74 解毒剤は予防薬ではない・・・
・・・・・
「フェー」
「なんだ?兄者?」
「なあ。わし、ちょいと思ったんだけどな。昨日病棟を見て来ただろう?」
「ああ。酷かったな。」
「・・・もしかしたら、隷属の印が付けられている奴等って、もしかしたら、この臭いというか、媚薬の中毒患者なんじゃないか?」
「この?」
「ああ。もしかしたら、飲まされているのかも・・」
「臭いだけじゃないってことか?」
「そうだ。飲ませていたんじゃないかと思うんじゃ。それで、あんなに無気力なんじゃないのか?」
「それは凄い。だが、誰に言えば良いんだ?レオか?レオはいないぞ。」
「このパンテェールという奴は信用出来るのか?」
「分からん。だが、あの、ライという奴。あいつのことはレオが信頼しているとみた。」
「では、ライに言うか。どこにいるんじゃ?」
「さあ?」
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「で。なぜ叔母上は傷病棟へ?」
「臭いを嗅いだ?」
「え?」
「薬の臭いよ。」
「甘ったるい臭いですか?」
そう言われれば確かにあの臭いがした・・・
「そうね。」
・・・
・・はっ・・ライは顔を上げた。
「まさか・・」
「まさか何?」
「いえ。叔母上。気が付いたことがあるのです。城へ戻ります。」
ーーーーーー
バタン・・
いきなり扉が開いたのでフェーと兄は驚いて振り向いた。
「王?」
「ライ?」
ライは大股に二人に近づいて、
「薬は出来たのか?」
と聞いた。
「まだだ。だが、多分これだと思うものは少しだが用意出来た。」
「強力な媚薬だ。麻薬と言って良いだろう。」
・・
「やはり、もしかしたら」
ライの言葉に二人は頷いた。
「王よ。気が付いたのか?」
「今病棟にいる連中が、中毒患者ではないかと言うことに。」
ライの目が見開かれた。
「やはりそうなのか。」
「解毒剤は昔作ったことがある。」
二人はまたも顔を見合わせ、ライに伝えた。
「花が麻薬に。」
「根が解毒に。」
「何とかなりそうか?」
二人は頷いた・・・
「罪な花よのう。」
「なんの。花には罪はあるまいよ。」
「何となく胸騒ぎがするんだ。もしかしたらアルテミアが攻めてくるかもしれん。」
ライが吐き出すように言った。
「150に何万人もか?」
「分からん。薬をばらまかれればそれで終わるからな。」
「レオ達とは連絡は取れるのか?」
「ああ。そろそろ連絡をする時間だ。」
ライは疲れたように言い、どさりと側の椅子に座り込んだ。
「王よ。薬を作るにはこの花を根ごと掘り採ってくる必要がある。」
「それも沢山な。」
「ただ、この花が切り立った崖にしか咲かず、数も少ないのだ。」
「全て獲るわけにはいかぬ。次代を残さねば鳴らんからな。」
「分かった。パンテェールに言って手配させよう。」
「あれをうまく採るのはレオの右に出る者がいないのだがな。」
「レオか・・・それも含めて連絡してみる。」
ライは立ち上がった。
「解毒剤が何とかなると、今いるアルテミアの奴隷となっている連中は正気に戻るじゃろう。じゃが・・」
「だが?」
「防ぐための薬となるかは分からんのじゃ。」
「兄者?」
・・・
「吸ってから飲ませるのでは遅すぎると思うからか?」
ライは扉の前で立ち止まった。
「持たせて危ないと思ったら飲むようにさせたらどうだ。」
「一理あるな。飲む気になればの話だが。」
「それも含めてレオと相談してみる。」
ライは扉を開け、出て行った。
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ライが出ていった後、女将は目を瞑った。
「血は失われていなかった。これで次の100年につなげることが出来る・・・つなげて欲しい。」
女将が部屋から出て行くと、使用人の一人が待っていた。
「奥様。」
「シッ・・」
「・・失礼しました・・女将さん。部屋は片付けても?」
「ええ。」
「あのものは?」
「しばらく戻って来ないわ。でも、最上のものを用意するように。」
「・・・まさか?」
「そうよ。」
「・・分かりました・・」
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「「「「「「「うわ~~~~~」」」」」」」
『おまえ達五月蠅い。』
『『『『『『『落とさないでくれ~~~~』』』』』』』
うっかりバドバドは返事をしてしまった。
「くぇくぇ・・」
『『『『『『『うわ~~~~~~~』』』』』』』
・・・・・おちた・・・・・
大晦日にこのお話を読んでくださってありがとうございます。
良いお年をお迎えください。
そして、このお話が面白いと思ってくださったら、他の方々にも勧めてくださいませ(*^O^*)




