72 それぞれの・・・
ーーーーーーー シュバルツァー ーーーーーーー
ライは食事の膳を前に女将と対峙していた。
「私に話とは?」
女将が聞く・・・
すでに食事を運んできた者達はいない。ライは変装を解いた。
「・・・王・・・」
女将は厳しい顔でライを睨み付けた。
「そうだ。おまえの知っていること、探っていることを教えてくれないか?」
・・・
「本物とは限らない。」
女将の顔はますます厳しくなっていく。
「確かに。疑うのも当然だ。だが・・・分かるのだろう?貴女は私の身内だ。」
・・・しばしあって・・・女将の顔が柔和なものとなった。
「いかにも。ライ。良く分かりましたね。」
「この前来た時ぼんやりと感じたのだ。」
ライは頷いた。女将は
「そうね。この前一緒にいた奥方。あの人も身内とみたわ。でもあの年頃の女の人はいないはずだから気のせいかと思ったの。」
と言ってお酒の瓶を取り上げた。
「それで色々鎌を掛けてきたのだな?」
・・
「そう。さあ。まずは飲んで。食べて。今どうしているのか、どうなっているのかを教えてちょうだい。」
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「おい。これだ。300年前の媚薬。」
「おお。この研究室は凄いな。」
「これを・・・」
「ああ。そうだ。」
・・・・・
「これを混ぜて煮てみたらこうなったぞ。」
「こちらは漉してみた・・」
「すりつぶした物を入れてみてはどうだ?」
・・・・
「誰かで実験をしよう。」
・・・
「これは・・・惹かれる・・・」
「なんて素晴らしい・・・」
「わしに惹かれるのか・・・おい、まて。寄るな。フェー、早く解毒薬を!」
「え?面白いのに?」
「馬鹿を言うでない・・・うわ・・」
・・・
「凄い効き目だな。」
「酷い目に遭ったぞ。」
「怒るな・・」
「これを大量に作るには、花の根がもっといるな。」
「ああ。花は媚薬に。根は解毒に・・・全く良くできた花だ。」
「効き目がどのくらい続くのかも知りたいぞ。」
「さっきの奴をもう一度呼んでくるか。」
・・・・・
ーーーーーーーアルテミアーーーーーーーー
細長いテーブルの長い方に、美虹はアームと向かい合わせに座らせられた。テーブルの短い一辺に女は座っている。
「まずは食事よ。」
女の言葉に、目の前のご馳走の山を見て美虹は目を白黒させた。
『どうしよう。こんなに食べられないよ。』
にょろにょろ達も目の前のご馳走にワクワクしていた
『おおお。』
『あんなに大きい』
『いや。俺たちが小さいだけだろう?』
『肉だ。ついに肉だ。』
『俺にも肉をくれ』
『冷静になれ。』
『今はもらえないぞ。』
『くぇくぇ・・・』
『おい。転送なら出来るんじゃねえか?』
腹を減らしたリヒテがつぶやく・・
『魔法使ったらばれちゃいそうだよ。』
『意外と気にしねえかもしれねえぞ。』
にょろにょろは肉に気を取られているが、バドバドは、アームの胸にある鎖の先の石にたどり着こうと必死だった。
そして・・・・ついに・・・・
ーーーーーーシュバルツァーーーーーー
「パンテェールさん・・」
「なんだラビー?」
「本当のことを話したらいかがですか?」
「誰に?」
「ライ様やレオ様にですよ。」
「・・・・・分かってくださるだろうか・・」
「心配をしていても始まりません。」
ーーーーーーーーアルテミアーーーー
「この肉は美味しいのよ。兎鳥という鳥の肉なの。」
女は真っ赤な唇で肉を食いちぎった・・・
『うわ・・・』
唇の端からしたたり落ちる肉汁・・・それを下でべろりとなめとる・・
アームも黙々と食べている。
美虹は黙ってスープを飲んでいた。
その時・・・
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にょろにょろは肉を食べたいあまりに鎖からテーブルに落下してしまった。
慌てて皿の影に入るにょろにょろ・・・
「アーム、何か落ちたわよ。」
女は目が良いようだった。
アームはきょろきょろしたが
「何も見当たりませんよ。ごみでも落ちたのでしょう。」
と答え、肉を食べるのを再開した。
ついにバドバドはペンダントの先の石にたどり着いた。石を嘴でつつく・・・・とその時
・・・・・
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「どうしたの?さっきからスープしか飲まないわね。」
「は・・・はい。僕これからどうしたらよいのか分からなくて胸が一杯なんです。」
「ふふふふ・・・今日は私と一緒に休みなさいな。」
「え?」
「お方様。」
「いいのよ。明日にはこの子も・・・・」
なんなのだ?
『やばいぞ。』
『襲われるんじゃねえのか?』
アームの胸元が光った!!!!それと同時に胸元からペンダントが飛び出し、美虹の所に飛んで行った・・・・




