお預けいたします。」
「こんな簡単に大金を預けちゃって大丈夫なのかい?」
「ほっほっほ、問題ございません。お客様方はオークションに参加せざるを得ない状況のご様子ですから。」
「言えてるね。……それで?肝心のギャンブルの内容は?」
「今回のギャンブルは、お客様がお望みの品物を無事に落札できるか……それともできないかを予想いたしましょう。」
「あはは、なるほどね。そう来たかぁ~。」
「もし、お客様が落札できなかった場合、お客様の白金貨300枚とお預けした白金貨300枚……計600枚をお支払いしていただきます。」
「できた場合は借りた白金貨300枚を返すだけで良いってわけだね?」
「その通りでございます。」
ヘールメースさんの説明を聞き終えたミカミさんは、テーブルの上に乗せられた袋を全てこちら側に引き寄せた。
「その賭け、乗ったよ。」
「ほっほっほ、ではまたオークション当日……こちらの番号札を持ってお越しください。」
彼はこちらに12と番号が書かれた木製の札を手渡してきた。
「それはオークションに参加するのに必要な、参加証明書でございます。それが無いとオークションに参加することができませんので、くれぐれも無くさないようにお気を付けください。」
「オッケー、ありがと~。」
番号札は大切にマジックバッグの中にしまっておこう。
「さてと、じゃあそろそろ私たちはお暇しよっか。みんな待ってるしね。」
「ですね。」
そして立ち上がり、部屋を後にしようとしたその去り際に、ヘールメースさんがまるで独り言のようにあることを呟いた。
「そういえばこの王都には、全部で3か所のカジノがあった気がしますなぁ。当カジノほどではありませんが、そこそこお金を貯め込んでいる……と、あるお客様が仰っていたような。」
「あははは、親切にありがとう。行ってみるよ。」
そして俺達は改めてヘールメースさんにお礼を言って、カジノを後にした。その帰り道、ミカミさんが先ほどの彼の言葉について話し始める。
「いやぁ、最後の最後まで彼のサービス精神は素晴らしかったね。」
「最後、他にもカジノがあるって、独り言みたいに呟いてましたけど……。」
「あれはね、遠回しにあそこのカジノじゃなく、他のカジノでもう少し軍資金を荒稼ぎしといたほうが良いよっていう彼なりのアドバイスさ。」
「なるほど、確かにそうかもしれませんね。」
納得していると、ハッとなったリタがミカミさんに詰め寄った。
「そ、それって、まさかお父様とお母様を解放するには、白金貨600枚あっても足らないってことですの!?」
「彼の見立てだとそういう事なんだろうね。」
「白金貨600枚も出せるような貴族なんて、そうそういませんわよ。」
「その、そうそういない貴族が今回は参加するんだろうね。」
「そ、その貴族の方がお父様を嵌めた犯人っていう可能性は……。」
「もちろんあるよ。でも、真相は多分落札した後じゃないとわからない。」
「どういう意味ですの?」
「もし仮に、犯人がリタちゃんのご両親を欲しがっているとして、大金をつぎ込んでも落札できなかったらどうすると思う?」
「ど、どうするってどうにも……。」
「どうにでもできるんだよ。お金があるならその辺の荒くれ者でも雇って帰り際に襲わせる……な~んてこともできるし、やりようなんていくらでもあるんだ。」
「そ、そんなの外道のやり方ですわ。」
ミカミさんの話を聞いたリタは、人の道を外れたやり方に嫌悪感を抱いてしまったらしい。
「まっ、今は彼の助言通り、できる準備はしておこう。確実にキミのご両親を手に入れるためにね。」
「わ、わたくしも微力ではありますけれど、お父様とお母様を救うために頑張りますわ。」
リタは今日カジノで稼ぐことのできたお金を両手でぎゅっと握りしめた。そんな彼女の仕草を見たミカミさんは、彼女の緊張を解くようにケタケタと笑いながら言った。
「あはは、リタちゃん。ご両親を助けるためだからって、あんまりギャンブルにのめりこんじゃダメだよ~?依存症になっちゃったら後が大変だぞぉ~。」
「で、でもわたくしも頑張らないと……。」
「稼ぐぞ~って意気込んでギャンブルに挑むと、そういうときに限って大負けするものさ。な~んの気兼ねもなくやった方がいい結果になることの方が多いよ。」
ぐぐ~っと背伸びをしながら、ミカミさんはリタにアドバイスを送った。
「まっ、オークションまでは時間があるんだし、ゆ~っくり準備しよ~。」
終始、緊張感の欠片もないミカミさんと、不安そうな表情を浮かべているリタと一緒に他のみんなが待っている宿へと帰るのだった。
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