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WHYとWHITE DRAGON !!!!  作者: 猫山
2 出発
69/81

69 え?まさか?

 まずい・・・

 三人の心をよぎる思い・・・


『・・よくみろ。こいつ、人間だ。』

『え?』

 確かに耳としっぽがない。

『まさか?』

『・・いや・・こいつ・・絶対アームだ。』



・・・


『大丈夫だ。俺たちも別人になっているんだから。』

 そう。美虹は20才くらいの青年に。リヒテは兎獣人に姿を変えている。レオはリヒテの髪の毛の中に・・・シラミみたい。見た事ないけど・・・と美虹は思ったが、賢明にも口には出さなかった。



「おまえは?」

「ぼ・・ぼく?」

「こいつを捕まえたにしては華奢だな。」

「え?気にしてるんです。」

 美虹は仕方なく答えた。

「名前は?」

「っ・・り、リヒテ。」

「そうか。リヒテというのか。魔法使いだな。」

 美虹は慌てた。リヒテの名前を聞かれたと思ったのに。どうやら、自分の名前を聞かれたようだった。今更訂正するのもどうかと思ったので、黙っていると、

「おまえ。流れの魔法使いか?」

「流れ?」

「誰にも仕えてないのか?」

「は・・・はい。」


 そう言う間にも、リヒテがどこかに連れて行かれてしまった。


「あ・・・あの人、どうなるんですか?」

「あ?気にする事はないよ。それより、アルテミアに仕えてみないか?」

「アルテミアに?」

「待遇は良いぞ。」

「はあ。」



 美虹は金貨を1枚貰い、

「仕える気があるならこれから連れて行くが。」

と言われた。 

・・・連れて行くって・・・どこに?焦る美虹に

『連れてって貰え』

と言う指示。ええ?無茶な。

『大丈夫だ。おまえはリュウと一緒だろう?』

 そうだけれど、時々頼りにならないんだよね。

・・

『何?何か失礼な事を考えた?』

 リュウが聞いてきた・・・

『私と二人で大丈夫?』

『う・・・不安だけど・・・』

 ほら。リュウもそう思ってるし。美虹は少し不満だった。



・・・・・




 そして今・・・


 さっきの兵舎の脇にある建物の一室で美虹は窮地に陥っていた。


「この者か?」

 入って来たのはあの宰相夫人ではないか。

「はい。母上。」


・・・え?母上?アームの?え?・・・混乱が顔に出たのだろう。

「どうしたのだ?」

「おい、リヒテ。」

・・リヒテ?リヒテは今・・・『美虹ちゃん。美虹ちゃんの事だよ。』

リュウの方がよほどしっかりしているようだ。

「あ・・・はい。あまりに綺麗だったので。」





・・・・・・・・・アームは、まだ他に用があるのでと言って・・出て行ってしまい・・・・


 ・・・美虹は・・・・



・・・ソファに座らされ、隣にあの宰相夫人がべったり座っているという状況に陥って・・・・・・


『泣きそうだよ。』

『頑張れ。』

『臭いよ。』

『負けるな。』

 リュウと美虹の会話であった・・・





・・・・・・その頃・・・・




 ライはこっそり傷病棟へ忍び込んでいた。かなりの重傷だった者も、良くなってきているが、未だに行く先が決まっておらず、仕方なくここに残っている者が多い。そんな中、虎に変装したライは歩いていた。

 ぼんやり座っている者達の目はどんよりしている。命令されなければ、なにもできないのだ。

 食事だけは与えられれば食べているようだが、必要最低限しか口に入れていないらしい。皆がりがりにやせ、目だけが異様に大きかった。


 そんな中、シュバルツァーの女将がいるのが見えた。

『なぜだ?』

 女将さんは、一人一人に声をかけ、何とか食事を摂らせようとしている。


・・やがてため息と共に女将さんが帰り始めたのを後を付けていく。


 シュバルツァーの店の近くまで来たとき、

「私に何の用だい?」

 ライは驚いた。気配を殺して付いて行っていたのに見抜かれたからだ。

「少し話がしたい。」

 ライの言葉に、

「どこの誰だか分からない者に話す事はないね。」

 にべもない。


「ここでは私が誰だか告げる事が出来ない。部屋を取りたいが開いているか?」

 険しい顔をした女将は、

「何かあったらただじゃすまないよ。」

 そう言って先に立ってシュバルツァーの扉をくぐった。


「今開いているのは一番高級な部屋だけだ。払えるのかかい?」

「いくらだ?」

「金貨5枚だ。」

ライは隠しから金貨を10枚だした。

「これで。」

「2泊だね?」

「ああ。」




「食事は別だよ。」

ライはまた金貨を出した。

「1枚で良い。」




 女将は側にいた男に

「案内して。」

と言った。

「話が出来るのは?」

「夕飯の時だね。」





・・・・その頃レオとリヒテは・・・




「おい。」

「殴り過ぎちまった。」


 死んだふりをしているリヒテを蹴飛ばし、

「捨ててこい。」

「俺が?」

 一人が嫌そうに答えると、

「おまえが殴ったんだろう?」

 と声がする。

『痛くないようにしていたから良いようなもんだ。全く手加減なしだからな。』


・・

「まあそうだが。」

「行ってこいよ。」


「報告はどうする?」

「おまえが殴っただけで死んだんだから、兎は弱かったとでも言うしかねえだろ。」



・・・・


 担ぎ上げられ、ゆっさゆっさと運ばれる・・・

 やがて、兵舎の後ろに掘られた穴の中へ投げ込まれていた・・・

 そこには沢山の獣人の・・・死骸があった


「そろそろ埋めないと臭ってきたぞ。」

「明日、アーム様に言って埋めて貰おう。」



 声が離れて行った。


「くせえ・・・」

「それより酷すぎる・・」


 二人は兎獣人の死体もどきに見えるよう、服を着せた木を残して透明になった。


『美虹?』

『助けて』

『どうした?』

『この女の人が私に迫ってくるの。』

『そ・・・それは・・・』


『いやああああああ』

 二人は慌てて美虹のいる所に走って行った。

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