24 ついでに訓練するぞ
私達は第3の依頼の内容がこの中心の都市ですることだというので、依頼された薬屋に来ている。
「依頼で来たのだが。」
「おお。」
あれ?フェーさん?
「フェーとそっくりだな。」
違う人?
「レオか?」
「ああ。おまえがフェーの兄か?」
兄弟なんだ。
「そっちがあれだな?」
「あ。あれだ。」
あたしを見てるよね?あれってなんだ?
袋がごそごそしてる。そろそろ飽きてきてるよね。
「にょろよろの首が欲しいんだったよな?」
え?まさか?
「俺たちの首か?」
「なんてこった」
・・黙れ・・
「だめ。」
「何言ってるんだ?依頼だ。」
私はレオの袖を引っ張った。
「にょろにょろなんてだめだよ。」
レオは小さな声で私の耳元で、
「こいつらじゃねえ。街道の向こうに頭3つのにょろにょろが出没しているんだが。こいつの牙から出る毒。正確には頭に毒袋があるんだが。それが薬になるんだ。」
って言った。あ。そうなの。良かった。このコ達のことかと思って焦っちゃった。・・
「交渉の邪魔をするなよ?」
「はいはい。」
私は袋にちょっとだけ顔を突っ込んで消音を解き誤解も解く・・・
にょろにょろ達涙目だったよ。可哀相に・・・
・・・・・
薬屋を出て、今夜泊まるという宿屋へ向かう。
「今日はゆっくり休んで明日速く出かけるぞ。」
「遠いの?」
「ああ。それから。この町で当分暮らすことになるから、宿屋出なく一軒家を借りようと思うんだが。」
・・・
「初耳なんですけど・・・おまけに、さっき傭兵さんを送ってくって行ったじゃない?住み着けないでしょ?」
「戻ってきてからだ。」
何で急に?
「ちょっとな・・・」
レオって変なの。
レオの選んだ宿屋は少し薄汚れたような感じの所だった。でも、ご飯が凄いボリュームで、食べきれないくらいだったよ。勿論肉や野菜も沢山あったので、7つずつさりげなく袋に入れるのは忘れなかったよ。中で小さな声で野菜は嫌だ肉をくれとわめいてるね。でも、野菜も食べなきゃ肉は入れてやらないよって伝えたらおとなしくなったけど。
街道を陽の昇る方、つまり、東に向かってる。
朝早かったから、眠い。でも、お留守番かと思ったら一緒に連れて行ってくれるって言うので喜んでるんだ。だって絶対足手まといだよね。何で便利な魔法がうまく使えるようにならないのかあ? たまに消音だとか防音だとか何か分かんないけど水も出せるみたいだけど・・・どうも思ったほどすいすいと使えるようにならないんだよね。
レオにそう言ったら、
「何か媒体があった方が良いのかも知れねえな。」
「媒体?」
「一般的なのは杖だな。」
「レオは使ってないよね。」
「そんなんはいらん。邪魔だ。」
あ・・そ・・・
「なんで私を依頼に連れてってくれるの?役に立たないのに?」
「・・・一人にしといてどっかに行かれたら困るからな・・・」
「どこにも行かないよぉ」
「いや・・・誘拐とかな・・」
「まさかあ」
私を誘拐して何の得になる?あ。リュウがいたか・・
「そろそろ出ると言われている辺りだぞ。」
「道の真ん中?」
「わけねえだろ。ここらの野原だ。」
広い広い野原だね。もったいないな畑とかにすれば良いのにな。
「ついでにここらで練習だ。」
「へ?」
「おまえの魔法だ。」
「消音と防音が出来るよ。水も出せる。」
「風だ。風を起こしてみろ。」
へ?
「こうだ。」
レオが指をひゅっと鳴らした?あれ?向こうでぎゃって悲鳴が聞こえなかった?
「ここにいろ。」
レオが走って行ったかと思ったら何かを手に持って戻ってきた。
兎くらいの大きさの物だ。
「兎?」
「兎鳥だ。」
良く見れば翼もあった。すご・・
「どうやったの?」
「指に風の球を乗せて弾いたんだ」
なんだそれ?
「最初は分からねえだろうから、ほれ。」
何か丸い物を私の手のひらにのせた。
「なに?」
「草の実だ。食っても美味いが、これを弾だと思ってはじけ。」
指で弾くより、投球の方がイメージ的に良いんだけどな。
「投げても良いの?」
「投げる?・・・まあ。思ったようにでいいだろうよ。」
私は小さな草の実を投げた。風に乗れ♪ふうわり・・・♪
・・・高く上がって・・・ぽとん・・・
「おまえ。やる気あるのか?」
え?いや・・
「何を狙って投げたんだ?」
「え?何も考えてなかった。」
「狙いを決めろ。それからあんなひょろひょろじゃ駄目だ。」
なんかかちんときた・・・
「もう少し大きな実が欲しいよ。これは小さすぎる。」
レオは呆れたみたいだ・・・その辺に転がっていた石をひょいと渡してきた。 ちょうどミカンくらいの大きさ。
まだ少し小さいかな。ま。いっか・・・
大きく振りかぶる・・・あの向こうで揺れている大きい草の先を狙ってみよう・・風を意識するんだったよね・・ひゅん・・・音がした。びっくり。
バズッ
何の音?
「お・・・おまえ。すげえ。」
レオが走り出した。それから何かを担いで戻ってきた。でかい。
「なに?これ?」
ドサッと足元に置かれる。角があるね。眉間から血が出てる・・・これ石が当たったのかな?
「ヒーシュだな。」
ひっくり返しながらレオが答える。
「鹿みたい。」
「おまえの世界では鹿って言うのか?何にしろ。これは美味いぞ。」
・・・う・・うん・・・自分が命を奪ったって思うとちょっと引くなあ・・・
「血抜きをするにはちょいと場所が悪い。いったんしまっておくぞ。」
はやく見えなくして欲しいから、うんうんって頷く。
「おまえは石の方が合ってるみたいだな。最終的には何もなくても空気だけ飛ばせるようにしろよ。」
そんな高等技術・・・
「何もないところで戦わなくちゃいけないこともあるんだぞ。」
戦うこと前提ですか?
・・私半分は白龍なんだよねえ?でも・・・全然らしくないよねえ・・・・
「ごめんよ。ぼく・・・」
あれ?
目の前に小さい龍。
レオが驚いてる。
「なんだ。やけにちっこいじゃねえか。」
「ぼく。みこちゃんと一緒だと大きくなれるんだ。でも。こうやって出てくると小さいんだって・・・」
「ほう?」
「ってことは?いつでも出ていて大丈夫って事だろ?」
「だめなんだ。まだ。僕が長いこと離れると、みこちゃんは死んじゃうよ。」
レオは黙った・・・妙な顔して私とリュウを見比べてるね。何?
「前言ったかも知れないけど・・ここの空気に私には毒の物があるらしいんだ。それに慣れるまで一緒にいなけりゃいけないんだってさ。」
「そう。離れてもあまり長いことは駄目だしね。」
・・・
袋が蠢いてる。
「出してやってよ。」
リュウが言う。
「なんでだ?」
「多分この世界のにょろにょろが近いんだよ。」
リュウはそう言ってにょろにょろの袋を鼻で押した。
レオは黙って袋からにょろにょろを出した。
ドサッ・・
「痛いぞ。」
「何すんだ。」
「誰だ?」
「肉だ。肉をくれ。」
「俺にもくれ。」
「俺は塩味が良いぞ。」
「邪道だ。」
・・・蛇の道はへび・・・関係ないか。
「なんか感じるか?」
レオが聞いたとたんに、
「肉が近い。」
そばにいるの?
「そうだ。肉だ。」
何の肉?
「おまえらまで肉か?」
ほんとだ。
「肉だ。肉をくれ。」
またこいつか・・・
「何でもいい。肉だ。」
また同調してる・・・
「俺もだ。」
「どこにある?」
・・・
辛抱強く聞いていたレオが、
「だから。何がどこにいるか分かるのか?」
って聞き返す。
そしたら一斉に、
「肉肉肉・・・・・」
五月蠅いったら・・・
出せと行ったリュウに詳しく聞こうとしたら・・あら?もういない。




