脱獄
「ええ!!脱獄すんの!」
「ああそうだ。」
猫はウンウン頷いた。
「3年も経ったら私は蒸発してきっとこの世に居ないだろう。だから今から脱出するのだ。」
えー、でもこれまた犯罪だー……
「いいからさっさと準備しろうぅ!ほらさっき咥えて持ってきたんだぞ感謝するんだな勇者。」
牢屋の外をよく見ると昼に買った俺のおニューの装備があった。
「おおーー!!我が愛しの装備さん!!」
シマシマな服を脱ぎ捨てて装備を元に戻した。
「お前が裸になると昼のこと思い出すな。ブフッッ」
猫が思い出して吹き出した。
「ばか!!!忘れろ!!!」
俺は恥ずかしくて手をブンブン降った
「あれ?鉄の剣は??」
勇者の象徴、ツルギが見つからない。
「ああ、重かったから置いてきたぞ。」
「おおおおい!!!大事なものなんだぞ!」
「しょうがないであろう。私に無理をさせるな!」
俺はしゅん……と落ち込んだ。また買えばいいか……
よし。準備OK
「でもどうやって鍵開けるんだ?猫。」
「開けるにはな……」
猫はそう言ったかと思うと、ゆっくりと二本足で立ち、俺をビシッと指さした。
「私の頭を撫でろ!!」
「……はあ??」
「私は触れられてる時に徐々に魔力を吸収できるんだ。王に撫でられた時も少し頂いたぞ。」
猫はニヤリと笑った。
「え、王様にも魔力あるの?」
「魔力は誰にでもあるものだよ勇者。さあ撫でろ!!!!」
「いちいち上から目線で言ってくるから腹立つなあこいつ……」
なでなでなでなで
お膝の上に座らせた猫を撫でる。
「ゴロゴロゴロゴロ」
あらヤダ癒される……(きゅん)
「撫でてる勇者も、手がジワジワ気持ちいだろ。吸われてれる証拠だ。」
「え、ちょっとこわい。そんな事言わないでよ……」
なでなでなでなで
「猫。お前ってさ、呼び名あるのか?」
「ゴロゴロゴロゴロ」
「気持ちよさそうにしてないで、きいてるか??」
「ああ聞いてる。なかなか勇者はテクニシャンだな。撫でるの辞めてくれなきゃ話せないくらい気持ちいのだ。」
猫は満悦そうな顔をしている。
「私の名前はクロエだ。」
「なるほど!クロエか!いい名前だなぁ。俺の名前はギルだ。よろしくな?」
ギルはそう言いながらしっぽの付け根を撫でる。
「むうう、そこは……。勇者ギル。お主分かっておるな。」
「まあな。猫のことならなんでも知ってるぞ。実家で飼ってたからな。」
「も、もう大丈夫だ!充分チャージできただろう……」
「……なでなで」
「うあ、もういいってば!!やめろ!!ギル!!」