21 肉だ肉をくれ
「おまえ達。何でこんな所にいるんだ?」
レオがしゃがみ込んで、ベアベアの脇にいるにょろにょろに聞いてるけど・・
「知らん。」
「ベアベア!!」
「早く!!」
「肉だ肉だ!!」
「何でも良いから治療しろ!!」
「おまえの血が垂れてくるぞ」
「ベアベアどうするんだ?」
姦しいこと姦しいこと。
「おまえらにはベアベアは扱えねえだろうから、俺が代わりに処分してやる。」
・・・
「横取りするな。」
「始末ってなんだ?」
「いいから。」
「肉だ肉だ!!」
「ちりょおおおおおおおお」
「血を拭け」
「ベアベアは俺たちのもんだ。」
私。治療ってできるのかなあ?
・・・
「ひ~~~~る・・・なんちゃって。」
キラキラがにょろにょろを包む・・・あ?
・・キラキラが消えると・・
「「「「あ。」」」」
「「「治った」」」
まさか?
血が止まってる。でも皆血だらけだよ・・
・・・そうだ。この前自分にしてみたやつ・・綺麗になるように・・・にょろにょろの回りが・・・キラキラと光って消える・・・血のあとがなくなってるね。
「みこ・・・おまえ?」
「治っちゃったし・・・綺麗になっちゃったね・」
「まさかの・・・」
「まさかの?」
「いや。何でもねえ・・・」
「おまえ達は魔物だよな?」
レオが確認してる。魔物が自分のこと魔物だって言うのかな?あれ?魔物って?
「人を襲うの?」
「人も襲うだろうよ。」
う~~~んちょっとニュアンスが違うね。
レオがベアベアを回収したとたん、また騒ぎ出す・・・
「俺たち」
「にょろにょろ。」
「俺たち7すたー」
「肉だ。肉だ。」
「べあべあだあああああ」
「横取りするんじゃねえ!!」
「なにものだあ!!」
うるさいわあ・・・
「「「「「「「もとにもどせ!!!」」」」」」」
・・
「いやいや。元に戻したら危なくてしかたないよね。」
「このまま生きていくんだな。」
レオが立ち上がった。
「行くぞ。」
私をひょいと抱き上げる・・・ え?このままにして行っちゃうの?
「可哀相だよ。」
「どうしろって言うんだ?」
「え。連れてく・・駄目?」
「いいか。みこ、こいつは魔物だ。魔物と俺たちは相容れられないもんなんだ。」
でもさ・・・
「ベアベアはこのコ達のものなんでしょ?かっさらったらだめじゃないの?」
「・・・・・」
小さい袋をレオからまらう。下に花が入っているので
「出しても良い?」
「あ・・こっちに貰う。これも大事だからな・・」
袋にベアベアを入れ、ポーチの脇に下げる。
「ちょっと重いかな。」
袋が抗議するように蠢いた。
山を下るレオは仏頂面をしてる。
「ベアベアが手に入ったんだからいいじゃない。」
「俺のじゃねえし。」
「代理で処置するんだから、何割か貰えば良いよ。」
「そうか。そう言う考えもあるか。」
もう昼近い。山の麓でいったんおひるを食べることにした・・・んだけど・・・
小さめの袋から出されたにょろにょろ達がまた
「肉肉」
って五月蠅いの。
なのにレオったら、
「ほれ焼けたぞ。」
魚だよ。それも干物。
絶対わざとだよね。
これはこれで美味しいんだけど・・・
「おまえら。俺たちの前以外ではしゃべるな。」
昼の後で、レオがまた生け捕り用の袋ににょろにょろを詰め込みながら言ってる。
「なんでだ?」
「俺たちにょろにょろ。」
「強いんだぞ。」
「肉だ。肉をくれ。」
「お・・」
「うるせえ!!!」
途中で言葉を遮るレオ。面白いから最後まで言わせれば?
・・・・
魔物が町や村にいるとなったら、退治の対象だ。とか、魔物と知られたらベアベアの販路が開けないとか・・・何かいろいろ言ってたなあ・・・にょろにょろの最初に発言する子と、2番目3番目の子には最後は理解できたみたいだけど・・・4番目以降の子は駄目だわあ。肉くれとか、横取りするなとかそんなのばっかりなんだもん。7つの頭。3つはまとも?なのかな?後の4つは・・・面白いけどね。レオ的にはブブ~~って感じだったね。
町について、ベアベアを伝言鳥で依頼してきた人達に、また神殿から依頼完了の伝言鳥を飛ばした。面白いねえ。電話とか電報の代わりなんだね。
神殿で待つ間、唯一さんとまた話ができた。
『ねえ。にょろにょろってどこから来たのか分かったの?』
問いかけたらすぐに答えてくれた。
『まだ分からない。君の世界じゃないことは分かったけどね。』
『うん。私の世界にはいないよ。』
私の世界と言われてもう一つ気になっていたことを思い出した。
『ところで私って・・元の世界じゃどうなってるの?』
『う~~~ん。今は、ベットかな。』
『え?まさか入院してるの?』
『そうなのかな?』
『なにそれ?断定できないの?
『う・・うん・・・』
はっきりしないなあ・・・そうだ。
『リュウとはすぐに話ができるのかな?』
『そうだね。多分これから頻繁に話ができそうだよ。』
『私また龍になるの?』
『・・・今度はなるべく・・分離して話せるようにするよ。』
『大きいと困るね。』
『前みたいに小さくするよ』
『そう言えば、にょろにょろが五月蠅いんだけど。どうしたらいいの?』
『・・・にょろにょろが入っている袋に音を漏らさぬ魔法をかけておいてやる。発動する言葉は《黙れ》だな。解除の言葉は《話せ》』
『ありがとう。それって私も作れる?』
『つくる?ああ。消音とか消臭も元は同じだな。』
『?』
『否定だよ。』
それっきり声が聞こえなくなった・・・否定・・・ううん。
・・・・
「おい。待たせたな。」
は・・・もう終わったの?
「ううん。大丈夫だよ。もう終わったの?」
「依頼してきた奴らがまた宿屋に来る。そこで分けて売る。」
「「「俺たちのベアベア・・・」」」
「分かってる。後でな。」
「奴等って一人じゃないの?」
「ああ。肉屋が何人か集まって依頼を出してきてるんだ。一人じゃ払えなくても何人かで金を出し合えば良いからな。俺は金貨10枚もらえればそれでいいからな。」
ふうん。
道を下りながらまた屋台の串焼きを買って食べる。
「にょろにょろ達にはやらなくて良いの?」
ちっ
また舌打ちか・・・
「おっさん。後7本くれ。」
おや。良心的。
袋に何気なく7本入れる・・中で大暴れしてるのが分かるよ。肉肉って騒いでる。
「おい。音を聞こえなく出来ねえか?」
あ。忘れていた。
「黙れ」
・・・・
「すげえな。」
「多分レオも黙れって言うと音が袋の外に漏れなくなるよ。」
「解除の方法もあるのか?」
「うん。でも今ここで言うと五月蠅くなっちゃうかも・・・」
「後で教えとけ。」
・・・・・
にょろにょろが袋の中で暴れてるもんだから、周りの人達に
「何を生け捕りにしてきたんだい?」
って聞かれる聞かれる・・・
「まあな。」
声が聞こえなくて良かったよ。
多分、肉だ。肉だって騒いでるんだろうな。
・・・
宿屋の部屋でにょろにょろ達とお留守番することになった。
わあわあ五月蠅い・・・部屋全体に防音だ。多分部屋に向かって黙れって言えばいいよね?っていうか・・・否定ってないことにしろって事かも。消音って言っていたよね。音を消しちゃうって事かな。後で試してみたいな。
・・・
あ・・・なんかからだから出て行くような変な感じ・・・と思ったら。ミニリュウだ。
にょろにょろと同じくらいの大きさの白い龍。
「やあ。」
「リュウ?今日話せるとは思わなかったよ。」
「誰だ?」
「龍か?」
「おまえも小さくされたのか?」
「肉だ。肉をくれ。」
「俺も肉が食いたい。」
「肉!!!」
「ちょっとまて。おかしいぞ。」
・・リュウはにょろにょろを見て、
「なんだ。にょろにょろと会うとはなあ。」
って言った。
「リュウ知ってるの?」
「ああ・・・多分このコ達のお父さんかな。会ったことがあって、にょろにょろの話には聞いたことがある・・」
「にょろにょろはリュウを知っているの?」
・・
「おいおまえ。俺たちの父ちゃんを知ってるのか?」
「父ちゃんの知り合いか?」
「父ちゃんが来るって?」
「肉を持ってこおおおおおい。」
「に・・」
「五月蠅いよ!!!」
ぴたっと静かになるにょろにょろ・・・あれ?
は。レオと同じ事しちゃった。もっと酷いかな。にょろにょろを袋に入れて袋の口はしっかり塞いだ。・・ごめん。ちょっとそのままでいてね。
「なに?にょろにょろってリュウと同じ世界の子なの?」
「ああそうだと思うよ。」
・・・それなら・・何でこんな所にいるのかな
「そういえば、リュウはなんで私の世界にいたの?」
「言っただろ。追われて逃げてたら入り込んだみたいなんだ。」
「簡単にわたれちゃうんだね。」
「そうだね。割と簡単にできちゃったんだ。」
「で・・追われてるって誰に?」
「分からないよ。僕の力では。父さんなら凄い力持ってるから分かると思うんだけど。」
「すごい力をもってるなら、助けもすぐ来るんじゃないの?」
そう言ったらリュウは泣きそうな声で
「父さんは僕を探してないと思う。」
って言ったんだ。ええ?
「なんで?」
半泣きだよね。
「一人でしばらく暮らしてみろって言われて旅立ったところだったからね。」
・・・なんと。独り立ちしろって家を出されたって事か。でも・・
「しばらくって?」
「僕が20才になる頃までさ。」
え?今10才・・・1000才だから、まさかの・・・1000年後?
「だねえ。」
お父さんの力が当てに出来ないとは・・・
「ぼくだってそのうちにお父さんくらいには」
「なれるの?」
「う・・・・う・・・・」
今度こそ泣き出しちゃったよ。
どうしよう?
どんどん・・
「おい。開けろ。」
レオの声と一緒にノックの音がした。
ドアを開けるとレオが入って来て
「誰かもう一人いなかったか?」
「え?」
あ・・・リュウがもういなくなってる・・・
「気配がしたんだが・・・」
寝台にドスンと座りながらレオが聞く。
「そういや・・やつらは?」
レオはきょろきょろあたりをみまわす・・・ああ。
「にょろにょろ?袋の中だよ。」
「「「「「「「ぷふぁあ!!!」」」」」」」
「おいおい。またうるせえのか?」
「どうかな?」
7つの頭と私達は睨み合ってしまう。




