9 WHITE DRAGON?
・・・行っちゃった・・・
やれやれ・・・せっかくお布団で寝てたのに。また野宿か・・・いや。野宿より悪いかも。一人なんだもん。今まではレオがいてくれたから・・・
ぼんやりしているうちにもうじき夜明けみたい。小鳥の声?が聞こえ始めた。
・・そう言えば季節って?あるのかな?過ごしやすい感じの毎日で雨も降ってこないけど。
・・・誰も来ない森。何か悲しくなってしまう・・・
いつの間にか眠ってしまったらしい・・
『君。』
・・・・・
『ねえ。君。』
・・・ふと目覚め、きょろきょろ見回す・・・
『だれ?』
いない・・・気のせいか・・・
私はまた丸くなって眠ることにした・・・目が覚めたら家だと良いなあ・・・でも・・・レオにはまた会いたいかも・・・・
夢の中で白い龍にあった。あれ?
『やっと話が出来るよ。』
白い龍が笑ってる?龍って笑えるの?
『あんた誰?』
『今は君かな。』
は?
『今は君。』
2回繰り返さなくても聞こえてるけど・・・
『私があんた?』
『そう。』
・・・
『どうでも良いけどすごく長い夢なんだけど。』
白い龍は首を上下に振って、
『夢じゃないよ。』
そう言った。
・・・・・
『今のは夢だけどさ・・・』
どっちだ?
『君が龍になってるのが現実だって事さ。』
・・・・・現実?
『君がぶつかったもの・・・それは僕だったんだ。』
『・・・ボールが私に向かってきていたと思って・・・え?あれ・・ボールじゃなかったの?』
龍は頷いた。
『ボールは僕に当たったのさ。』
・・・・・
『あんたに?』
『そう。油断するにもほどがあるよね。』
・・・龍にボールが?ボールに龍が?
『どっちでもいいさ。』
で。
『落っこちて君に当たったのさ。』
信じられないよ。
『こんなに大きな龍がたかだかボールで?』
龍は決まり悪げに頭を振った。
『小さくなって見物してたんだよ。』
龍は小さくなれるみたいだ・・
『君の国は面白いねえ。』
へえ。でも、小さくって?
『勿論君も小さくなれるはずだよ。』
・・・
それからいろんな話をした。
小さくなっていたのは、誰だか分からない追っ手から逃げるためだったんだって。逃げながらも日本の見物もしてたみたいなんだけど、ちょうど追っ手が自分に触手を伸ばしたその時にボールが当たり、かつ私に衝突したらしい。
『で。君ごと召還されちゃったのさ。』
召還?誰に?
『そこが分からないんだよね。
でも僕を捕まえようとしていることだけは確かだから。
僕、あちこち界を渡って逃げてきたんだけどさ。君のいる世界に来て、ようやく追っ手の気配が消えたからつい安心しちゃってたのもあると思うんだ。
捕まえられそうになってて焦ったのもあってうかうかとぶつかっちゃったけどさ。気を失う前に途中で必死に抵抗したし、君と二人分だったから、多分召還されたところとは違うところに落ちたと思うけど。』
・・・
『私、家に帰れないの?』
『う~~~ん・・・そこなんだよねえ。』
・・・・
『おや。君の保護者が近づいてくる。まだ彼には僕のことを内緒にしておいてくれないか?』
『なんで?』
『ま。色々思うところがあるんだよ。でも。彼は多分君を守ってくれる。』
『なんでそう思うの?』
『君にもそのうち分かるよ。
君は僕と同じ魔法が使える。でもそれはまたこの次だ。彼がもうすぐそこまで来ているからね。
僕は君が眠ったら話をしに出てくる。
そうそう。忘れないで。また龍になることがあるってことをね。』
そう言ったと思ったら龍はしゅるんと私に吸い込まれるように消えた。
「・・・・!!」
はっと気が付いて頭を上げた。
「おい。みこ。眠ってたのか?」
「レオ。」
私は頭を声のする方へ向けた。
それからもしかしたら人にもどれるんじゃないかなって思った・・・
「ねえ。私、今、人になれそう。」
って言ったら、白いマントを私に投げて寄越した。
「ほれ。買ってきてやった。これをかぶって人になれ。」
・・・・・