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魔法と勇者とねこぱんち  作者: 赤井 ねんど
9/16

薬草のお味

 気がつくと空が明るかった。


 クロエが俺の顔を覗いていた。


「にゃーん」


 あ、かわいい猫ちゃん。



 ぶにゅ。



 可愛いなあって見つめてたら顔を潰された。いたい。


「魔力を出しすぎだ。」


 クロエは俺の腹に乗るとそう言った。


「イデデデ!!イテエ!!!!」


 クロエにのられた腹が痛かった。よく見ると装備も身体もズタボロだった。


 ......動けん。


「ここまでの威力の"ダッシュ"は見た事ないな。全く。すごいスピードだった。」


 クロエはそう言って「ほら見ろ」っと指を指した。


 遠くの遠くにお城が見える。嘘だろ。


「私が咄嗟に強めのバリア魔法を張らなかったら、丘にぶつかってお前は死んでたぞ。崖に落ちたみたいにな。」


え、あのえぐられた丘、俺が通った後なの?


まじかよ。トンネル貫通してるやん。


「とりあえず回復するのだ。」


 クロエは横たわってる俺の口に、なにか入れ込んだ。



「うげぇぇぇ!!まずい!!!!」


 俺の口の動きが止まった。吐きそう、泣いちゃう。


「なにこれ、、(もごもご)」


「それは薬草だ。せっかく私がとってきたのに食わんのか?ん?」


クロエはジローっと睨んだ。


 そっか、クロエが。


「ありがとう。食べるよ。」


 吐きそうにながら俺は咀嚼する。


「よろしい。」


クロエは顔を覗き込んでいたが、俺の左腕の上に丸まった。


それにしてもゲロマズい……


こんなにまずい食い物があったのか、


「おえ、薬草ってこんなにまずいの?回復ドリンクも同じくらいまずいのかなあ。良かった、道具屋でみなぎーるドリンク買おうとして。」


「お主が買ったのは薬物だろう?それに、回復ドリンクはうまいと聞くぞ。頑張って色々美味しくしてるらしい。」


「そうかぁ、良かった。こんなにまずいんだったら勇者やめようかと思ったよ。おえ。」


「そんな意気込みで辞めてもらっては困るぞ。勇者ギル。」


「冗談だよ、本気にするなって。」


 クロエは呆れて首を降っていた。


「まあ薬草にも結構美味しいものもあるぞ。」


 クロエはしっぽをくねくねさせながら言う


「本当か!って事は美味しい薬草は、近くになかったんだな……」


「いや?あったぞ?」


「ん?え、?あったのにこのまずいやつ選んできたの?」


「そろそろ飲み込むんだ。ギル。」


 クロエが顎をあげてくる。


「これ飲み込めたもんじゃないヨ!」


「いいから飲めっっ!」


「うぐぐ、」


 クロエは俺の顎をグイッと押し上げた。



グビッッッ


「うぅっ、はあぁ。飲み込みました。」


薬草を飲み込むと傷がみるみる治って行った。


腹のキズも、足の傷も。


心地がいい感覚だ。


でも後味まずい......


「回復ドリンクは薄めてあるから、薬草の方が効果が高いのだよ。ギル」


へぇー、そうだったのか。


「あ、普通の薬草とまずい薬草も効果違うのか?」


「いや、それは変わらん。勇者ギル、不味い方が好きかと思ってな。」


「美味い方が好きだよ!みんなそうでしょ!」


 クロエはニヤリと笑った。さすが魔族……体だけじゃなく心も黒い。


「ただ薬草はな、体力も魔力も回復できない。お前は半分以上の魔力を使ってる。だから今は寝るんだな。」


あれだけの威力で魔力半分だけは凄いが。とクロエはボソッとつぶやき、


ギルのおでこにぽふんと肉球を押して、そのまままた、クロエは俺の左腕で眠りに入った。


脱獄はしてしまったが、

クロエのおかげでようやく、魔王を倒す為の修行が出来そうだ。


僕は心配の中決意を胸に、ゆっくりと眠りについた。

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