第3話 日々の過ごし方を考えよう
よろしくお願いします。
一週間後。
「やることがない」
俺は自室のベットの上でクネクネしていた。
すぐに部屋は見つかった。新しめの集合住宅の一室。広さも十分でベットとタンスもある。
それまでは良かった。
俺はほとんど外に出ず、ベットの上で過ごしていた。お腹が減ったら冒険者用の携帯食料と水を口にするだけ。外出も大衆浴場に行く時くらいだ。
「時間が……時間が余る」
昔は宮廷魔術師として働いていたので、暇な時間なんてなかった。今は労働の必要がないので、丸一日余ってしまう。
時間の潰し方が分からない。
ベットの上でゴロゴロして天上のシミを数える毎日。
「このままではダメだ。とりあえず外に出よう!」
俺はベットの上から跳ね起き、外へと出た。
それから数時間後。
「青いな……」
俺は公園のベンチに座って空を見上げていた。
どうしてこうなったのかというと、ちょうど疲れた時に公園のベンチが見えたからだ。
少し歩くだけで疲れた。今の俺は変身魔法で姿を変えているのだが、反動で体力も衰えているのだ。
ベンチに座ってもう1時間くらいにはなる。その間ずっとボーッとして空を見ていた。
空を見ていると、「空ってこんなに青かったんだなぁ」と当たり前な感想が出てくる。
今までだって何度も見てきたはずなのに、空の青さや雲の白さが真新しく思えた。
頬に当たる風も気持ちが良い。そういえば季節は秋だったということに気づく。暑さも和らぎ、涼しい風が吹いている。
「ほんと悪くはないなぁ」
時間がゆっくりと流れて、その中で今まで見落としていたことに気づく。
これがスローライフか。
「そろそろ帰るか……」
流石に長居しすぎた。さっきから子供がチラチラと見てくる。不審者だと通報されかねない。
いや、不審者どころか犯罪者なんだけどね。
「……ん?」
しかし、その子供はやけに俺を見てくる。
不審がっているというより、助けを求めるような視線だった。子供は今にも泣きそうな表情をしている。
俺はベンチから立ち上がり、子供に近づくことした。
そこには子供一人に、もう一つ別の生き物がいた。
随分と衰弱した一匹の猫がいた。
ありがとうございました。
次の話もできるだけ早く投稿したいです。