44 あ・・
私達は、ゆっくり道を歩いてる。私は15の男の子。ライは耳としっぽを黄色く変色させている。魔法ではなく、染料で染めたんだ。顔は少しいじってるけど、黒から黄色に変えただけで、雰囲気が違う。
歩き方とか、しゃべり方をリヒテのまねだって言ってしてるんだけど・・・チャラ男?慣れないなあ。
兵士の募集があることは、今朝までいたシュバルツァーの壁にも何枚かチラシが貼ってあったから分かっている。
「なんで兵士を募集するんですか?」
って女将さんに聞いたら、
「もしかしたら近々戦いがあるかも知れないからですよ。でも、ぼくちゃんにはまだ早いかな。」
って教えてくれたんだ。
「戦いは嫌だよ。」
って言ったら、
「必要悪って奴ですかね。」
って困ったように笑ってた。
・・女将さん。何か不思議な人だったなあ。わざわざシュバルツァーを名乗っているし・・・でも、ライは女将さんのこと知らないみたいだったし。宿屋自体も知らなかったみたいだし。
レオは3才くらいまでしか王宮にいなかったんだから、知るわけないし。リヒテも・・・知らないみたいだった・・・でも。女将さん。黒豹だったよ。あの耳。しっぽ・・・でも、猫もあんな感じかな?・・・もしかしたら王家に関係ある人なのかな?それをレオやライに言ったけど、やっぱり分からんって言うだけだった。気になる。
「明日の早朝に受付があるらしい。とりあえず、泊まるところに行くぞ。」
もう?お昼に近いし、確かにさっさと決めておいた方が良いかも。昨日より、道行く人が多いし、何より、剣をつった男がやたらと目に付くんだ。
「早めに宿を確保しねえとな。」
何日か前に皆でご飯を食べたところに行った。うまく一部屋開いていると言うことで、そこに決めた。お風呂がここにはないと言うことで、街にある湯屋に行くかと言われたけど・・・男風呂でしょ?ちょっと嫌だよ。
昼食の後、私に杖か、剣を買うと言うことでちょっともめた。剣なんて使えないよ。杖は杖で、まともに振れないに違いないし。本当に困ってしまった。
「大丈夫だよ。きっと杖なんてなくても発動するよ。」
リュウがささやいてくれるけど。
「無詠唱ってのはあんまり見たことがねえからな。」
「あれ?レオも基本無詠唱だよね?」
「言ってるぞ。」
「杖はどこ?」
「何かあったときに見せるために持ってるぞ。普段は邪魔だからしまってあるだけだ。」
「あの剣と同じとこに?」
あの剣・・・オニキス《黒ダイヤ?》がはまっている剣だ。私の胸元にもオニキスで飾られた首飾りが隠されていた。今はオニキスが短剣に戻っちゃったので、胸元には何もない。ちょっと寂しい。
私達は魔法道具屋に来ている。
「マントと杖が欲しいんだが。」
中に入ってすぐ店先に座っているおじさんにレオが声をかけた。おじさんはレオをじっと見てから、
「杖?」
と聞いた。
「折れてなくしてしまったんだ。」
と答えるレオ。なぜ?
「おまえさんかい?」
「いや。この子に。」
おじさんが初めて私に気が付いたようにこっちを見た。
「ふうん・・・不思議な気配がするな。」
どき・・
店主?が今度は私をじろじろ見て、
「長いのより、短い方が良さそうだな。」
と言った。
魔法使いの杖って長さが決まってるわけじゃないんだ?そういや。ハ○ーポ○○ーのは短かった・・・
ぼ~っとしていたら、残念な子を見るような目つきで見られた。
「このコは少しぼんやりしているから、せっかく作っても、杖を落としたり、壊したりしそうだな。」
聞こえてるよ。ちょっと失礼な人だ。
「ああ。そうかもしれん。」
レオも大概酷い。
「ではこれ辺りよさそうだと思うぞ。」
出してくれたのは
「杖じゃないよ。これ。」
「腕輪みたいだな。」
腕輪と言っても、手首じゃなく、二の腕にはめるんだそうだ。
「これならなくさないだろう。」
「え?そう言う問題なの?」
「そう言う問題らしいな。」
「実は試作品なんだ」
っておじさんが言った。
「試作品?」
レオがいぶかしげに聞き返す。
「既存のモノじゃつまらんと思ってな。」
おじさんはにやにやしている。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫かどうか、試して欲しい。」
で。試作品。
「値段は?」
「まあ。気持ちだけ。」
マントも無事手に入れた。この前と違う深緑色のマントだ。いろいろな付加も付いているらしく、これも試作品だと言っていた。
店を出て、少し行ったところで。
「ねえ。大丈夫なの?」
と聞く。
「あそこの魔道具屋はかなり評判がよいらしい。」
「リヒテが言ってたの??」
「ああ。食堂の女将も言っていたぞ。」
「見た感じは?」
「悪い雰囲気ではなかったからな。」
「でも。杖を持って魔法使いだって分からせるつもりだったはずでしょ?これじゃ見えないじゃいの。」
あ・・・




