現実世界のエルフさん
ごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ。
ファンタジー世界で外せない存在と言えばエルフさん。
エルフさんと言えば設定によって違いは有れど、たいてい長命で見た目十代なのに実は100歳越えとかテンプレですよね?
私も大好きな設定なのですが、皆さんこんなのお話の中だけだよ、なんて思っていませんか?
にゃふふ~、そんなことないのですよ。
今日はそんな現実世界のエルフさんのお話。
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ニシオンデンザメというサメがいる。
グリーンランド近海を中心に北大西洋の低水温域に広く生息し、別名グリーンランド・シャーク。
現在確認されている脊椎動物の中では最も寿命が長く、最も高齢の個体は、2016年に捕獲された推定512歳(体長7.4メートル)
織田信長が生まれる前から生きているというまさに歴史の生き証人。
一年に一センチほどしか成長せず、メスが大人になるには150年を要する。
つまり……、
「こんにちは~!! 西園田沙芽で~す。100歳、小学3年生だよ~」
なんていうロリババアも可能。
さらに彼らは、最も寿命が長いだけではなく最も動きがのろい魚でもある。
平均時速はなんと1キロ、最も早くても3キロという、赤ちゃんのハイハイ程度ののんびりやさんだ。
尾びれを左右に振るのに7秒かかるというのだから、そのゆったりさは筋金入りだと理解できるだろう。
こんなにゆったりで獲物を捕まえられるのか心配になってしまうが、あまりにもゆっくり動くので獲物に接近しても気付かれない。
もっともメインは拾い食い。落ちているものは何でも食べる悪食……いや好き嫌いがない良い子なのだ。
彼らの生息域にはホオジロザメなども居るが、毒を持っているので襲われることはない。
ゆえに自然界には天敵といえる存在はいないのだが、彼らにとって最悪の捕食者が居る。
そう……人間だ。
アイスランドでは、昔から発酵食品ハカール(ハウカットル)や肝油の主原料として年3万頭を捕獲している。大人しいので捕まっても暴れることはないのだという。
ニシオンデンザメは成熟に150年という時間を要するため、人間によって個体数が減らされると回復できない。最新の調査では、すでに危険水域を超えており、最優先での保護が必要なのだが、残念ながら対策は進んでいないのが現状だ。
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ファンタジー世界でもエルフさんは人間によって危機的な状況に追い込まれていることが多く、それでも見目麗しいこともあって保護されていますけれど、ニシオンデンザメはこのままでは近い将来知られることなく絶滅してしまうでしょう。
ニシオンデンザメだけでなく、多くのサメ、例えばハリウッド映画の影響で最も有名なサメ、ホオジロザメも乱獲の影響で絶滅の危機に瀕しています。
サメは怖いイメージがあるかもしれませんが、人間を襲う確率は数百万分の一、そのほとんどが、人間側に原因があります。
たとえばアメリカでのサメ被害は55年間で1200件ほど、そのほとんどがかすり傷や軽傷で死に至ったケースはそのうちの2%程度。年に一人も被害が出ていないのです。犬猫以下です。
危険と言われている種類も含めて、世界の約3分の一種類のサメが生息する日本でも同様です。
日本もサメを食べる国ですから、是非生態調査をして、持続可能な関係を築きたいものですね。
いつまでも海のエルフさんが見られる地球であることを願っているのです。
西園田沙芽ちゃん
西園田沙芽ちゃんアップ
イラスト作/四月咲 香月さま




