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WHYとWHITE DRAGON !!!!  作者: 猫山
2 出発
51/81

51 騙る者

ご飯の後、袋をぶら下げて一人で帰れそうな所まで送ってもらった後、レオと別れた。

 別れる前に、

『誰か付いてきている。俺の後か、おまえの後かは分からんから、俺は一旦自分の隊にもどるが、見てるから安心しろ。』

って・・・安心できないことを聞かされた。あと少し・・・部屋に向かって歩いていると・・・


『ねえ、後ろずうっとついてきてるよ。』

『やっぱり?私もそう思ったんだ。』


 意を決して美虹は立ち止まり、後ろに向かって声をかけた。

「だれ?」




「分かってたのか?」

 さっきの黒豹獣人だった。

「何か用?」

「その袋が気になってよ。」

 近づこうとしていたので、

「レインボーバリヤ~~~(////恥ずかしい///)」




「おっと。俺は何もしないぜ。」

 男は立ち止まり、両手の平を美虹に見せた。

「近づかなくても用件は言えるよね?」

 美虹は警戒してレオに通信を開いた。

『レオ、こっちに来てた。』

『行きたいが、今すぐは無理になった。待てるか?

・・・通信回路開けたままにしろ。』

『うん。』


・・・




「なあ。おまえ、王家に仕える気はねえか?」

「どういう意味ですか?」

「俺はな、この国の王子なんだ。」

「は?」

「レオパルトって言うのが本当の名前だ。

 おまえは見たところ優秀らしいし、俺と組んで王国を再興しねえか?」


・・・


「あなたが王子だという証拠はあるんですか?」

「証拠?そんなのは王位に就けば必要ねえだろう?俺と組んでパンテェールの武力を貰って王国を立ち上げようぜ。」



 聞いていられない。美虹は、

「お話というのはそれで終わりですか?」

と聞いた。

「ああ。どうだ?」

「どうだと言われましても・・あなたのことを知りませんし、真実かどうかも分かりませんし。」




・・・足音が聞こえてきた。男は一瞬びくっとし、

「まあいい。誰にも話すなよ。また返事を聞きに来る。」

と言って去って行った。


『レオ?』

 足音は別の兵士だった。どこかに呼ばれていくらしく、こっちを見もしないで通り過ぎていった。


『すまん。行けなかった。聞こえてはいたんだが・・大丈夫だったか?』


・・

『ねえ。あんなこと言っていたんだけど。』

『ふん。何を企んでいやがるんだ? 美虹、ついて行っちゃ駄目だぞ。』

『得体の知れないのにはついていかないよ。』

『どうかな?』

『信用してよ。』









 研究室に戻って結界を確認する。

「なんだったの?」

「分からないね。」

 リュウと話しながらも油断しないで部屋の中を見て回る。午前中あらから片付けたとはいえ、まだ得体の知れない魔具はそのまま机上においたままだ。一応は無効になってはいるが・・・短剣だけは不気味に無効がかからないままになっていた・・


 真ん中にある指輪。王家の紋章入りで、守護魔法がかかっている。これはライに見て貰った方が良さそうだ。レオに言わなくていいかな?後で言えばいいか・・・


『ライ?』

 呼びかけたらすぐ答えてくれた。

『なんだい?美虹ちゃん。』

『実はね、魔法使い用の研究室でこんな物を見つけたの。見てくれる?』


 映像を結ぶのは少し難しそうだったが、写真をスマホで送るような気持ちで繋いだら、届いたようだ。

『これは・・・』


 しばらくの沈黙の後、

『おそらく、王妃の指輪だ。実際に見なければ断言は出来ないが・・・レオの母親の指にはまっていた物と似ている。これが何で魔法使いの研究室にあるのかは分からないが。』


『そうだよね。普通は宝物庫だよね?』


『直接手に取って見たい。ここまで持って来れないか?』

『え・・・王宮の中を王の部屋まで?・・・無理。』


・・・


『転移魔法は使えるかい?』

『使ったこともありませんよ』

『その部屋の場所が分かれば僕が行くんだが。』



『レオなら分かるかも』

『いや。レオにはその指輪のことはまだ話したくない。』

『なんで?お母さんの指輪でしょ?』

『違うかも知れない。それを確かめたいんだ。』



 美虹は困ってしまった。



『外に出られないか?リヒテに取りに行ってもらう。』

『私、外って言っても城の出入り口しか分かりませんよ。ずっと城の中でしか動いていませんから。あ・・・庭みたいな所には出たことはあります。魔法をテストされたとき・・』

『テスト?』

『あ。試験です。』





様子を聞いていたライは、

『そこなら井戸が近くにあるはず。そこまで持ってきて欲しい。』

と言う。



 美虹は、きょろきょろと廊下を見ながら進んでいる。

『どこへ行く?』

 レオから声をかけられたので、この前の試験会場に行きたいのだと伝えると、道を教えてくれた。美虹は、レオの記憶力に驚いた。

『凄いね。』

『普通一回行ったことがあるところなら、すぐ行けるだろう?』

 反対に、そう言われて面白くない気分になったことは、レオには言えなかった。



 無事リヒテに指輪を渡して部屋に戻る途中、美虹は、パンテェールとラビーに会った。

「おや。ミクティ君。」

 一瞬ミクティって誰?と思いかけた美虹は、自分のことだと気付いて慌てて

「こんにちは。パンテェールさん。こんなところで?」

「王の部屋に行っていたんだよ。」

「あ。」

「幻に会えないかと思ってね。」

 ラビーが

「見間違いですよ。」

と言うのを聞いて、

「パンテェールさんは前王のことが好きなんですね?」

と聞いてみた。

「自分は王家の人間に敬意を払っているのだ。」

・・・じゃあ、あのこと言ってもいいかな?

『レオ、さっきのレオを騙ってる黒豹獣人のこと言ってもいい?』

『あ?ああ。パンテェールか。いいだろう。』



「実は・・・」


・・・

 美虹の言葉に、パンテェールは色めきだった。

「黒豹?レオと名乗ったと?」

「ええ。レオパルトだと言ってました。」

「こうしてはいられまい。ラビー、行くぞ。」

「はい。」





・・・『美虹ちゃん?』

『リュウ。良いでしょ?』

『多分ね。』




 それから王宮は大騒ぎになったようだった。ようだったというのは、美虹は直接知らないからだ。美虹はレオと夕飯を悠々と食べていたのだから。食堂にいたものたちも色々噂をしゃべり合っていた。断片的に入って来た話では、レオを騙る男はあまり好かれていないようだった。


『あの偽物、どうなるのかな?』

『さあな。』

『王の間を開けさせるんだと思うんだけど、親戚とかじゃないの?』

『ここは基本黒豹の国だ。それなりに黒豹人はいる。ただ、王家の者は数は少ない。俺とライ。それからどこかにいるライの伯母さんだな。ライもその伯母さんのことは良く分からんと言っていたな。後は市井に落とし胤がいるかというと、まずいない。』

『どうしてわかるの?』

『王家の者は望まなければ子をなせないのさ。』

『は?』

『血筋を守るため。そして儀式の為だ。』

『それだけ?』

『他にもあるぞ。獣人には番が必ずいるんだ。番とでなくては子は為せん。』


『番?』

『ああ。一生見つけられねえ者もいるがな。』

『レオは?レオは見つけたの?』

『おまえ、俺にそれを聞くのか?』


 美虹は興味津々だった。


『・・・ああ。いる。』


・・・


『そ・・・そうなんだ?』

 美虹は何故か少し面白くない気分になった。

『ああ。』

『その人と一緒になれるの?』

『わからん。だが、極力努力はするぞ。』

 美虹は何だかもやもやしてきた。

『ふうん・・・』

 食べ終わって立ち上がったところにレッグが来た。

「おい。ミクティ。俺と一緒に来い。」

「え?」

「俺も一緒じゃだめか?」

 すばやくレオが立ち上がって美虹の前に立つ。


「おまえ、過保護だな。」

「よく言われる。」


「しかたねえ。一緒に来ることを許す。急げ。」





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