社畜な英雄
短編で書く予定です!
社畜な主人公がただひたすら異世界で鬱憤を晴らす、そんな物語を書いていきたいと思います。
「はぁ…また残業だ……なんでこんな時間まで仕事しなくちゃいけないの……あぁ、後3時間で起きて支度してまたあの会社に行くのか……つらい……」
僕の名前は、小泉英雄。26歳、独身。年齢=彼女無し。
子供の頃から『英雄って、名前負けしすぎだろ』『どっちかって言うと悪者側だろ英雄くん』とか散々言われてきました。
そんなの言われなくたって分かってる。
背も低い、運動神経も悪い、顔も整っていなければ、内気で弱気な性格。
誰がどう見ても英雄なんて感じじゃない。
せっかく両親が名付けてくれた名前だけれど、僕も名前負けしちゃってるなって思う。
それでも小さい頃から、弱気を助け強気を挫く、そんなヒーローに憧れていた。
ファンタジーだとは思っていても
超人的な能力の数々で困難に立ち向かい、解決し、みんなから尊敬され、慕われていて
そんなヒーロー達自身も、自信満々で、楽しそうで、キラキラ輝いてて……
あぁ、自分にも凄い能力があれば、ヒーローになれれば楽しいんだろうな……
「まぁ現実はブラック企業に勤めているただの社畜なんだけどね!はぁ…またコンビニ寄っておにぎりと、栄養剤も買っちゃおうかな……栄養剤と布団だけが僕に優しい…すき……ってあれ?ここどこ?まさかぼーっとし過ぎて道に迷った!?」
嘘でしょ?20歳で社会人になってから、実家を出て一人暮らしを始めて
それからずっと同じ通勤ルートなのに道を間違えるなんてことあります?ないでしょ!!
でもこの道全く覚えがない……
周りを見ても街灯が点々とあるだけで、車の音も聞こえないぐらいの閑静な住宅街に僕一人…
怖い!知らない道で一人きりなの怖すぎる!!
「ってスマフォがあるじゃんか。はー文明の利器様々だよ…あれ?けん…がい……?」
圏外ぃぃいいいい!?!??
この御時世、地下でも電波が入らないと舌打ちされるのに住宅街で圏外とか!?
もー!なに!?僕が何かした!?もう嫌だ…このまま消えて無くなりたい……
このまま居なくなっても誰もなにも困らないよ……
むしろ邪魔者が居なくなって清々するんじゃないかな。その方が皆幸せになって良い気がして来た……
もう、何もかもが嫌だ…
「とりあえず歩くか…そうすれば知ってる道に出るかもしれないし、圏外も解消されるかもしれないし……」
それから30分ぐらいとぼとぼと歩いたけど、状況は変わらなかった。
相変わらず街灯は点々と並んでいるし、車の音も聞こえない。電波も圏外のまま。
本当にこのままどこかに消えてしまうんじゃないか。
そう考えていると、窓ガラスから煌々とした光を発している建物が目に留まった。
「コンビニ…?よかった…店員さんに道を聞こう、怖くて聞けなくても何か食べ物を…あぁ、よかった…」
ふらふらとした足取りで自動ドアの前に立ち店内に入ると、そこは某レンタルショップのような内装で、コンビニを期待していた僕はちょっとがっかりして、外に出ようとしたら、可愛く透き通っている声が僕を引き止めてこう言ったんだ。
「お客様、本日はどのようなチートスキルをお探しですか?」
御一読ありがとうございました。
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