第118話 没落の真相
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アサシンギルドの長を無力化した後、ルカが机の下に隠れていた他の重役達を引きずり出し、一人一人意識を刈り取っていく。
その途中、後ろで一部始終を見届けていたリタが何かに気づき声を上げた。
「あぁっ!!そ、その人……。」
リタは重役の中の1人を指差して、ふるふると体を震わせていた。何やら知り合いのようだ。
「知り合いか?」
「そ、そんな親しい間柄じゃありませんわっ!!こ、この人はお父様に借金を肩代わりさせて消えた男ですわっ!!なんでこんなところにいるんですのっ!?」
「ははぁ~ん?な~んか少しずつ分かってきたぞぉ~。ルカちゃん、一先ず全員縛り付けてくれる?」
「かしこまりました。」
ミカミさんからの指示を聞いて、ルカは重役たちと長を縛り付けていく。その途中で、ルカはすっかり慣れた手つきで重役たちの懐から財布や暗器等々、金目のものを抜き取っていた。
「拘束完了しました。暗器や金目のものはこちらに。」
「はいは~い、ありがとルカちゃん。」
ミカミさんは、リタが没落してしまった原因を作った男の顔に近づくと、思いっ切り引っ叩いた。
「起きろ~っ!!聞きたいことが山ほどあるんだけど~?お~い!!」
べちべちと鈍い音を響かせながら、ミカミさんが男の顔が真っ赤になるまで叩き続けると、ようやく男は目を覚ました。
「い、いだっ……いでっ!?」
「やっと起きたね~。」
「お、起きたっ!!起きたから叩くのやめ……。」
男が目を覚ましたことを確認すると、ミカミさんは最後のおまけに思いっ切りフルスイングで男の頬を引っ叩いた。
「ぶべっ!!」
「さてさて、キミには今からいくつか質問をさせてもらうよ。一つでも嘘を答えたら……すっごく痛~い目に遭ってもらおうかな。」
「ぐ、うぅ……。」
「じゃあ早速、まず最初の質問だよ。キミはあそこにいるリタちゃんを知っているね?」
ミカミさんの問いかけに男は表情を曇らせながらも頷いた。
「じゃあ次、キミはどうして借金を抱える羽目になったのかな?」
「そ、それは……。」
男が答えを口にするのを渋っていると、ルカが重役たちから取り上げた一本の短剣を手に取って、男の顔すれすれ目がけて投げつけた。
「ひっ!?」
「今回は警告だ。次から答えを迷う度に体に一つ穴が増えると思え。」
「わ、わかった。話す、わ、私はそこの長から金を借りた。」
「ふむ、アサシンギルドの重役ならお金には困ってないんじゃない?身なりもずいぶん良いみたいだし、お財布にもたっくさんお金が入ってるねぇ。」
彼の財布を開けてさかさまにしてみると、白金貨が3枚ほどころころと転がり落ちてくる。
「借金してる人がさぁ~、白金貨を財布に入れてるんだね?」
「く、そ、それは……。」
「あぁ、いいよ。キミは私の質問に答えてくれるだけでいい。それ以外は何も話さなくていいよ。」
ミカミさんは彼の言葉を遮ると、また質問を再開した。
「次の質問、なんでお金を持ってるのに、お金を借りたのかな?」
「それは……それは、ヴェイルファースト家の人間を……。」
「人間を?」
「全員奴隷市に流すため……だ。」
その答えを聞いたリタは一歩前に踏み出すと、怒りで声を震わせながら、男に向かって問いかける。
「貴方は……最初からヴェイルファースト家を貶めるためにお父様に近づき、ヴェイルファースト家の善意を弄んだのですわね。」
そう言いながらリタは腰に差していた細身の剣を抜いた。そして今にも切りかかりそうになっている彼女を、ミカミさんが優しい言葉で引き留める。
「リタちゃん。キミの怒りはご尤もだよ。でもね、ここで彼を殺してしまったら、キミのご両親に関する情報も全部コイツが持ったまま天に召されちゃう。」
「でもっ!!」
「大丈夫。私に任せて、コイツをこのままになんてしないから。」
何とかリタのことを宥めたミカミさんは、少し真剣な表情になって男に質問を再開した。
「さ、次の質問に移ろう。何でヴェイルファースト家の人達を奴隷市に流そうなんて企てたの?」
「それは……アサシンギルドにそんな依頼が舞い込んできたんだ。」
「ふぅん?依頼人は?」
「それは本当にわからない。差出人は匿名だったが……前金で白金貨が50枚も支払われていた。成功報酬はそのさらに倍払うと……。」
「……ルカちゃん、探して。」
「かしこまりました。」
ルカが部屋の中をくまなく探し回ると、長の物とみられる机の鍵のかかった引き出しの中から、一枚の依頼書を発見する。
「ありました。おそらくこちらかと。」
「はい、ありがと~。」
ミカミさんと一緒にその依頼書に目を通してみると、依頼の内容はさっき男が話した通り、ヴェイルファースト家の人間を没落させ、奴隷市へと流してほしいと記載があった。依頼人の欄には名前が記載していない。
「この依頼主はどうして、ヴェイルファースト家の人間を奴隷にしようとしてるのかな?」
「それは本当に知らないっ!!何も知らないんだ!!」
「そっか、でもまぁいろいろ予想はできる。わざわざ奴隷にしたことには、もちろん意味はあるだろうからね。」
それからミカミさんは、男に奴隷となってしまったリタの両親はどこに行ったのか等々、必要なことを全て聞き出すと、ルカにまた男を気絶させてもらっていた。
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