第106話 ミルタ来訪
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次々に舞い込んでくる注文をテキパキと捌いていると、あっという間にドーナさん達の番が回ってきた。
「やぁやぁ、みんなお揃いでいらっしゃい!!」
「繁盛してるみたいだねぇ〜。」
「おかげさまでね〜。」
そんな会話をしながら、ミカミさんはドーナさんとミースさんの隣にいる男性に目を向けた。
「ところで、こちらの人は?」
「はじめまして、私、ミルタ商会を取り仕切っております。ミルタと申します。」
その中年の男性はそう自己紹介をしながら、ペコリとミカミさんに頭を下げた。
「親切にどうも〜、ミカミで〜す。」
「ドーナさんからお話は伺いました。何やら獣人族の国の食料を求めているとか。」
「うんうん、そうなんだよ。どうしても欲しい物があるんだ。」
「わかりました。今はお忙しそうですので、商談は後ほどで如何でしょうか?」
「オッケー、柊君にも伝えておくね。」
そう話した後で、ミカミさんは早速注文を伺っていく。
「さてと、じゃあじゃあ早速注文をどうぞ〜。今日はこんなサービスもやってるから、良かったら利用してみてね〜。」
「わっ、大銀貨1枚以上の購入で1個好きなドーナツが貰えますよドーナさん!!」
「ほぉ〜、ちょうどケーキは買うつもりだったし、ちょうど良いねぇ。ミルタは何にするか決めたかい?」
「いやはや、このメニューにあるお菓子のどれもが聞いたことのないお菓子でして、どれが良いのか……。」
「アタシのオススメは、やっぱりこのフルーツケーキだね。あ〜、でもドーナツもプリンも美味いんだよ。」
「ふむ、なるほど……では、せっかくですから、全部1つずつ頂きましょうかな。」
「ミルタ、全部1つずつって言ったって、種類がめちゃくちゃあるよ。」
「うむむむ……やや、悩ましいですなぁ。」
ドーナさんとミースさんは先に注文を済ませ、ミルタさんはメニューをじっくりと眺めた後、まだ悩みながらもミカミさんに注文を伝え始める。
「ま、まずはケーキを……。」
「ケーキはホールとカットとありますけど、どちらにしますか〜?あ、ホールはこんな感じで丸々1つの塊で、カットは6分の1カットしたものになりますね〜。」
「ホールならば、カットを6つ買うよりも大銀貨1枚分お得ですか……では、せっかくなのでホールをお願いします。」
「はーい、ホールケーキが1つですね〜。」
「その他に、プリンを1つと……プレーンドーナツを1ついただけますか?」
「ありがとうございま〜す!!プリンはこの場で召し上がりますか?」
「はい、お願いします。」
「柊く〜ん、オーダー入ったよ〜。」
「ありがとうございます。すぐに作りますね。」
すぐにドーナさん達の注文したお菓子を用意して、グレイスに手渡した。
「ほい、これはドーナさん達のだ。」
「了解っす!!」
パタパタとグレイスが飛んでいったのを横目で追っていると、ドーナさん達が座っている席に運び入れる場面を目にすることができた。
ドーナさんとミースさんは、前回プリンとドーナツを食べているし、昨日はケーキも試食してくれてる。だから、運び入れられたケーキとプリンを見ても、目をキラキラと輝かせるだけだが……ミルタさんは、驚愕しながらカッチリと固まってしまっていた。
そんなミルタさんの肩をドーナさんがポンポンと叩くと、ようやく固まっていた彼も動き出して、ケーキを箱から取り出して眺めたり、プリンをじっと見つめている。
しばらくの間眺めた後、ドーナさん達がケーキやプリンを美味しそうに食べているのを見て、彼もプリンをスプーンで一口食べた。すると、一瞬にして彼のお皿からプリンが消え、その様子を見たドーナさん達がケタケタと笑っているのが見えた。
「うん、反応は上々みたいだな。」
ミルタさんが何かに取り憑かれたように、プリンを平らげ、ホールケーキとドーナツをも食べ始めてしまうところを眺めていると、お菓子を運んだグレイスが戻ってきた。
「戻ってきたっす〜。」
「おかえりグレイス。」
「あの男の人、ヒイラギさんのお菓子が美味しすぎてビックリしてたっすよ。」
「そいつはよかった。にしても、定期的に来るって言っていた日よりも、今回は早めにギルドを訪れたんだな。」
ドーナさんが言っていた日にはまだ時間があったはずだが……まぁ、今日は案外ちょうど良いかもな。俺達がこういう物を売ってるって、知ってもらえる良い機会だ。
「あの人と話す時間を作りたいけど……まだまだお客様がお待ちだな。」
まだまだ列は長く続いてる。それに、用意した在庫もたくさんある。だが、このペースで売っていけば、前回と同じく予想よりも早い時間で売り切れるはずだ。
「柊君、次はカットケーキ2つとプレーンドーナツね。」
「はい、ミカミさん。」
あのミルタさんって人のことも気になるけど、今は今で営業に集中しないとな。俺は気持ちを切り替えて、舞い込んでくる注文を捌く事に集中することにした。
嬉しいことに、一度お菓子を食べてくれた人達が、もう一つ……もう一つと再び列に並んで買い求めてくれたことで、どんどん作っておいた在庫は売れていき、お昼を少し過ぎた位にはケーキの在庫も、プリンとドーナツの在庫も1つ残らず無くなった。
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