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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第107話 新サービス 予約注文

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 めでたく在庫も全て無くなったので、お店の片付けを進めていると、残念ながら今日買いそびれてしまった子供連れの家族の母親が、申し訳なさそうに声をかけてきた。


「あ、あの……もう全部売れてしまったんですか?」


「すみません、用意した分は全て……。」


「あぁ……そうですよね。また来ます。」


 子どもと一緒にすごく残念そうに、悲しそうに去ろうとしたその親子に、ミカミさんが待ったをかけた。


「あ、お母さんお母さん、ちょっと待って〜。」


「なんでしょうか?」


「実は、今ちょうど次の新しいサービスについて考えてたんだけど、すごく良い案が降りてきて〜……。」


 そしてミカミさんは真っ白な紙に、サラサラと何かを書いていくと、それをその親子に手渡した。


「はいっ、これどーぞ。」


「これ……は?」


「不幸にもお菓子を買えなかった人……それと、お店が開いてない時にも、このお店のお菓子を食べたい人向けの、予約注文サービスだよ〜。」


 そう話しながら、ミカミさんはチラリとこちらに目を向けてくる。その視線が何を意味しているのか察した俺は、コクンと1つ頷いた。


「うんっ、そういうことで〜、良かったら一番最初に予約注文してきませんか〜?」


「ぜ、是非お願いします!!」


「は〜い、それじゃあこっちの紙にお名前をお願いしま〜す。商品受け渡し当日のキャンセル防止のため、代金は先払いでお願いします〜。」


 そんなやり取りをミカミさんがやっていると、触発された人々が予約注文をするために、ミカミさんの元へと群がり始めた。


 この分だとまた今日も仕込みをしないといけないかな……と心の中で思っていると、こちらに小走りでミースさんが駆け寄ってきた。


「ヒイラギさん、お話……聞きましたよっ。」


「ミースさんも注文していきますか?」


「あ、それはもちろんお願いしたいんですけど、それに関して1つ提案があるんです。」


「提案……ですか?」


「はいっ、その提案なんですけど、予約注文のリストと受け渡し作業をギルドで行うのはいかがですか?って。」


「え、そこまでしてもらって良いんですか?」


「全然大丈夫ですっ!!……で、でももし良かったら、その〜……定期的にギルドにお菓子の差し入れとか頂けると嬉しいなって、お、思います。」


 どちらかといえば、最後に語られた方がミースさんの本心かもしれない。でも、お菓子を差し入れるだけで、予約注文を管理してくれるなら全然こちらとしてはありがたい話だ。


「わかりました。じゃあお願いしてもいいですか?」


「お、お任せくださいっ!!私、ミースっ、及び受付嬢一同、責任を持ってやらせていただきます!!」


 ビシッと敬礼したミースさんの頭に、ドーナさんがぽふっと手を置いて、少し呆れながら言った。


「ヒイラギの営業に力を貸すのは結構だけど、ちゃんとギルドの仕事もやってくれるんだろうねぇ?」


「も、もちろんですよドーナさん。……ってあれ!?その手に持ってるのって……。」


「ん?あぁ、今ちょうどミカミに予約注文してきたところだったよ。」


「わ、私も行って……あ゛っ、その前にミカミさんともお話をつけてこないとぉっ!!」


 忙しなくミースさんは、パタパタとミカミさんの方に駆けていって話をつけた後、予約注文をした人達に受け渡しはギルドで行う旨を告知していた。


 その様子を片付けをしながら眺めていると、こちらにミルタさんも歩み寄ってきた。


「いやはや、お疲れ様でした。とても美味しいものをご馳走して頂きました。」


「美味しく食べてもらえたなら何よりでした。」


「あれは、美味しいなんて言葉では表現が足りませんぞ!!私も世界のいろいろな場所を巡ってきましたが……あれほど美味しく、凝ったお菓子は初めて頂きました。」


「あはは、そんな……過褒ですよ。」


 俺が作ったお菓子を絶賛してくれたミルタさんは、真剣な眼差しでこちらにスッと手を伸ばし、握手を求めてくる。


「改めまして、はじめまして……私、ミルタ商会会長のミルタと申します。貴方とは良いお話が出来そうで、今から楽しみですぞ。」


「柊です。よろしくお願いします。」


 お互いに自己紹介をしながら、ガッチリと握手を交わす。


「もうすぐ片付けが終わるので、後少しだけ時間をください。」


「ゆっくりやって頂いて結構ですぞ。私も、今のうちにヒイラギさんやミカミさんが求めそうな物を、リストアップしておきますので。」


 ペコリとこちらに軽く頭を下げると、ミルタさんはまた座っていたテーブルの方へと戻っていく。それを見送ると、ドーナさんにポンッと肩を叩かれた。


「良かったじゃないかヒイラギ。ずいぶんミルタに気に入られたみたいだよ。」


「気に入られた……んですかね?」


「あぁ、ミルタは自分が気に入った奴としか取引はしない。ギルドと取引してくれてんのも、アタシとミースがいるからなのさ。」


「そうなんですか……。」


「まっ、ミルタに気に入られて悪いことはないよ。むしろ良いことが舞い込んでくるからねぇ。」


 それからお店の片付けを終わらせた後、シアとグレイスとルカの3人は、一度休んでもらうために宿に戻ってもらい、俺とミカミさんはミルタさんとの話し合いに臨むのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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