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WHYとWHITE DRAGON !!!!  作者: 猫山
2 出発
62/81

62 大団円にはまだ早すぎる



 にょろにょろのあとを美虹は追いかける。意外と彼らは速い。その後ろをパンテェールの車椅子が走る。勿論ラビーが押している。こちらも速い。途中階段がある。後を付いてこれるのかなと美虹は一瞬心配したが、それより、今は急がなくては。


『おい。俺もじきに着く。』

『わ・・・分かった・・』


 心で思うのに、息が上がって応えられないはずはないのだが、何となく息切れの答えをする美虹。



 ドアの前・・・何人かが立っている。

「中に追い詰めたのか?」

 いつの間にか美虹に追いついてきたパンテェールとラビー。

「はい。でも、匂いがきつくて。」

「おまえは?番がいるのか?」

「はい。でも、あの匂いはすさまじいです。」


 番のいない者は口と鼻に布を巻いていた。

「この匂いもきついです。」

 かなり酷い匂いのするモノが染みこませてあるらしい。


 そこにレオとレッグがやってきた。レッグは鼻にしっかり布を巻いている。

「レ・・レイン?布を巻かなくて良いの?」

「俺には番と決めている奴がいるからな。大丈夫だ。」

「・・・」

 美虹は少し悲しくなった。何故かな?と思いながらも壁の向こうのライとリヒテを心配する。


『ライさん?そっちに匂いは、いってるの?』

『いや。分からない。だが変な感じがする。リヒテと一緒に少しこの部屋を離れるぞ。』



「開けるぞ。」

 レッグか言い、扉は開かれる・・・・




 とたんに飛んでくる鋭い針のようなモノ。

「あ。危ない。」

 

 美虹が叫ぶより速くもっと針が飛ぶ。

『美虹結界。」

『あ。』

 慌てて

「え・・・と・・・え・・・と・・・レインボーバリヤー・・・///////・・・・・」

 なんて恥ずかしい。こんな言葉付けなければ良かった。美虹は思った。

 その言葉と共に針は飛んでこなくなった。

「いくぞ。」

 レッグが叫んで扉の中に・・

「い・・・いない?」


 王の間には誰かがいる気配がなかった。

 

「いないわけがない。さがせ。」

 パンテェールの声が響く。


「こっちだ。」

「こっちにいる。」

「ここだ。」

「肉だ肉をくれ。」

「俺もそろそろ肉が欲しい。」

「うるさいぞ。この布の下だ。」

「めくってみろ。」



 レオがさっとベッドカバーをめくった・・・誰もいない。

「穴だ。穴がある。」

 ベッドの下でにょろにょろが叫んでいる。

「ここに入った。」

「追いかけるぞ。」

「肉だ。肉をくれ。」

「肉を追いかけるぞ。」

「ちょっと違うぞ。」

「良いから行くぞ。」



「小さい穴だ。」

 のぞき込んだレオが言う。

『こんな所に穴があったのか?』


『王の部屋には穴などなかったぞ。』

『執政官が作ったんじゃねえのか?』


 ライとリヒテの声がする。

『まさかそっちに行ってるんじゃ?』

『ここは王家の者と許された者にしか道は開かれない。』



「俺たちじゃ狭くて入れないな。」

 そう言ってレッグが美虹を見た。

「おまえなら入れる。」

「駄目だ!!」

 レオが叫ぶ。

「こいつは行かせない。」



「ただの人ならな。だがこのヒトは違うのだろう?」

パンテェールが聞く。

「な・・・」



「行くよ。にょろにょろも行ったし。大丈夫だよ。」

 美虹はそう言って足からソロソロと入り込んだ・・・と思ったら

「きゃ~~~~~~~~~」

 悲鳴を上げて落ちていった。


「み、美虹っ」

 叫んでレオが無理矢理、力業で穴に飛び込む。穴が一瞬爆発したかのように見え、次の瞬間には広がった穴があるばかりだった。




・・・・・




「やはりあの人は美虹さんだったのか。」

 パンテェールが呟き、ラビーも頷いた。

「広がったから俺たちも行くぞ。」

 レッグが言い、何人かが一緒に穴に飛び込んだ。




 落ちる落ちる・・・

『美虹ちゃん!!浮遊だ!!』

『ふゆう?』

『浮くってことさ』

『あ・・・・』

『ぼくがするよ。』

 落ち方が不意に緩やかになり、ふんわりと美虹はどこかに着地した。落ちた先に横穴が続いている。奥を誰かが駆け抜けていくのが見えた。その後を追うのはにょろにょろだろう。匂いがきつい。

『目は見えてるよね?』

『うん。この前唯一さんが見えるようにしてくれたから。』

 走り出しながら会話を交わす。




 後ろから、

『美虹!!』

と呼ぶ声がする。

『レオ。私走ってるよ。』

『待て。』

『待ってたら逃げられちゃうよ。』


 そう行っているうちにレオが追いついてきた。駆け抜けながら美虹を抱き上げる。今の姿は10才の子どものモノではないのに、軽々だ。


「わ・・」


「黙ってろ。舌を噛むぞ。」


 前を走るにょろにょろもいっそう速度を上げていく。

 にょろにょろ・・・速~~~い。美虹は驚いた。


『あいつらとて魔物。普通のにょろとはちがうだろうよ。』

『・・あの女の人も、もしかしたら魔物なの?速すぎるよ。』


『『『『『まさか?』』』』』







・・・・・







「どっちにいった?」

 レッグは穴の底で叫ぶ。道は前後に開かれている。

 次々に滑り落ちてくる仲間の音で、先を走るものたちの気配が分からない。

 5人目が落ちてきた所で全員に音を立てるなと合図をするが、

「向こうか?」

「かすかに音が聞こえるような?」

「こっちからもかすかに聞こえます。」



「仕方ねえ。2手に別れるぞ。」

六人しかいない仲間を2手に分けた。そこへもう一人降りてきた。

「スルーか。」

「気配は任せろ。」


 皆静かにスルーを見つめる。


「こっちだ。」

 正しい方向を見つけ、皆で後を追い始めた。もうその頃には女も、にょろにょろも美虹とレオも穴から出てしまっていたが、そんなことは知るよしもない。



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