第124話 VIPルームにご案内
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人生初のギャンブルで大勝ちしてしまった後、他にはどんな賭け事があるのか周りを見て回ってみると、ポーカーのようなトランプを使った賭け事のテーブルにリタが必死の形相で座っているのが見えた。
「あ、リタちゃん発見!!ポーカーやってるみたいだね。」
「どんな感じですかね。」
リタの後ろに立って様子を見てみると、彼女の手にある5枚のカードの内3枚が同じカードという状況だった。チラリとテーブルの隣に書いてあるルール表に目を向けてみると、今のリタの状況はスリーカードという状況らしい。今の手札でディーラーの手札に勝った場合、掛け金が3倍になって返ってくるようだ。
「こ、ここでオールインですわ!!」
自分の手札に自信を持っているリタは、すべての所持金を賭けた。そしてディーラーがカードを公開すると、ディーラーの手札はツーペア。この勝負はリタの勝利のようだ。
「では金貨10枚の3倍ですので、金貨30枚をお渡しします。」
リタが賭けた10枚の金貨が30枚に増えて彼女の手に戻ってくる。
「ふ、ふふ、やりましたわ。」
「大勝ちしたじゃんリタちゃんも。」
「あっ、貴方がたちょうどいいところに来ましたわね。先ほどお借りした金貨10枚……しっかりとお返しさせていただきますわ。」
「ん、確かに受け取ったよ。せっかくだから俺も一回遊んでいこうかな。」
「わたくしも、この残った金貨20枚をさらに増やしてみせますわ!!」
リタの隣に座って、今しがた受け取った金貨を10枚テーブルの上に置くと、俺にもカードが配られてきた。
「さて、何が来たかな?」
いざ配られたカードを確認してみると……配られてきたカードは、すべて同じマークのカードで、数字が1~5番まで階段状になっている。
「ん?この役は……。」
チラリと役が書いてある表に目を向けると、今の俺の手札の役はストレートフラッシュと書いてある。倍率は驚異の50倍……本当に今日の運はどうなっているんだ?
「うはぁ、柊君。いい手札引いたね。」
「これ、このままでいいですよね?」
「うん。寧ろこれより良くなることは無いと思うよ。」
「じゃあこのままにします。」
「わたくしは3枚交換しますわ。」
リタは手札を3枚交換して、ニヤリと笑った。どうやらいい手札が来たらしい。そしてディーラーが自分の手札を公開すると、その手札の中で出来上がっていた役は、フルハウスというスリーカードとワンペアの2つの役が同時にある強い役だった。
「わたくしもフルハウスですわっ!!こ、この場合はどうなりますの?」
「お客様のスリーカードの方が強いので、この場合はお客様の勝利となります。」
「や、やりましたわっ!!」
今度リタの手元には、賭けた金貨10枚の7倍……合計金貨70枚が舞い込んできていた。リタにお金を渡した後、ディーラーは俺の方に視線を向けてきた。
「お客様の手札を見せて頂けますか?」
「あ、これです。」
いざ自分の手札を公開すると、その場にいた人達の中でどよめきが起こった。
「す、ストレートフラッシュ……でございますね。倍率は50倍ですので、白金貨5枚のお返しとなります。」
「え、えぇっ!?す、すごいですわっ!!」
大勝ちした嬉しさを通り越して、自分の運が少し怖くなってきた俺は、ポーカーは一回で終わりにすることにした。席を立ちあがって後ろを振り返ってみると、そこには本物のウサギの耳を頭から生やした、正真正銘のバニーガールが飲み物を片手にこちらを見つめていた。
「は~い、お兄さん?今日はずいぶん調子が良いみたいね~?さっきルーレットでも大勝ちしてたでしょ?」
「マグレですよ。ビギナーズラックってやつです。」
「うふふっ、その運……もっとイイ場所で試してみなぁい?」
「イイ場所?」
「お連れのお嬢ちゃんと一緒に、お姉さんについておいで♪」
自分の体を強調するような歩き方で歩き出した彼女……。俺はミカミさんにどうするべきか相談を持ち掛けた。
「ミカミさん、どうしましょうか?」
「柊君、これはきっと挑戦状だよ。普通ならあんまり乗るべきお誘いじゃないかもしれないけど、キミなら何の問題もないさ。」
「……わかりました。」
「リタちゃんも一緒に行くよ~。」
リタのことも連れて、あのバニーガールの人の後に続いていくと、真っ赤な扉の前に案内された。
「お兄さん達は特別にぃ~、VIPルームにご案なぁ~いで~す。」
彼女が扉を開けると、そこには整った白ひげに紳士服をビシッと着た初老の男性が立っていて、俺たちの姿を見るなりぺこりと大きくお辞儀をしてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。私、当カジノの支配人のヘールメースと申します。」
「ほむほむ、支配人直々のお呼び出しってわけだ。」
「いやはや、お客様が今までに例がないほどの運を見せつけてくださいましたので、ぜひその運を間近で見たいと思い、ご招待させていただきました。まま、立ち話もなんですから、どうぞおかけください。」
ヘールメースさんに促されるまま席に座ると、ここまで案内してくれたバニーガールの人がオシャレなグラスに飲み物を注いで持って来てくれた。
「お飲み物どうぞ~。」
「ありがとうございます。」
その飲み物を飲んでみると、フルーツの味が強いカクテルのような味わいで、ほのかにアルコールも感じられた。
「さて、せっかくですから、一つ私とポーカーで遊びませんか?ここはVIPルームですから、賭け金の上限はございません。お好きなだけ賭けて頂いて構いませんよ。」
「へぇ?破産しちゃっても……責任はとれないよ?」
「ほっほっほ、ご安心ください。お金はたんまりとございますので。」
「よしきたっ!!柊君、さっき儲けた白金貨5枚賭けちゃお?」
「わかりました。」
白金貨を5枚賭けると、ヘールメースさんは不敵に笑い、こちらにカードを配ってくれた。
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