50 弱点?
美虹はにょろにょろを連れて研究室の扉を開けた。まず、研究室の中を探索する・・・
「あ。魔具みっけ。」
美虹は盗聴目的らしい魔具をまず見つけた。
『昨日は感じられなかったんだけど、なかったのかな?』
『うん。僕も気付かなかったからね。』
誰が。何の目的で?部屋のも食事をしているときに仕掛けられたようだったし。美虹は考え込むが、
『分からないわ。』
・・・・無効・・・・
『おい。そういえば』」
『わ・・・』
美虹は、いきなり聞こえてきたレオの声に驚いて周囲を思わず見回した。
『通信回路を開けたんだ。』
『ああ。電話・・・』
『あ?』
『言うのを忘れていたことに気付いたんだ。昨日は1つしか気付かなかったが、まだ盗聴目的の魔具があるかもしれねえから、念入りに探索しろよ。』
『・・うん。まだ力不足だから・・・』
『リュウと力合わせな。』
『だよねえ。でも、誰が何の目的で盗聴なんてするんだろう?パンテェールさんがするって思えないんだけどな。・・
あ・・そう言えば、これならライさん達にも通信出来るよね。』
『おまえはしなくていい。昨日のは俺がしておいた。』
『え?いつの間に?』
『おまえが体を洗ってるときにだ。』
仲間はずれにされたようで少し納得がいかなかったが、もともとライ達はレオの仲間だ。美虹がとやかく言うことではない。
『またな。何かあったら俺を呼べ。心の中でだぞ。』
・・・・・少しすねた気持ちになった美虹が黙っていると、
『昼飯は一緒に食うから、行くとき連絡する』
『・・・うん。』
・・・
「びっくりする。急に言葉が頭に響くと驚くよね。何か呼び出し音が鳴るようにするとか・・・なんてね?」
美虹は思わず独り言を言ってから慌てて自分で口を塞いだ。昨日ここで・・一人で何か言ってなかったか・・・急に心配になる。昨日は何もなかったと思うので大丈夫・・・とh思ったが。昨日なかったのに、今日はある・・・鍵を持っているのは誰?
あちこち見て回る・・・美虹には魔力が感じられるが、何のための魔具なのか、よく分からない。それらしき物だけ、昨日片付けてすっきりした机の上に置いていく・・・
『そうだ。人が来たのが分かる装置ってないのかな?リュウ?出てこれる?』
口に出さないように慎重にリュウに呼びかける。
『ちょっとやめとくよ。でも、頭の中での会話なら大丈夫。』
『にょろにょろ達は出しても大丈夫かな?』
美虹はもう一つ気になっていることを聞く。
『にょろにょろ?』
リュウの言葉に、にょろにょろ達が反応した。
「おう。俺たち出て良いのか?」
『おまえ達に言ってないよ。もう少し待って。美虹ちゃんと一緒にこの魔具を確認し終わってからね。』
「おう。」
にょろにょろにも心話で話して貰わなくちゃね。でも・・・四六時中、肉肉と話しかけられたら変になっちゃうかな・・・
魔具の山は左右に分けていく右は得体の知れないもの・・・
左は用途が分かった物。
右の山はまとめて発動出来ないようにしっかり無効の魔法をかける。
それから左の山に目をやる。
守護魔法のかかっている指輪。王家の物らしい。レオと似た気配がする。別のテーブルに移動する。
攻撃に特化した短剣・・
「これ。何か閉じ込められてる気配がする。」
リュウが言う。
「何?」
「分からないけど、あんまり良い気配じゃないね。」
ということで、真ん中に。
役に立ちそうな物は別のテーブルに。
役に立たない怪しげな効果のあるものは、分からない物と同様、無効をかけた。
『この短剣。無効をかけても気配が変わらないね。なにかあるのかな?』
『ライなら知ってるかも知れないよ。』
『そうだね。後でレオに相談してみる。』
・・・・・
『昼に行くぞ。』
「わ・・」
レオから連絡が入った。
扉を開けたらレオがいた。良かった。食堂まで一人で行ける気がしない。
美虹とレオは廊下をゆっくり歩く。にょろにょろも心配なので、連れてきている。
『まさか・・騒ぎになるなんて・・ことは・・ないよね?』
食堂は混み合っていた。並んで昼定食を受け取り、空いた席を探す。
隅の方にかろうじて空いていた席を確保し、座る・・・席を探したり、歩いたりしているとき周囲が何となくざわめいているような気がしたが、美虹はすぐ座り込んだ。
座って気が付いたが、気のせいではなく、どうもじろじろ見られているようだ。
・・・
『何をじろじろ見てるの?』
『パンテェールが選んだ初めての魔法使いってことで、注目を集めているようだな。』
相変わらず量が多い。さりげなく小さく肉を切って袋に入れる美虹。
「おい。何してるんだ?これはなんだ?」
声と共に袋が奪われた。
「あ。返してください。」
袋を取り返そうと焦って美虹は立ち上がった。
袋が蠢く。
「うわ、なんだ?」
取り上げた男が叫んだので、さらに回りのものたちの注目を集めてしまったようだ。
「おい。返せ。」
レオが袋を取り上げようとしたのと、その男が袋を放り投げるのは同時だった。
「あ。」
「うわっ」
袋は、たまたま美虹の後ろの席にいた男のスープに飛び込んでしまった・・・
「す、すみません。」
慌てて回収しようとする美虹の手をその男がつかんだ。
「なんだよ。俺のスープ。どうしてくれるんだ!」
「ごめんなさい。わざとじゃないんです。」
「おまえ魔術師なんだろ?魔法で取り返してみろよ。」
・・・・
『魔法は出来ると思えば出来るだったね。レオの師匠の教えは?』
『ああ。俺がやっても良いが、俺が使ったと知られると色々まずい。』
簡単に通信した後、
「レインボーブリッジ!」
きらきら光る虹色の何かが袋に伸び、袋を絡め取って美虹の元に運んだ。
「お・・・すげえ。おまえ本当に魔術師なんだな?」
「魔術師?」
「魔法使いとも言うみたいだが、俺の国では魔術師って言うんだ。」
やけに親しげに話しかけてくるのは、やはり黒豹人だ。
『レオの親戚?』
『いや。しらん。』
「もういいでしょう?スープは僕のと代えるよ。」
さっさとスープ皿を交換して座る。袋が濡れてる・・・
「レインボードライヤー」
とりあえず、最初に言ってしまったからには、何にでもレインボーを付けちゃえと言う安直な考えが美虹にはある。ただし、言ってから恥ずかしくなるのがこのレインボー何たらの弱点と言えるのかもしれない。




