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第14話 ダンジョンに挑もう

よろしくお願いします。

前話でキャラの名前に間違いが合ったので直しました。

 

 ドーリス・カーマン

 人族。男性。

 あらゆるものを作り出す『創成』魔術の使い手。危険な魔術を研究してきた、ある魔術師一族の末裔。一族の研究の成果として、彼は生まれた。

 『創成』魔術で作れるものに上限はない。理論上は。武器でも金でも人でも何でも作ることができた。しかし魔術の発動に大量のエネルギーを必要とし、そのエネルギーは周囲から無尽蔵に吸い上げて発動する。

 ドーリスは自身の魔術をコントロールできなかった。実験の結果、自分の肉体に植え付けられた魔術ゆえに、自分から切り離すこともできない。

 発作を起こしたように魔術が暴走する。そのたびに周囲からエネルギーを奪い、土地を枯らし、人の生命力を奪う。『創成』魔術で作り上げられたモノも危険なモノばかり。

 彼はその危険性から一族からも追放された。

 以後は周囲の人間から迫害され、時には利用されてきた。


 そんな彼を俺は王国の襲撃に誘った。「世界をめちゃくちゃにしてやろう」と。

 結果は失敗だった。

 しかし、「少しは満足できたよ。こんな僕でも社会に、自分の手で傷を付けられた」とドーリスは満足げだった。

 別れる時。彼は改めて自分の魔術の使い道を探してみると言っていた。

 どうにも俺と一緒に戦う内に、『何か掴めた』らしい。

 自分の魔術をコントロールする術を見つけたのだろうか。


「しっかし、まさかダンジョンを造ってしまうとはな」


 俺は街にできた『塔』を見上げて言う。

 都市フリューネに突如として出現したダンジョン。通称『塔』

 六階建てのレンガ作りの塔であり、外見に反してダンジョンへの入り口は一階にあり、地下へと続いている。地下には異空間が広がり、現在の最終到達点は45階。しかもまだ先があるらしい。

レアなアイテムや武器が入手できることから、連日冒険者たちが挑んでいた。彼らのサポートのためにアイテム屋なども押し寄せ、塔の周りには多くの店が出店している。

俺とミンウェル、レノンは塔の入り口へと入る。

塔の一階は冒険者ギルドが仕切っている区画で、ここで受付ができるようだった。

先に説明を受けてきたレノンが、俺たちにもダンジョンの説明をしてくれる。


「このダンジョン『塔』への入場制限はありません。ただし、ダンジョンに挑む場合は、冒険者ギルドへ成果の報告の義務が生じます。また手に入れた宝の一部は冒険者ギルドへ納める必要があります」


「他のダンジョンとも同じ仕組みだな」


 ミンウェルが頷く。

 世界各地に存在するダンジョンは、冒険者ギルドが管理している。ダンジョン内で得た宝は冒険者ギルドが記録し、一部をダンジョンがある国へと納める。


「この『塔』の特徴は死人が出ないことですかね」


「死人が出ない?」


「入り口で『ダンジョンカード』を作成します。このダンジョンカードを作っておけば、死の危険の際に自動的にダンジョンの入り口まで転移魔術が発動します。またダンジョンで受けた肉体・精神的な外傷も全て完治する仕組みです」


「マジか。すごい仕組みだな」


 このダンジョンが賑わう理由も頷ける。

 ダンジョンでは毎日ドカドカと人が死ぬ。無謀にも挑んだ冒険者達。更にはダンジョン内でのパーティーの仲間割れ。ダンジョンを利用した闇討ち、等など。

 ダンジョンに挑んで生還できるのは一部の上級冒険者たちくらいだが、この『塔』では死人が出ないからこそ多くの冒険者達が挑んでいるのだろう。


 そんな会話をしていると、話し声が聞こえてきた。近くのテーブルに座る冒険者らしい男二人組が、俺たちを見て、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。

 

「……ふっふっふ。確かに、このダンジョンは挑みやすい。しかし初心者向けって訳じゃないのさ。むしろクリア難易度はかなり高い」


「ああ。B級冒険者の俺たちでもまだ10階にしか行けていないんだ。高レベルのモンスターに入り組んだ地形。嫌らしいトラップの数々……。初心者じゃあ、1階もクリアできないだろうさ」


「あの三人組は見るからに冒険初心者って感じだな。泣いて逃げ惑う姿が目に浮かぶぜ」


 ひゃはっはっは、と男達が笑う。

 ……やたら説明的な台詞で馬鹿にされたな。

 レノンは無表情だが、どこか嬉しそうだ。


「マスター。ここは一気に最下層までクリアして、周りの度肝を抜く場面ですよ」


 やる気は十分のようだ。ミンウェルを見ていると、彼女もやる気が出てきたみたいで、ニヤニヤと笑っている。

 まぁ、せっかくだ。

 面白そうだし。


「それじゃあ、行ってみるか」



 そしてダンジョン『塔』

 地下20階。


「……けっこう下まで来たな」


 俺たちはダンジョンの通路を歩く。ダンジョン内はまさに異空間で、広い闘技場かと思ったら、次の階は洞窟のような空間が広がっていたりした。

 20階もまた趣が変わり、狭い迷路が張り巡らされた空間となっていた。時折、落とし穴もあり、食らい底なしの穴がのぞいている。


「だがまだまだいけるな」


 とミンウェルが襲ってきた、土で出来たゴーレムを切り落として言う。

 俺はミンウェルが取りこぼした、小型のゴーレム達を魔術で倒す。

 背後でレノンが俺たちに回復魔術をかけて、体力を回復する。

 そこそこバランスが良いパーティーだった。


「ドーリスの奴。これじゃ肩透かしだぜ」


「全くだな。退屈しのぎになりもしない」


 と俺とミンウェルはにやりと笑う。

 レノンはきょろきょろと周囲を見回し、そこで「あっ」と声を上げる。


「ミンウェルさん、マスター。あそこに宝箱ありますよ」


 レノンが指さした方を見ると、狭い橋を渡った先に宝箱が設置してあった。橋には手すりがなく、両側には深い穴が広がっている。

 怪しい。


「罠だな。俺はミミックだと思うぜ」


 と俺が指摘すると、ミンウェルはやれやれと首を振る。


「素人の意見だな。橋を渡っている途中に橋が崩れるタイプの罠に違いない。あえて宝箱に注目を集めておく手法だ」


 とミンウェルが指摘すると、「はい」とレノンが手を挙げる。


「橋を渡っている最中に横降りのハンマーで吹き飛ばされてしまうのだと思います。それで下の穴に真っ逆さまです」


 意見が分かれた。俺はミミックに違いないと思ったので、主張を曲げない。


「いやミミックだ」「違うな」「いや私の意見が」「まったく……」


 立ち止まること数秒。

 突如として足下が消えた。


「…………あ……うぉおおおおおお!」


 一気に下まで落ちる。床にたたきつけられる直前に俺は『浮遊』魔法をなんとか発動させた。ゆっくりと降り立つ。

 周りはゴーレムに囲まれていた。大きく、手強そうなゴーレムが複数もいる。

 一体のゴーレムはこれ見よがしに看板を持っていた。

 その看板にはこう書かれていた。


『ざまぁ』と。


 ドーリスの人を小馬鹿にしたような笑みが脳裏に浮かんだ。

 アイツは言葉遣いこそ穏やかだが、人が嫌がることが大好きな奴だったことを思い出した。

 後ろでミンウェルが無言で剣を引き抜く。

 俺もやる気は更に上がってしまった。


「上等だ。ドーリス。最下層まで行って絶対に泣かしてやる」


 ゴーレムに向かって魔術を放つ。


 こうして、色々ありながらも、俺たちはダンジョンを攻略していった。


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