10 なに?
人に・・・私の思いは変化に繋がる。
人になった私はマントの下で服を着る・・・服もイメージして・変わったときに着ているようにならないのかな?いちいち裸になるんじゃ困っちゃうよ。聞いてみよう。
マントから出てレオを見る。
レオは私に背中を向けて立っていた。うん。やっぱり見たくないよねえ・・・自分のささやかな・・・いや。絶壁を見下ろしてため息をつく。何で10才くらいになっちゃったんだか。
「終わったよ。」
「おう。」
レオはこちらを探るように見て・・・
「龍に戻るのは自分でどうにかならねえのか?」
そう言いながら私に何か渡してきた。
「あ。これ。」
「腹減ってるだろう。座って食え。」
よい匂いのしている袋の中身は肉を挟んだパンのようなものだった。
「沢山あるね。」
「俺の分もある。」
さよですか・・・
しばらくもぐもぐという咀嚼の音しか聞こえなくなる。
「ほらよ。」
金属で出来た水筒を渡される。
「それはおまえの水筒だ。なくすなよ。」
よくよく聞いたら水筒は竹筒みたいな植物を使うのが一般的なんだって。そう言えば、まえは竹筒みたいな水筒に水を汲んでいたよね。
ふうん。少し金属臭い水を飲む・・・
「こういうのは高いんだ。」
高いのを私に持たせて良いの?
「おまえだからな。」
私何もしてないよ。
「まあな。」
・・・
「おまえ、もしかしたら自分で水を出せるんじゃねえのか?」
そう言ってきたんだけど・・
「したことないよ。」
「そうか?」
黙ってこちらを見るから・・何か居心地悪い・・
「後で訓練してみるか?」
「訓練してできるようになる?」
「それはまだ分からんが・・・出来るはずだと思う。」
それは楽しみだよ。出来るならそれに超したことないよね。でも・・白龍にも教えてもらえるんじゃないかな。あ。これはまだ内緒だったっけ・・・早く使える方が嬉しいかな。
それから、
「俺は町の薬屋に頼まれている薬草を採ってくるけどおまえはここで待つか?」
と聞かれた。
一人でここに?
「ちょっと嫌だな。一緒に行っちゃ駄目?」
しばらく考えていたレオは
「まあ。いいか。おまえも薬草くらい分かった方がこの先良いだろうからな。」
と言ってくれた。一人で待つのって嫌だもんね。
私達はこのままこの森の奥に進むことになったんだ。大丈夫かな。
しばらく行くと、レオは森の朽ちかけた木の下に手を突っ込んで何か取り始めた。
「何を取ってるの?」
「苔を採っているんだ。」
「苔?」
「ああ。これは頼まれた物とは違うが、腹痛の薬になるんだ。」
それは白いキノコのような物だった。
「キノコじゃないの?」
「キノコの仲間だな。耳苔っていう。」
「ふうん。」
腹痛に効くというキノコを採ってどんどん袋に入れていく。私は辺りをきょろきょろ見回していた。森の中って独特の雰囲気あるよねえ。
「しっ」
レオが急に私に静止をかけた・・あれ?動けない?
向こうから何か近づいて・・
すごい速さで私の脇をなにかが走った。瞬きする間にぐえっと言う音が足下でする・・ ・・近くでばたばた暴れているモノ・・・
「へ・・び?」
どう見ても、蛇の頭の部分だ・・でかい・・頭だけ?の訳がなかった・・頭から下の部分がもう少し向こうの方で、のたうち回っている・・・
「活きがいいな。」
レオはその頭を剣の柄で殴りつけている・・・うわ・・・見たくなかった・・殴られたときぱっくり開いた口・・・蛇って牙があったっけ?・・あったあった・・・ぼんやりと頭の隅っこで考える・・・
手早く袋に収納するレオ・・・
「へ・・・蛇をご飯を入れて有るとこに一緒に収納するの?」
のたうち回っている胴体の方もしゅるんと収納したレオは
「これは金になる。」
ここってどういう世界なの?
さっき白龍に聞いたのは何でここに来てしまったかと言うことと帰るにはどうしたら良いのかって事だけ。この世界のことは聞いてない。
そう。レオから移動していた3日の間、聞いてたんだろうけど・・夢だと思ってたから聞き流してた・・・
「蛇が?こんなに大きな蛇が?ここには沢山いるの?」
思わず回りをきょろきょろ見回した。蛇嫌い。
「大きなって言ってもよ。おまえの方がでかいだろう?」
龍に比べれば確かに小さいけど。でも
「今は人型だよ」
「てか蛇ってなんだよ。」
「え。今あんたがぶった切った奴のこと。」
何事もなかったかのように、再び歩き出すレオの後を追って、私も早足で付いて行く。
「あれはにょろだ。」
にょろ?確かに蛇はにょろにょろ這うけど・・・そのまんま・・にょろ?
「あいつはまだいい。にょろにょろが出た場合はかなりやばいけどな。」
にょろにょろ?
「安心しな。森にはにょろにょろはいねえ。
・・・やつは神出鬼没で、今まで、誰にも捕らえられたりやっつけられたりしたことがねえんだが。
・・森では奴はうまく行動できねえのか目撃情報がねえんだ。」
にょろにょろ?どんな生き物?でかいのかな?
「にょろにょろってどんな生き物なの?」
レオは相変わらず前を見たままどんどん行く。小走りだよ。
「それぞれいろいろ言ってるからなあ。にょろに似ていてにょろじゃねえってしか分からん。」
ふうん?
どんどん上り坂になってるよ。ふうふう・・・
遅れ気味になってきた私に気付いてレオが立ち止まる。
「龍だろ?」
「今は人間だよ。」
「いや。龍人だろ?」
人だよ・・・多分。
首をかしげる私にため息をついて向き合って・・・ひょいと抱き上げてくれた。
「仕方ねえ。置いていっても良いんだが。嫌なんだよな?」
「うん・・・」
私を抱き上げてもレオの速度は緩むことがない。かえってスピードが上がったんじゃないかな?




