UFO−未来の遺産−
若居 太郎は会社の帰りに何者かに連れ去られた。気が付くと鉄でできた部屋の中にいた。
「ゴベアレリアフヒシウアイェイシスカキクイ・・・」
何者かが意味の分からない言葉で話している。見た目は人間と変わらない。太郎は怖くなって部屋の隅でおびえていた。すると一人がこちらに近づいてきた。
「怖がらせてごめんよ。君はこの星の人間だね。君は選ばれたんだ。この星の人類の未来を守るために君が頑張るんだ。分かったかい?まあ君に拒否権は無いと思ってくれ。」
「いきなりなにを・・・」
「この映像を見たまえ。」
そういってその男は映像を流した。
−荒れ果てて人類が住めなくなった土地・・・草木は枯れ水は干上がり・・・動物も絶滅した・・・人類も大半が死に生き残ったものは地下で暮らしていた・・・−
「君はこれを何だと思う?」
「映画のワンシーンか・・・」
「未来の地球だ・・・」
「これが・・・地球・・・うそだろ・・・」
「嘘ではない。これが未来の地球なのだ。」
「どうしたらこんな風にならないんだ・・・」
「君が人類を代表してこの惨劇を知らせるのだ。」
「分かった・・・やってみる・・・」
「君に一つだけ言っておこう。未来は一つではない。君が頑張れば変えられる。」
太郎はそこから地上に降ろされた。太郎が乗っていたのはUFOだったのだ。
それからの太郎は、地球の環境保全のための活動をはじめた。太郎の活動は世界へと伝わって行き、世界では環境問題の見直しが行われた。
未来は変えられる・・・そう信じて活動してきた太郎たちは何世代も語り継がれていた・・・地球が運命の時を迎えるまでは・・・
「ご先祖様が作り上げて、守ってくれたこの地球がこんな形で死んでしまうなんて・・・」
そのとき地球は核戦争で汚染され人類はそのほとんどが死に絶えた・・・あの時太郎が見た映像は現実のものになってしまった・・・
だがその先の未来は確実に変わっていた。太郎たちの遺志を受け継いだ者たちが地球の復興に成功したのだ。太郎の見た映像では人類は絶望の中で生きていた・・・しかし現実は違う。人々は希望を持ち未来を夢見て生きている。
太郎たちがそうであったように・・・