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第13話 かつての仲間と出会う

ドーリスとエドルス。名前が似ているなと気づきました。

すみません。変更するかもしれませんが、取りあえずこのままで。

新キャラも出ます。

 宿屋の一室をとり、俺達は早めに休むことにした。

 最近はぐっすり眠れる時のほうが多く、今日もすぐに眠りに落ちた。

 気も緩んでいた。

 だから部屋の侵入者に気づかなかったのだろう。


「……エドルス。目を覚ませ」


 自分の頭上に人の気配を感じ、目を開ける。

 ナイフを持った何者かが、俺の体に馬乗りになっていた。

 視界がはっきりしてくる。

 緑色のローブからは薄黒い肌がのぞいている。全体的に細身だ。

 短く切りそろえた金髪。そして長い耳。

 エルフ……ダークエルフだ。

 そして俺にダークエルフの知り合いは一人しかいない。


「おはよう……ミンウェル。生きていたんだな」


「フフ。お前がかけた『痕跡隠蔽』魔術のお陰でな」


 彼女の名前はミンウェル。武器の扱いに長けたダークエルフ。

 そして俺と一緒に王国へ反旗を翻した犯罪者仲間だ。


「しっかし。気が緩みすぎじゃないのか。この部屋に結界の一つもかけず、直前まで私に気づきもしない」


「絶賛スローライフ中なもんで。取りあえずどいてくれないか? レノンがビックリしてしまうぞ」


「レノン? 誰だ。それは。ここには私とお前以外……」


 そこでミンウェルは気がついた。

 俺の側にいた白猫が、いつの間にか人の姿に変わっていることに。


「みゃあ!」


 この叫び声はレノンではない。

レノンを見てビックリしたミンウェルの声である。

 ともかく、思いがけず俺はかつての仲間と再会を果たしたのだった。



 ◇

 気を取り直して朝。

 俺達は机を挟んでミンウェルと向き合っていた。

 ミンウェルはレノンに向かって頭を下げる。


「では改めて。私はミンウェル。見ての通りエルフだ。エドルスとは昔の仕事仲間だ」


 レノンも応じて頭を下げる。


「こちらこそよろしくお願いします。 私はレノン。マスターの使い魔をやっています。マスターが救いようのない犯罪者であることを含め、諸々の事情も把握しています」


「それなら、私も気が楽だ。よろしく、レノン」


「ええ。それより、先ほどの悲鳴は可愛らしかったですね……」


「……! くっ、殺してくれ」


 レノンが意地悪くも、ミンウェルの悲鳴を指摘してみる。

 ミンウェルもノリが良いので、悔しそうな表情を浮かべて、女騎士が言いそうなことを言った。

 既に仲が良さそうで結構なことである。

 真面目な話に戻ろう。

 レノンもふざけた態度は引っ込めて、真面目な質問にうつる。


「ミンウェルさんは『昔の仕事仲間』なんですよね。昔とはいつのことです?」


エドルス(この男)が昔、王国の特殊部隊〈黒衣の団〉に所属していたことは知っているな? 私も同じ部隊に所属していたんだ。色々あって〈黒衣の団〉は私たち二人を除いて壊滅」


 俺も頷いて話を引き継ぐ。


「そんでもって、俺が誘って一緒に王国を襲撃したんだ。守護騎士アルカを含め騎士達を殺して、転移魔術を発動しようと試みた。俺達を招待したドーリスは、この時の仲間だ」


 ミンウェルは呆れたように溜息をつく。


「全く迷惑な話だ。この男が私を誘惑してくれたせいで、私は犯罪者の仲間入りだ」


「犯罪者なのは前からだろ」


「ククク。違いない」


 〈黒衣の団〉の多くは罪人だった。ミンウェルも『同族殺し』の咎で王国の監獄に収監されていたところを、贖罪として〈黒衣の団〉に所属することになった。


「捕まれば極刑か終身刑か……。どちらにしろ、私もお前と同じで後がない。かといって、他にやることもなくてな。そこでドーリスから手紙が来た」


 ミンウェルは一枚の手紙を取り出す。

 俺がドーリスから貰った手紙と同じものようだった。


 ……王国襲撃の後。生き残ったのは俺とミンウェル、ドーリスの三人だった。

 転生魔術の奪取は失敗した。

 生きる目的は特になかった。

 しかし最後に仲間が命をかけて、俺達を逃がしてくれた。

 自首して捕まるのも、面倒になって自殺するのも、逃がしてくれた仲間に悪い気がしたのだ。

 ミンウェルも、ドーリスも同じだったのかもしれない。

 『痕跡隠蔽』魔術は例外として俺たち3人が互いに連絡を取れるようにしていたので、ドーリスも『追跡』魔術を使って、俺たちの居場所を探して手紙を出したのだろう。


「……もうすぐ『痕跡隠蔽』魔術は王国によって解かれる。残された時間は少ないから、最後に仲間の顔を見ておくのも悪くないと思った。お前も同じだろう?」


 ミンウェルの問いに俺は頷いた。

 俺も手紙を取り出し、改めてドーリスの手紙を読む。

 

『久しぶり。元気にしていた?

 僕は元気、とは言えないけれど、なんとかやっているよ。

 本題に入ろう。

 僕たちに残された時間は少ない。

 僕は自分に何ができるかを考えていた。

 僕は君に恩を返したい。

 君が『転生魔術で世界をめちゃくちゃにしよう』と誘ってくれたとき、とても嬉しかった。ずっと世界や社会が憎かったけれど方法が分からずにいた僕を救ってくれた。

 ようやく僕の悪意をぶつけることができた。

 社会は嫌悪を示す考えだろうし、君も嬉しくはないかもしれない。

 けど僕は君に感謝している。

 だから、何かを返したいと思ったんだ。

 

 新興都市フリューネ。今この街は新しく発生した『ダンジョン』で盛り上がっている。

 このダンジョンは僕が造った。

 とても頑張ったんだ。

 せっかくだから、挑んでみてほしい。ミンウェルも誘ったから二人で、もし他にも仲間がいたら、その人も加えて挑んでみてほしい。

 楽しい、と思う。

 僕はダンジョンの最下層で待っているよ。君に直接、伝えたいこともある』


 そして手紙の最後には、追伸として以下の言葉が書かれていた。


 『どうせヒマだろ?』


 余計なお世話だと思ったが、実際その通りだ。

 ミンウェルの手紙を見せて貰うと、概ね俺のと同じ内容が書かれていた。


「で、どうする?」


「どうって……行くだろ。ヒマだし。レノンも行くか?」


 隣に座るレノンに尋ねる。レノンは無言でサムズアップした。


 こうして俺たち三人でダンジョンに挑むことになった。


明日も投稿したいです。

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