第122話 王都到着
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王都の近くに着いたところで、マジックバッグに入っているシア達にも出てきてもらい、みんなで関所の長い列の最後尾に並んだ。
「いやはや、流石は王都って感じ。関所での身分確認も厳重…………あ、待って。ちょっと不味いかも?」
「どうしました?」
「シアちゃんってさ、入国許可証持ってないよね?今までの町は、警備が割とガバガバだったからシアちゃんも入れてたけど……ここはちょっと不味いかも。」
うむむむ……とミカミさんが唸りながらどうするか考えていると、ハッと何かを思いつき、どこからともなくあの分厚い辞書のようなものを取り出して、パラパラとページを捲っていく。
「えっと、入国許可証……あった!!柊君、魔法でコレを複製してくれないかな?」
「なるほど……そういう事ですか。」
「複製する時、シアちゃんの名前とかそういうのもしっかりイメージしてね。」
「わかりました。やってみます。」
ミカミさんが見せてくれた入国許可証の見本を頼りに、想像魔法で入国許可証を複製していく。そして出来上がったものをミカミさんに手渡した。
「こんな感じで良いですかね?」
「どれどれ〜?」
魔法で作り上げた入国許可証を、見本のものと見比べたミカミさんは大きく頷いた。
「うん、大丈夫だと思うよ。判子の形もバッチリだしね。」
それから10分ほど待って、俺達の番が回ってきた時、先程作ったばかりのシアの入国許可証を差し出してみると……。
「……よし、通って良いぞ。」
「ありがとうございます。」
驚くことに、一切疑われることなく通ることができた。ちなみにグレイスも首輪を見せることで、王都に入る許可を得ることができた。
関所から少し歩いたところで、俺の方を見てミカミさんがニコリと笑みを浮かべた。
「大丈夫だったね柊君。」
「けっこうドキドキしましたよ。」
「バレたらちょっと不味かったもんね。さてさて、何とか無事に入れたことだし、ちょっとオークション会場の視察でも行こっか。」
「それも行きたいところですけど、どこか宿を取りたいですね。これだけ人が多いと……夜になったら部屋が埋まっちゃいそうで。」
「確かに、じゃあ先に宿から見つけよう。」
王都の人混みに揉まれながら宿を探し始めるが、少し安い宿は大半が満室で泊まることができなかった。
仕方なく、外観から高級感の漂うホテルのような宿に足を運ぶと、幸いなことにまだ空きがあったらしく、3部屋確保することができた。値段は1泊金貨5枚とかなりお高めだが、その分設備や施設も充実していて、一部屋一部屋に今回は浴槽がついているので、お風呂にどっぷりと浸かることができる。
一先ず借りた部屋に入って内装を確認していると、俺と手を繋いでいたシアが大きなあくびをした。
「今日はけっこう歩いたから、疲れちゃったか?」
「うん……。」
「じゃあシアちゃんのことは、ルカちゃんとグレイスちゃんに任せて、私達はオークション会場の下見に行ってこようか。」
「ですね。グレイス、シアのことをたのんだぞ?」
「了解っす!!」
体が沈み込むような、ふっかふかの大きなベッドでシアを寝かしつけた後、俺とミカミさんは外に出た。すると、ちょうど部屋から出てきたルカとリタと出くわした。
「ルカ、シアが寝ちゃったから、面倒を見てやってくれ。」
「かしこまりました。」
「リタちゃんは、私達とオークション会場を下見に行こ?」
「わかりましたわ。」
そして俺とミカミさん、リタの3人でオークションが開かれるという場所の下見へと向かった。
「うひゃ~、この王都に来たときから思ってはいたけど、とんでもない人の数だね。」
「まるで東京みたいです。」
「とうきょう?どこかの地名ですの?」
「東の方に昔あった都市の名前さ〜、そこもすごく人の往来が激しい場所だったんだ。」
「そうなんですのね……あ、そ、そういえばお礼を言うのを忘れていましたわ。私の宿までとってくれて感謝いたしますわ。」
「良いってことさ〜。これも初期投資ってやつだよ。」
そんな会話をしながら、地図を手にオークション会場を目指していると、どんどん人気のない路地の方へと歩いていくことになる。
地図に記されていたオークション会場の場所にたどり着くと、そこには地下へと続く階段がポツンと設置されていた。
「この下がオークション会場なんですかね?」
「恐らくね。えっと〜、合言葉はゴミの中にも光るものありけり。だったよね?」
「ですね。」
階段を下っていくと、その先には扉が一つだけあった。その扉をノックすると、扉に設置された覗き窓が開き、奥に2つの目が見えた。
「…………合言葉。」
「ゴミの中にも光るものありけり〜。」
ミカミさんが合言葉を口にすると、覗き窓からこちらを見ていた人物によって、その扉が開かれる。
「入っていい。問題は起こさないように。」
「はいは〜い、ありがと〜。」
扉の中に入ると、まず目の前に飛び込んできたのは、人々の歓喜の声と悲痛な声で賑わう巨大なカジノだった。
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