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闇夜ニ其ノ声轟キテ  作者: 鴉柄 明
1/2

我ラ、異形ヲ討滅セシモノ

真夜中、山の中から異形ヴァリアントの声が木霊する。

鬼と犬が混ざりあったようなその躰から、荒々しい金切り声を轟かせ、それは倒れた。

「…任務完了。」

「お疲れ様、緋翠ヒスイ。」

「ああ、ありがとう。帰るぞ、瑠璃ルリ。」

そう言って、青年は刀をしまった。

少女は、その青年の背中を追った。

暗くも安らかな夜の闇の中を―――――


「今日のは中々強かったね〜。」

「そうだな。」

「でも変だよね。異形があんな人里近くまで来るなんて。って、もう人里なんて言う時代じゃないか。」

「まだ人里って言葉は使われてるぞ。安心しろ。だが、確かに妙だ。あいつらは人を喰らわない。なのに人里の近くに現れた。」

「最近色々おかしいよね。例えば、気象とかさ。春なのに雪が降ってみたりさ。全くどうなってんだか――」

「瑠璃、お社から伝書だ。」

白い鳩がこちらに向かって飛んでくる。足には伝書用の入れ物がついている。瑠璃がその鳩を手に乗せ伝書を取り出し、読み上げる。

―異形狩りよ、急ぎ各々の社へ集まれ 緊急の任を言渡す―

「だってさ、休みなさそうだよ。私たち。」

「仕方ない、お社様からのお達しだ。」

「お風呂入るくらいは時間あるかなー?」

「あるだろ、俺も入りたい。服が汗でべとついてたまったもんじゃない。それに、この任は大がかりなものになりそうだな。」


時は現代、元号が移り変わり「令和」となった。

古くから闇より溢れ出る異形。その正体は、人の背負う業である。長く続く戦いは現代にまで及んでいた。その異形を狩る者を、「異形狩り《ヴァリアント・キラー》」と呼ぶ。


俺と瑠璃は急いで帰路に着いた。家は神鳴山と呼ばれる山の麓の小さな集落にある。異形狩りの仕事は、裏から政府に公認されている。しかし、一般人にはその素性が明かせない。そのため、ここら辺一体は異形狩り以外の人には集落が見えないよう結界が張ってある。

「おーい。瑠璃、緋翠。無事だったか。」

「当然でしょ!…いやでもちょっと危なかったかも。」

「あれはお前が足を滑らせたからだろ。俺が切り込まなきゃ今頃どうなってたか。」

「だからそれに関してはごめんっていってるじゃんか〜。」

「お前なぁ…。」

「まあ、その辺にしときなさいな。ところで2人とも、お社様に呼ばれたんじゃないのかい?」

「何か知っているのですか、水紋ミナモ師長。」

「ああ、我々全員に伝書が来ていた。既に話は聞いてある。私から話すよりお社様の元に急いだ方がいい。今回の任は、我々異形狩りが総出で遂行するものだ。」

「「―――っ!」」

「落ち着け。まずは家に戻り身を清めよ。その後、お社様の元へ向かえ!」

「「はっ!」」


―――2時間後―――


準備を終えた俺達は、急いでお社様の元に向かった。


神鳴山の中腹にある、神鳴神社。

そこには、異形狩りの真の長である お社様 が住んでいる。

そこは昼夜問わず、暖かな光によって包まれている。

俺達はいくつもの鳥居の着いた階段を登り、お社様の元に向かわなければならない。俺達に与えられる任は、基本的にはお社様から伝書鳩伝いに届く。つまり、今回の任はとても大掛かりで、厄介なものだ。階段を登りきると、そこは綺麗に手入れのされた日本庭園が広がっている。お社様の住む社はその真ん中にある。

入口にいるお社様の使い、巫女に伝書を見せ中に入る。

既にあのお方はいらっしゃった。美しく長い黒髪に十二単という平安時代にいそうなお姫様のようだった。

「緋翠、瑠璃、御足労をかけました。我が袂まで来てくれたことに感謝する。」

「「いえ、滅相もございません。」」

その言葉とともにお社様に向かい跪き頭を下げる。

「ありがとう。顔をお上げ。」

「「はっ。」」

「では、本題に入りましょう。つい先程、社会議にて真偽を疑うような情報が入りました。―――異形が人を喰い始めたそうです。」

「えっ?」「はい?」

「事は起きてしまいました。奴らは人を喰らうことによって今までに比べ飛躍的に強くなっているようです。それにもうひとつ、厄介なことがあります。」

「…なんでしょうか。」

「異形たちが群れを成し始めました。」

「「―――っ!!!」」

異形は本来群れをなさず、お互いの縄張りは殺し合いによって決まっていると文献には書いてあったし、そう教わった。お社様の発言によって根底にあったものが崩れた。

「今回の任は困難を極めることになります。どうかお気をつけて。では、任を言い渡します。」

―瑠璃、緋翠。この地に発生した異形の群れの討滅の任を言い渡す

存分にその力を発揮し見事、打倒して見せよ―

「「はっ!!」」



「さあ、堅苦しいのはここまで!瑠璃、緋翠、お茶飲んでいかない?ちょうど京都の方からいい物が届いたのよ。」

朱音あかねの誘いは断れないわよ。緋翠も飲むでしょ?」

「ああ、もちろん。幼馴染が久々に集まるんだからな。

せっかくだから、ゆっくりしていこう。」

そう、お社様こと朱音は俺達と幼馴染で、先代のお社様に選ばれ今はこうしてお社様としての仕事をしている。

ただ、この3人だけが集まる時はきまって、こうやって笑いながらお茶を飲んで話したりしている。朱音曰く、たまには息抜きしないとこの仕事堅苦しすぎで死んじゃうよ〜、と。


こうしているうちに、日は暮れ、夜となり、俺と瑠璃は朱音に行ってくると告げ、任へと向かう。朱音はそれを笑顔で送り出してくれていた。


「瑠璃、こっから気ぃ引きしめていくぞ。」

「もちろん、緋翠こそ油断しないようにね。さあ、今日もひと仕事と行きますか!」

「おう、今日の任が終わったら、こっそり朱音もつれて飯行くか!」

「いいねぇ。そうこなくっちゃ!」

そんな会話をしながらゆっくりと夜の闇へ身を溶かす。

異形を狩るために。異変を探るために。

こんにちは、新人作家(になるのかな?)の

鴉柄(からすがら) (あき)です!

前から"なろう"にアカウントを作っていて

何作か書いたこともあるのですが書いてるうちに迷走してしまい全て消してしまいました( ˆ꒳ˆ; )

(文章書くの難しいですね...)


今回、この"闇夜ニ其ノ声轟キテ"という作品を

きっかけに、シリーズとして書けたらなと思います。

投稿頻度もそんなになので気長に待っていただければ幸いです。


どうぞこれから、鴉柄をよろしくお願いします

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