42 短剣と龍石
待つのってほんと・・・時間がなかなかたちゃしない・・・まだかなあ・・・
最初は座ってまってたけど、だんだん立ち上がってうろうろし始めていた。これはいけない・・・寝台に上がって寝転がる・・・寝ちゃお・・・だめ。眠れない。また立ち上がってうろうろ・・・何回繰り返したのかな。やっぱり行けば良かった。
「何をがさがさしてるんだ?」
「気になるぞ。」
「ちゃんと帰ってくるから心配するなよ。」
「肉さえ持ってくれば」
「肉だな。」
「肉肉言うな。」
「そうだぞ。悩んでいるんだぞ。」
・・・慰めてくれている?
「肉の土産が楽しみだ。」
・・・あ・・・そ・・・こちらは怪我でもして帰ってこないか心配してるのにさ。
リュウが目の前に出てきた。
「もうじき帰ってくるよ。」
「分かるの?」
「うん。何か僕の中のカケラが教えてくれたよ。」
カケラ?
「龍石の?」
「そう。」
・・・
「なんで私には感じられないのかな?」
「まだ力が本物になってないからでしょ?」
「本物になるってどういうことかな?少しずつ何か使えるようにはなってると思うんだけど。」
「それは・・・唯一さんに聞いたらいいんじゃない?僕にはよく分からないからさ。」
「それはそうだけど。唯一さんは途中までしか教えてくれないんだ。後は考えろって事なんだと思うけどね。」
「なるほどね。」
にょろにょろ達がリュウの所に来て
「龍だよな?」
「龍だと思うよ。」
「龍のくせに龍の気配があんまりない。」
「誰でもいい。肉をくれ。」
「肉だ。」
「腹も減ってきたな。」
「そろそろ帰ってくるぞ。気配がする。」
「そうだね。気配がしてきた。美虹ちゃん・・じゃあまた。」
リュウはするんと私の中に戻った。にょろにょろ達はとぐろを巻いてまた誰が一番上になるか争い始めた。順番にすれば良いのにな。
にょろにょろ達の争いを見ていたら、音もなく窓が開き、3人が帰って来た。
「お帰りなさい。」
「起きていたのか?」
レオがいきなり私を抱き上げる。
「ちょ・・・ちょっと!!抱っこなんてしなくて良いでしょ?」
「いや。何となく・・・」
「寝ねえと明日に差し障るぜ。」
リヒテが言うけど、ライは
「レオ。あれ出してごらん。」
って言う。何?
・・・・・
レオが出した短剣は綺麗な黄金の鞘に入っていた。
「あれ?この鞘。」
宝石がはまっていたんだろうな。穴が開いている。
「ここにはまっていた石はなくなってしまったの?」
レオが
「本当だ。気が付かなかった。」
って。
「すぐしまったからな。」
「ここにはまる石。それがないと儀式は出来ないんだ。」
「石はどこにあるんだ?」
「もしかしたら・・・これ?」
私はレオを伺うように見る。頷くのを確認してから胸のネックレスを引っ張り出して皆に見せる。
「ああ。王妃のネックレス。」
ライの一言で固まってしまった。
「これってレオのお母さんの物だったの?」
「俺は持ってろと言われて持っていただけだ。」
ライが苦笑して
「ちゃんと持っていたのは良く分かった。使い方も間違ってはいない。」
「は?」
私が持ってるのは正しいの?
「貸してみろ。はまるか確認する。」
リヒテが言うので、またレオを見る。頷いたのを確認してからリヒテに渡す。だって。レオが持ち主だよね。確認しなくちゃ渡せないよ。
リヒテはナイフの先で石を外して短剣のくぼみに慎重に石を載せた。
「あ。」
石は吸い込まれるように短剣のくぼみにはまり・・・
「とれん・・」
「正解だったな。後は龍石と・・・」
「もう一振りの短剣か。」
「短剣の場所は分からないけど、龍石はすぐ見つかりそうだ。」
「どうしてそう思うの?」
「多分そのカケラ・・・あれ、あの小さい龍にあげたやつ。」
私とレオは顔を見合わせた。
「あのカケラ?」
「多分ほとんどの部分はパンテェールが持っているんじゃねえか?」
「龍石と短剣がないと多分儀式は出来ない。」
「パンテェールさんはおとなしく寄越すかな?」
私の言葉に皆黙った。
「彼は王家の存続を望んでいるの?それともただ、世界の滅びをなくそうとしているだけなの?それとも・・・」
どうなんだろう?
短剣はまたレオに渡された。
「おまえはもう寝ろ。」
目がしょぼしょぼしている・・・
「うん。残りの話は明日聞かせてくれるよね?」
「ああ。」
皆が帰ってきたから安心してすぐ眠ってしまったみたい。夢の中でまた唯一さんが出てきた。
『やあ。美虹ちゃん。』
『あ。こんばんは。』
『龍石と、儀式のことについて知りたいんだよね。』
『うん。それから・・・私・・・何も感じられないのは何故?』
『少しずつ目覚めてるんだろうけどねえ。なんでかな。僕にも分からないな。むしろ、なんでリュウの力を美虹ちゃんが完璧に使えないのか分からない。』
どういう意味?
『君はリュウだ。リュウは君だ。』
・・・・・
あれ?肝心なこと聞いてないよ・・・私はそのまま眠りの淵に落ちてしまった・・・
・・・
「寝たか?」
「ああ。よく寝ている。」
レオは美紅の頭をなでた。
「これからどうするんだ?」
リヒテが3つある寝台の一つに上がって寝転ぶ。
「いったん帰るか?」
言葉を続けたところにライが、
「いや。パンテェールに会ってみたい。」
と言う。そしてライも真ん中の寝台に上がった。
「ライとしてか?」
俺が確認したら、ライはにやっと笑った。
「リヒテに団に入団してもらおうじゃないか。」
リヒテが起き上がって抗議する。
「ええ~~また俺を働かせるの?」
「レオも一緒に行って貰おうか?」
ライがそう言うと、
「いや。俺は面が割れてる。」
レオが答える。
「俺だって大店の使用人だと割れてるぜ。」
リヒテも言う。
「姿を変えてはどうなんだ?」
・・
「女の人に完璧に変身出来たんだから多分いけると思うぞ。」
・・・・
「美虹はどうするんだ?」
「しばらく家に僕と一緒にいることになるだろうな。」
「だめだ、だめだ!!!」
レオは叫ぶ。
「危ねえ!!」
心底呆れたようにライが答えた。
「失礼な。こんなに小さい子に食指は湧かないよ。」
・・・だめだだめだ・・・
「いや。こいつは男のコとして俺と一緒に入団する。」
「馬鹿言ってるんじゃない。」
・・・・・
・・・・
なんだろ。おもっくるしい・・・暑い・・・
重い布団を蹴飛ばす。暑い・・・重い・・・
「いてえ!!」
どさっ・・・ん?布団がしゃべった?
・・・
目をこすりながら起き上がったら、ライがヒイヒイ笑いながら
「目を・・こすっちゃだめだ。」
って言う。
「うん。顔洗ってくる。」
寝台から降りようとしたら柔らかいモノを踏んだ。
「ぐえっ。」
あれ?レオだ・・
「レオ。何で寝台の下で寝てるの?」
レオが恨めしそうに私を見上げる。
「踏んでしまってごめんなさい。」
・・・・・
私はレオを踏まないように気をつけて次の一歩をだした。
「なんでリヒテもライも笑ってるの?」
「くくくく・・・なんでもねえ。」
変なの。




