表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/34

第15話 人生を楽しもう

よろしくお願いします。



 それから二週間。

 俺たちはダンジョンを攻略し続けていった。

 凶暴なゴーレムとの死闘を繰り広げ、

 巨大な迷路を慎重に進み、

 複雑なトラップを解除しながら、

 豪華な城、優雅な滝、煌びやかな水晶が作り出す光景に目を奪われ、

 なんやかんやで80階まで到達していた。

 途中で手に入れた情報では100階が最深部らしい。


「かんぱ~い」


 レノンが企画した『80階到達記念』ということで俺たちは酒場に来ていた。酒に料理をテーブルに並べ宴会を始める。


「ぷはーっ。酒がうまい! こんなにうまい酒は久しぶりだっ!」


 ミンウェルは豪快に酒を一気飲みする。レノンは酒だけではなく、料理を片っ端に食べている。見ていて気持ちの良い飲みっぷり、食べっぷりだ。


「やはりアレだな。ダンジョン攻略は達成感がある。一仕事を終えた後の酒ほどうまいものはないなぁ!!」


「酔うの早いな……。まだ一杯目だろ」


「ああん? テンション低いぞ! エル(※エドルスの偽名)ももっとテンションを上げていけ! 普段のダンジョン攻略の時みたいにな! かなりイキイキしていたぞ!」


「……そんなにイキイキしていたか? 俺?」


 首をかしげる俺に、今度はレノンが喋りかけてくる。


「ええ。マスター。かなりダンジョン攻略を楽しんでいましたよ。攻略ルートを考えている時とか罠を解除している時とか、子供みたいに無邪気で可愛らしかったです」


「マジか。攻略に夢中で気づかなかったな」


「ほら。夢中になっていたんじゃないですか。それはつまり楽しかったってことですよ」


 確かにそうだ。

 反論できない。


「そうだな。ダンジョン攻略は確かに面白かった。どの道を進むべきか考えて、モンスター相手に合わせた戦略を練る。結果も目に見えて分かるから成果を実感しやすい……うん、性に合っているのかもしれないな」


 と、自分の言葉に驚く。

 何かを面白かったと口にするなんて思いもしなかった。

 今までの人生でも、モンスターと戦ってきたこともダンジョンを攻略したこともある。しかし、そのときは何も感じなかった。任務だったからだろうか。


 今もそうだ。

 次々と運ばれてくる料理を食べながら思う。

 レノン達と下らない話で盛り上がりながら、思う。

 ご飯が美味しいってことも、誰かと会話して盛り上がるってのも、今までの人生ではなかったことだ。

 

 いつの間にか、自分は全く違う場所に来てしまったらしい。

 酒で酔った頭で、そんなことを考えた。


 ◇

 夜。ミンウェルと別れ、宿屋に戻ってきた。レノンは酒が回ってきたのか、直ぐに猫の姿に戻って寝てしまった。

 俺はというと、窓際に腰掛けて外を眺めていた。

 柄にもなく黄昏れている。 

 外の景色は面白くともなんともない。

 ただ「夜は暗いなぁ」と当たり前のことを思うだけだ。

 しかし不思議と新鮮味を感じてしまう。

 今まで外の景色とかも意識してこなかったからだ。

 

 時間がゆっくりと流れている。

 スローライフの定義が「時間がゆっくりと過ぎること」なのかはともかく、この緩慢な時間の中だからこそ、色々と考えてしまう。

 確かに自分の中で変化が生じている。

 何か、たぶん重要な何かを、掴んでしまいそうな気がする。

 

「昔の俺に教えたら驚くかな……」


 なんて下らないことも考える。

 

 ……ふいに昔のことを思い出す。

 子供の頃の記憶だ。

 たいてい嫌な記憶で、しかも嫌な記憶というのは、一度掘り起こされるとなかなか消えてくれない。

 俺はいやいや昔のことを思い出すはめになった。


次回から過去編です。

そろそろストックが切れるので、次の話が投稿できた後は、また暫く投稿まで間が空きます。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ