35すりあわせ
「ここで・・・龍の役目ってなんなの?」
一番気になっていること。それはリュウが何で呼ばれたのかってこと。そして、リュウを呼んだ人が持っているものをパンテェールさんが持っているのではないかと思われること・・・
「龍は・・・特に白龍はアルテミアでも、シュバルツァーでも畏敬の対象なんだ。」
リヒテが教えてくれた。
「待って・・・確か・・レオは私と会ったとき、私がいた場所を目指していたって・・・」
レオは私を利用する気だったの?
「何の話だ?」
リヒテの声にはっとする。
「おい。何考えてるか知らんが、俺はおまえを利用しようなんて思っちゃいねえぞ。」
レオの慌てた声がする。
「どういう意味ですか?」
ライさんの冷静な声がする・・
「なんでもないよ。」
私は無理矢理声を出す。
「それより続きを教えて欲しいな。レオは分かってるんでしょ?」
「いや。俺はあんまり良く分からねえんだ。」
「まだ小さかったですし・・・師匠と僕とで相談して・・レオには詳しく話していませんから。」
「ちょっと待て。リヒテは知っているような感じじゃねえか?」
「それはあなたが4年前に出て行ってから詳しく話をしたんです。」
「そもそも何で4年前にレオだけ出て行ったの?」
「それはそこのあほが俺を見るなり攻撃してきてうざかったからに決まってるだろ。」
リヒテさんのせい?
「リヒテさん。なんで攻撃するようにいなったの?」
リヒテは私を見て少し顔を赤らめた。
「自覚して欲しかったからだぜ。」
「なにをだ?」
「この国の王になるのだという自覚だ。」
「待て。おまえ俺が出て行ってから詳しく聞いたんじゃねえのか?」
「俺はおまえより年上だ。事件が起きた頃俺は8才だった。だからある程度は分かっていたんだ。ライは俺をここに連れてきてくれた。おまえの相手としてな。」
「いや。リヒテ。相手をさせるつもりだけだったんじゃない。」
「分かっている。俺の命を助けてくれたってことはな。」
リヒテはため息と共にレオを見た。
「4年前おまえが黙って家を出たときは、俺たち青くなったけど、師匠が一人で行かせてやれというから・・・」
ライさんが頷きながら、言った。
「師匠は、レオが一人で行くべきだとも言っていたよ。師匠は少しだけど未来見も出来るようだったから・・・一人で行くことで・・・運命と出会うとか言ってたね。」
「運命?確かに師匠は、おまえ達に内緒で俺に家を出る仕度をさせて・・・ある日付の前後に必ずヒュー山の妖精の踊り場に行けと言ってはいたが・・・」
レオの顔を見ながらライが言った。
「その運命がその子なのかな?」
・・・・
「私?」
DRAGON?私?どちらと出会う予定だったの?
・・・
私の気持ちが分かったんだ?
「違う。何に出会うかなんて俺には分からなかった。ただ、行けば分かるとしか。」
師匠って?
「師匠って今どこにいるの?」
短い沈黙の後リヒテが答える。
「ネノクニさ。」
「ネノクニ?」
オウム返しに聞く。どこかで聞いたことのある響き。根の国か?黄泉の国?
「ああ。もうここにはいない。」
そっか。ここにはライさんとリヒテしかいないんだ。そう言えば前、言ってたかも・・・
・・・
「さっきの話に戻して良い?」
洞窟にワイバーンがいて、バドバドと戦って・・・ってパンテェールさん達のことかな?
レオは少し考えた後
「おそらくそうだろう。」
って。
「なにをしに行ったのかな?」
と言った後で、
「私達を召還する前?召還したとき?パンテェールさんが関係しているのは確かだと思うよね?」
レオのだけ聞こえるように付け加える。
ライさんは私の小さな声が聞こえなかったように、
「それは分からない。でも。パンテェールは、副団長だったはず。あのとき・・・アルテミアがやってきたとき、騎士団は全滅したと聞いているんだが。彼は生きのびて・・」
耳が良いから、絶対聞こえてると思うんだけど・・・
「単なる討伐じゃなさそうだったぜ。」
リヒテが口を挟む・・
「リヒテ。行ってはダメだと言っていたのに見ていたんですか?」
「しかたねえだろ。あの洞窟は入っちゃならんって言われていたところだ。何してるか気になるじゃねえか。」
・・・
「行ってみるか・・」
「は?」
「何してたか分かるかもしれねえ。で・・・パンテェール達が何を求めていたのか分かるかもしれねえ。」
・・・・・その日はまだまだいろいろな情報が入ってきた。レオの認識と離れていたり、パンテェールのことだったり・・・お互いの知っていることを付き合わせて考えたり・・・
ライさん達はここでひっそりと暮らしているだけでなく、定期的に城の近くの町に情報や物資を仕入れに行っていたらしい。ライさんはうっかり身元が割れるといけないので、滅多に行かなかったらしいが、リヒテは神殿でレオと同じような万ごと引き受けもしていたそうで、パンテェールだとは知らなかったが、傭兵の一団があの洞窟何かを求めて入ったと言う話も聞いていた。
「俺の所にも伝言鳥が飛んできたけどな。」
リヒテの言葉に、うっかり私は、
「アルテミアは傭兵が自国に来ていたのに放っておいたの?」
と聞いた。
「アルテミアは、不思議なことに放っておいたようだったな。アルテミアの兵士の何人かは傭兵団と一緒になって洞窟へ行ったという事だったからな。」
「え。もしかしたら・・」
「もしかしたら?」
「アルテミアと傭兵団は繋がっているのでは?」
ライさんの言葉に私も頷いた。
「可能性はあると思う。」
「敵対しているように見せているぜ。」
「元は一つ。あ。だからか。きっと・・・何かあってパンテェールさん達はアルテミアに反旗を翻したんだ。」
「パンテェールとアルテミアは同じと見なさないと言うことか。」
しばらくライさんは何事か考えていた。
「伝言鳥にレオの捜索願が出されているかもね。」
「この地には師匠が施した強固な結界が張ってあるから伝言鳥も入れない。おそらくワイバーンも。」
「ここは是非町にも行きたいものだが。僕は探す気のある者なら見つけ出されてしまいそうだ。」
「町に行くときは、にょろにょろを連れて行くと良いぜ。」
「にょろにょろ?」
「やつらこの世界の者じゃねえから、あいつらの回りはなんて言うかな。波動が乱されて変な錯覚を起こすんだ。」
え?
「初めて見たときも妙な感じがしたからな。」
気が付かなかった。もっとも夢中で対峙したことしかもう覚えていない・・
「確かに、にょろにょろには不思議な波動を感じるんだが。そんな彼らと一緒にいたら、かえって目立たないか?」
「大丈夫だろ。袋ごと持ち運べば。回りに与える波動については自分で調節もできるだろ?」
なんだかにょろにょろも巻き込んでの事になりそうだ。彼らはどこにいるのかとみれば、日当たりの良さそうなところでとぐろを巻き一番上に頭を乗せるのは自分だと7人(?)で争っていた。和む。
「町が先か?洞窟が先か?」
「ここは洞窟に行ってみたい。」
私の言葉にレオが頷いた。
「そう言うと思った。」
ライさんとリヒテは、はてなと言う顔をしていたけれど、自分が・・・ううん。リュウが呼ばれたわけが分かるなら・・・・・
あ・・・
「龍と100年祭との関係は?」




