16 出かけよう
部屋で白龍に呼びかけてみる。
・・・・
・・・
返事がない。しばらく頑張ってみたけれど・・私は諦めて寝台の上にごろりと横になった。そのまますう・・・寝てしまった。と思う・・
「おい?」
「あ?」
誰かに呼ばれて私は目を開けた。
「ここは?」
寝台の上じゃない。
きょろきょろして辺りをみてると
「早く来い。」
「どこに?」
「ここだ。」
ここって?どこ?
返事はない・・・
・・・・・
・・ん?
起き上がろうとしてごちん!!
「いったあ・・」
「馬鹿野郎!」
レオの頭とぶつかってたみたい。
「寝てたから、起こそうとしたら急に起き上がるんだからな。」
「それは失礼。」
レオはマントを脱いでいて獣相を隠してない。まじまじ明るい所で見るのは初めてかも。結構整った顔立ち。イケメンの部類だろうな。耳が頭の上にぴょこんと付いていてこれが何とも言えない。うしろに動いているのはしっぽだ。触りたいな・・・
「こぶになってるぞ。」
その声でおでこを触ったら、確かにこぶになっている。
レオは慌ててマントを羽織り、部屋の外に出ていった。何だろう?
程なくして戻ってきたレオの手には手桶と手ぬぐいがあった。
手ぬぐいを濡らし、私のおでこに当てる。何回か布を濡らし直して当ててくれる。
「取引は終わったの?」
「ああ。これから神殿に行くんだが。頭は大丈夫か?」
「うん。」
私はゆっくり起き上がった。
「もう大丈夫だよ。」
そっとこぶに触る。さっきより小さくなったみたいな気がする。
「あれ?もしかしたら、自分で冷やせるんじゃないかな?」
そうつぶやいたのが聞こえたみたいで、レオは、
「確かにな。おまえの属性はおそらく水だからな。」
そう言って桶を返しに出て行った。
レオが出ていった後で、こぶに手を当てて、普通のおでこになるよう想像してみる。またキラキラ輝く物が私を取り巻き、手で触っていた所が元通りになっているのが分かった。
「どう言う仕組みなんだろう?」
レオが戻ってきたので、
「レオの頭はこぶないの?」
と聞いたら、
「そんなに柔に出来てねえ。」
って。私の頭は柔なんだ・・
それから、もう昼近くになっているって聞いて少し驚いた。
「取引に時間がかかったの?」
「まあな。フェーが最後に勝ったがな。」
少し悪そうな顔をしてる。耳がぴょこぴょこ動いて可愛い。
「フェーが買ったの?じゃああのとき売っても良かったんじゃないの?」
ひょいと私を寝台から抱き下ろしたレオはとてもいい顔で
「それじゃ高く売れんからな。他の奴等には、耳苔を高く買って貰ったしな。」
って言った・・・ふうん。
・・・二人でマントを着込む。レオは頭まですっぽりかくし、私は首元で止めただけ。
「行ってくる。」
女将さんに声をかけて私達は出かけた。
神殿への道は坂道だった。お店屋さんが沢山並んだ通りからだんだん外れていく。でも結構沢山の人達が歩いてる。そのせいかな?店がなくなると今度は屋台が沢山並んでいた。
「皆信心深いんだね。」
「いや。単に依頼を出したり職業選択の幅を広げたりしに行っているだけだろう。
ここには学校もあるしな。」
「学校?」
神殿には学校が併設されているんだって。へえ。
「小学校?」
「なんだそれは?」
「え?小さい子が勉強しに行くところだよ。」
少し息切れがしてきている私をひょいと抱き上げたレオは
「小さい子は町の塾で学ぶぞ。」
そう言った。疲れてるから素直に抱っこされた私は
「じゃあ神殿の学校は?」
不思議だから聞くよ。そしたら、レオは、
「職業訓練だな。見れば分かる。おまえもそのうちに行かなければならなくなるだろうよ。」って言った。
職業訓練所って事かな?
抱っこで移動しながら考える。おかしいなあ?私って龍だよね?なんでこんなに体力ないの?なんで?早く白龍と話したいよ。
「そういや。腹は減ってないか?」
急に聞いてくるから
「さっき朝ご飯食べたばかりのような気がするんだけど。」
って答えたよ。そしたら、
「俺は腹が減った。」
って。屋台の串焼きみたいなのを買って
「一口食え」
って食べさせてくれた。
「!!美味しい。」
「そうか?こっちはどうだ?」
紙のような物に包まれたおまんじゅうみたいな物を口元に寄越されてそれも囓る。
おまんじゅうの中身がとろりとこぼれる。
お肉と何か木の実みたいなのが入ってる甘辛くて美味しい。
「美味しい。」
「そうか。じゃあ自分でもって食え。」
おまんじゅうを渡された。
しばらく行ったところで立ち止まる。
目の前には白い建物
「神殿だ。」
へえ。真っ白なんだね。




