77 急展開??
うるさいにょろにょろをじろりと見た後、
「なんで元王妃様をバドバドが解放したのかな?」
美虹の呟きに、バドバドがくぇくぇくぇ・・・・と鳴き、舞い上がった・・
キラキラと光を振りまいて飛ぶ・・・
「何が起きたのだ?」
おじいさんが目を丸くした。
光に当たって王妃が徐々に姿を変える。
光が収まった後、優しげなおばあちゃんが立っていた。
「まさか?」
「どうかしたの?」
おばあさんは自分の変化が分かっていないようだった。
おじいさんは彼女の側に行き、しっかり彼女を抱きしめた。
「ああ。おまえだ。」
「あなた・・・?」
・・・
「バドバドって不思議・・」
そう言っているうちに二人の姿が光り・・・消えた・・・
「え?どこに行ったの?」
『おわっ』
リヒテの驚く声がした。
『どうしたの?』
『こっちに爺さんと婆さんが急に現れたんだ。』
レオが返事をした。二人は王の部屋に飛ばされたらしかった。
「くぇくぇくぇ・・・」
バドバドか小首をかしげて美虹の方を向いた。
「行くぞって言ってる」
「どこへだ?」
「あのじいさんとばあさんの所だろう?!」
「肉だ。肉をくれ。」
「俺にも肉だ。」
「良いから行くぞ。」
「美虹いいか?」
美虹もバドバドの出す光に包まれ、一瞬のうちに王の部屋に来ていた。
ーーーーーー
「だれだ?」
元帥は後ろを振り向いた。
「私だ。」
「レディ?どうした?」
レディの胸元は黒く焼けただれ、服もすすけていた。
「だめだ。形を取っていられない。この女・・焼かれた・・・」
元帥は慌てた。
「何を言っているのだ?医者か?医者を呼べば良いのか?」
レディはにんまりと笑った。
「医者はいらぬ。おまえの体が欲しい。」
「何を?」
「この体はもう持たぬからな。」
「うわああああああああ!!!!」
悲鳴の後は、黒くくすぶる女の体が床に倒れているだけだった。それもやがて黒い水溜まりになって消えていった・・・
扉が慌ただしく叩かれた。
「元帥?どうかなさいましたか?悲鳴が聞こえたのですが。」
「なにもない。大丈夫だ。」
先ほどまでの妖艶な女はもういない。いるのは元帥ばかり・・・・
「さて。この体も長くは持たんな。薬でかなりぼろぼろだからな・・・アーム。出てこい」
床から影がゆっくり立ち上がった。
「はいおかたさま・・・きた。わたし・」
「また1から教育か。面倒な事よ。
元帥はしばしアームの影を眺めた。将軍の中に入れ込むか。」
「はいごぞんぶんに・・」
ーーーーーーーー
王の部屋では寝込んでいた王の側にいた王太子が驚いていた。
「あの・・」
「おまえはアレクか?」
「・・そういう・・」
「私はおまえの祖父だ。」
王太子は祖父母に20年近く会っていなかったが、父に似た雰囲気を持つ老人を認めないわけにはいかなかった。
「アームは不抜けた状態のままなのだな?」
『アーム?アームって言った?』
美虹は驚いた。
『ああ。言ったな。アームとは?』
レオも驚いたらしい。
『偶然って事は?』
リヒテの言葉に、
『王と同じ名を付けるか?』
と返すレオ。
『じゃあ、あのアームってもしかしたら?』
・・・・・
「おまえがこの国の王となるが良い。」
「私が父を廃するのですか?」
「そうだ。それしかあるまい。」
「そう言えば、ソフィーがいませんね?」
おばあさんが聞くと、
「母はおじいさまとおばあさまがいなくなってじきに、セナを産んで・・亡くなりました。」
とアレクが答えた。
「まあ・・・」
おばあさんは言葉に詰まった。
「だから、レディという女にこんなにされてしまったんです。」
アレクが吐き捨てるように言った。
「だがおまえは無事だ。」
「当たり前です。幼いながらも母に良く言い聞かされていましたから。なるべく近づかぬよう、気をつけていましたし、愚鈍の振りもしましたしね・・・」
王太子はしっかりしている男のようだった。
「ソフィーがいてくれたらねえ。」
しみじみというおばあさんに、おじいさんはすまなそうに頭を下げた。
「そうね。あなたもあのレディに惑わされていたんですものね。」
王は相変わらず不明瞭な声で、短い言葉を吐くだけで、この場にいる誰とも意思疎通出来なかった。
『もしかしたら、あのアームってのはこの王が入っていたんじゃねえか?』
『あり得るかも・・・』
ここに長くいても仕方がないと言うことになったとき、初めて美虹の存在に王子が気付いた。
「この者は?」
「シュバルツァーから来たようだ。」
「シュバルツァー。彼の国の者と話をしたいと思っていたのだ。」
改めてどこかで話そうと言うことになった。王子の部屋が良かろうと言うことに成り、王子は一足先に居室に戻った。人払いやお茶の手配をするためだ。王子が部屋を出たとたん、レオとリヒテは姿を現した。おじいさんとおがあさんは驚きながらも受け入れてくれた。
また光が満ち、一行は王子の居室にいた。
姿をあらわしたレオ達も一緒だ。




