1 はじまり
わたし。みこ。身長155センチ。体重は・・・ないしょ。
私が巻き込まれたお話。聞いてくれる?
・・・
なんだろう?
・・・・・・
私は今、困っている。何故かって?だって・・・
・・・・・
青い空。白い雲。風に乗ってゆっくり雲が流れてる。あれ?あの雲だけやけに早く進んでるなあ・・・
「みこ!!!」
ぼんやり空を見ていたら、声をかけられた。おっと。先輩ごめんなさい。
「ほら。今の見てたの?」
・・
いえいえ・・見ていませんでした・・・次の球が行く・・お?
カッキーン
気持ちが良い音・・・打たれちゃったね。
私は,北野 美虹。きたのみこって読むんだよ。美虹なんて読めないよねえ。何でも私が生まれた日にお母さんが窓の外にとっても綺麗な虹を見たんだって。だから美虹。
私は練習試合中の外野席で、先輩と一緒にスコア付けの練習をしてる。大体いくら練習でもここじゃよく見えないよ。ぶつぶつ・・先輩だってさっきから見えないってうめいてたくせに・・
私はこの高校の1年生。野球部のマネージャーをやってるの。でもねえ・・・4月のうちは、マネージャー候補が多すぎちゃって、あの手この手で減らそうとしてるのが見え見えなんだよね・・
で・・・だいぶ減ってきたんだけど・・それでも私を含めて8人も残ってるんだよ。今時はサッカーだろうって思ったんだけどねえ。強豪校は違うよね。
かっこいい人目当て?まさか・・ちがうよ。
私、昔リトルリーグにいたんだよ。でも、中学生になった頃から体力的に、男子と一緒のことがだんだん出来なくなってきたんだ。悔しいよね。でも。野球は大好き。だからマネージャーになりたかったんだけど・・・
先輩達はこうやって一人ずつつぶそうとしてるのかなあ。本当に好きでやりたいのに・・・
不意に突風が・・・ 私は目を瞑っちゃった。目に砂が・・・入ったみたい。ごろごろしてるんだけど。
・・
「危ないぞ!!!」
誰かが叫んでる。
「みこ!!!」
隣で一緒にスコア付けの指導をしてくれてた先輩が叫ぶ・・
「え?」
慌てて目を開けた私の目の前をなにかが横切る・・・ような気がして・・瞬きをする・・・・・・・・・ 痛い!!!
ってわけで・・・ 気が付いたらここにいたんだけど
ここはどこ?
うっそうと茂った木
遠くでなにかの声がするんだ。鳥?獣?
ぎゃぎゃぎゃ・・・・
きぃ~きい~・・
うわあ・・・なんか・・・やだね・・・
ちょっと現実味がないや・・・私はのんきに考えてる。
・・・もしかしたら・ボールが当たって・・・記憶喪失にでもなって、何日か過ぎて・・・で・・たまたまお出かけしていて・・・ここで不意に気が付いたとか?
・・は・・・ないない。もしそうなら病院だよね。てことは・・・ありえないから夢?うんそうだね。
そう決めたら気が楽だよ。さて。では夢の中のここはどんな設定なのかな?
昔良く怪獣に追いかけられた夢は見た事あるんだけど。いつも決まった音楽付きだったなあ。今日は音楽ないね。その代わりにぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ・・・・か。
私は木に触って見ようとして・・・あれ?・・・慌てて右手を見た・・・・
この手・・・私の手じゃない。
白くて・・・つやつやしていて・・・指が・・・太い・・?・・ん??爪?
左手を見る・・・あれ?
体を見下ろす・・・あれ?胸がない。・・・いやいや・・・元々あんまりないんだけどさ・・・
服着てない・・・(///////////)
顔を触る・・・何この感じ。鏡!鏡はないの?
・・・・・・・・
うううう・・・どうしよう?・・・
目が覚めるまでは楽しまなくちゃね。じゃあここにいても仕方ない・・・
私は歩きだそうとして気が付いた。道がない・・ちょうど木が途切れている広場みたいなところにいるみたい。で木に囲まれてるけどぐるっと見ても木に途切れがない・・・つまり道がない
もう・・・木を押してみる・・・めきめきめき・・・あ?
ドッシ~~~~ン
・・・・・・・
倒れた?木が?まさかの?
・・・・・・
手を見る。木を見る・・・手を見る・・・木を見る・・・
ま・・・いっか・・・夢だから何でもありだよ。
倒れたところから木を乗り越えて歩いて行く。なんていうか。後ろが五月蠅い。
ちょっと歩いて後ろを振り返る・・・ざって音がしたよ。あれ?
・・・・もう一度・・・ざざっ
おかしいな。誰もいない・・・
・・・今度は首だけ後ろを振り返ってみる・・・あ・・・
・・・・しっぽだ???
ま・・・まさかの私のしっぽ?なんだろ。私何になってるんだろ?