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14.年を重ねど元気に研究開始です!



 ガブリエラ・アクエリアス公爵夫人。新型の都市開発に時間をかけていたら43歳になりましたわ。



 中世感あるこの世界の平均寿命を考えるとついに高齢者の一歩を踏み出し始めた年齢。

 ここまでの水に関連した改革をしたおかげか体調は万全。自分の都市の住民も健康な人間が増えた。



「生きているだけで健康じゃない。なんて嫌だもの。寿命だけじゃなく健康寿命もちゃんと伸ばさないとね」



 現状、領内に元々いた領民よりも健康に生きている人間が増えている噂が広まったことによる、他領からの移住者。こちらへの対応が一番めんどくさて苦労している状態だ。



「移民、難民問題ほど面倒なものはありませんわね。某合衆国大統領のカードゲームみたいな名前の人が不法移民だけでも壁を作って入れないようにしようとした気持ちがわかりますわ」



 移動してきた人間は当然ながら仕事を持っていない。

 食い詰めた人間はこの世界ではすぐに犯罪に手を染めるし、そうでなくとも貧民街の出来上がりだ。そのくせ、貧民街があるのは為政者が無能なせいだとなじってくるのだから質が悪い。



「おまけに、せっかく良くした衛生環境も彼らのせいで悪化して一度だけやばかったですわ」



 他領から来た民の衛生に対する意識改善がうまくいかず、流行病が生まれそうになったことが一度だけあった。

 仕方ないので税金で衛生改善に対する知識を教える人間、つまり桜を雇ったり衛生改善講座を受けるのと魔力の無償供与を条件にご飯の配給をしたり、それはもう(力を込めて)いろいろとやったものだ。



 ただ、そのかいもあってガブリエラの領だけでなく世界レベルで向上が見られるほどになった。流行病を初期段階で抑え込んだ成果は大きく評価されたのが一番大きく、国王陛下が積極的に広めたらしい。



 そして今。



 おおよそのやりたいことを終えた今、最後の仕上げに入ろうと思ったのだ。

 流行病がはやりかけたのも一因で、どれだけの優良転生をしたとしても不死身はおろか無敵にすら手が届かないという現実を実感(・・)として理解した。



 生き急ぐ……ではないが、やれるタイミングがきたのなら迷わずやるべきだ。もっとも、ほかの人間から見たら、ガブリエラは十分に生き急いでいるように見えているのだが。



「私の夢。望みは昔からただ一つ……意識せずとも軟水が手に入る世界!!そのために今!ようやくの!研究開始です!!」



 研究開始、などと言ってはいるものの、実際には隙間時間を見つけてはある程度の研究はしていた。



 今現在、軟水の販売事業も軌道に乗って安定しているし、手に入れるだけなら金を出せばよい。そういう世界にはなった。それでもまだ足りない。

 ガブリエラのいう、軟水が意識せずに手に入る世界。それは井戸から水を汲めば軟水が手に入る。そのレベルなのだから。



「理想はローマ帝国みたいに、都市の噴水なんかから自由にくみ取れる水があってそれが軟水……なんだけど」



 問題は多い。

 その問題の多くの終着点は、軟水を作るのにお金がかかることだ。



 お金をかけて軟水を作り、無料で配る。

 小学校高学年で習う社会の授業しか習っていなくてもわかる、事業が破綻する問題である。



 では無償、ないし実質無料にするにはどうすればいいか?

 可能な限り人の手をかけず、可能な限り物資も使わないこと。これ以外の手段はない。



「まぁそれが一番むずしいのだけれどっ!!」



 これまた子供でも分かる理屈。

 いうだけならばただでも現実に起こすのは難しい。



 しかし、最低限の道筋は考えて終わっており、めぼしはついている。

 都市開発のために、その結果ゆえに多くの人間が現在集まっている。資金が十分なのは言うまでもなし。



 夢を叶えるための下地はここまででほぼすべて揃えた。



「あとは実行あるのみですわ~~~」



 オーホッホッホッホッホッ!



 オーホッホッホッホッホッホッホッホッホ!



 オーホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!



 今日も元気に領主邸から高笑いが聞こえ、それをBGMにして領民は日々の生活にいそしんだ。

 サルやゴリラではない。――ウホッ。



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