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魔王は戦国時代へ1日旅行中  作者: たくあん
1/1

1巻目 魔法ミスと出会い

あまり長くは続けない予定ですのでご了承を。


不定期更新よ……永遠に!

その世界、ドラグナイトにおいて、人族と魔族は終わりなき戦いを続けていた。もう何時始まったのかわからない、不毛な戦い。 統制のとれていない魔族軍は人族軍に押されていて、このままいけば魔族は終わりを迎えるだろうと誰もが思った。


そこで魔族側はリーダーを立てた。数ある魔族から選ばれた存在の中でさらに争いが起こり、しかしそこで力だけでのしあがった者がいた。彼の名をマラ=カイルという。



彼は今、魔族の中枢、魔王城にて唸っていた。


「ううむ。なかなかできなぬな」


今前に魔方陣を敷いている研究中の魔法を完成させれば一気に形勢を逆転できるのだが。核となる部分が出来ぬ。効率的で美しくなくてはならんが……どうにかならないものか。一応だましだましで試作はできたので使ってみようかの。


「起動! さぁ、効果を此処に表せ!」


一気に強く光輝いた魔方陣は目を眩ませる。堪らず目を腕で隠してしまうほどの光だ。さてさて、どんな効果があるのかの。


「ううむ……ん!?」


目を開けるとそこには永らく見たことのない緑が茂っている森があるわい。魔鳥の鳴き声や魔獣の足音。懐かしいの。


何て言ってる場合か! これが俗に言う『ノリツッコミ』ってやつか! 常々遠くから見ると変人にしか見えぬと思っていたががワシがやるとは……

む? 遠くに見たことのない魔獣がいるぞ!? なんじゃこれは!


バァァン!


今度はなんじゃ!? 物の怪か? 遂にワシも狂ったか?

……なんて考えていると、見ていた魔獣が仰け反ったあと倒れたぞ! 見たことも聞いたこともない魔法じゃぞ!? 大音量で怯ませてから高速魔法とは、恐ろしいわい。


早く逃げねば。ワシにはまだすることがあるんじゃい。魔法を完成させて憎き人族めを倒すのだ! こんなところで死ねるかい!


――しかし、この魔法は気になるな。仮にも魔王のワシの目に止まらずに走り抜けるそのスピード。

一撃であの中型魔獣を駆逐するほどの威力。

どんな魔法使いだ!?


なんて考えているうちに奴は姿を現した。が、なんじゃこいつ。ローブもつけていないし、変な服を着ておるの。


「ん? 誰だ?」


ヤバい! ばれたじょ! かんでしまったわい。


「なんじゃ!? ワシを殺すか! ただで殺させるわけにはいかんのだ! 早く魔王城に帰らねば!」


「転移じゃ!」


……あり? 転移ができんぞい? ワシは魔王じゃぞ? このワシの魔法を防ぐとは。さては人族の切り札か!


「……ナァ、あんた。いきなり変なことを叫んでいたが、何者だ? もうすぐ近くで戦いg…」

「敵に話す口は持たん! 見逃してやる! 直ぐに去れ!」

「だぁかぁらぁ、敵って誰だよ」

「お主じゃ! ここにお主とワシの他に誰がいると言うのじゃ!」

「ワシ? お前変なやつだな。そういうの嫌いじゃないぜ。俺も昔は変人とか言われてたしな。ちょっと飯食おうぜ! こいつ旨いしよ」


そう言ってヤツは魔獣を指差した。魔獣を食う? 異なことを言う。


「腹へってんだろ?」

「ぬ……」


そう言えば魔法の研究でここ1週間なにも口にしていないわい。飯くらいならいいだろう。毒など混ぜても効かぬしな!


(30分後)


「いやぁ済まなかったトウキチ殿。まさか魔族であったとは」

「お前の言うマゾクってのがよくわからんが……まぁ敵でなければマゾクだって言うならお前の言うマゾクってやつなんじゃないか? オレ」


今ワシとトウキチ殿はさっきのシカという魔獣ではない生物を食している。なかなか旨い。噛むごとに肉からジューシーな汁が溢れてくるわい。


シカを食べながらトウキチ殿と話をしていたが、いやはや、全然分からぬ。取り合えず、ここがドラグナイトではなく、人族はいないとのことだ。恐らく魔法が暴走して強制転移されたのだろう。


強制転移が収まるのは1日。つまりこの1日の間だけここにいれるとのこと。


「あっ! やべぇ!」

「如何した、トウキチ殿」

「お前との話に夢中で狩りをするのを忘れていた! おいカイル、狩りに行くぞ!」

「狩りならワシの得意とするところ! いくらでも狩ってきてやる」


その後は楽勝楽勝。どうも今シカとやらがワシがいる所に大量発生していてトウキチ殿の主人が困っていたらしい。


しかーし! ワシは魔王! 魔法と身体能力において並ぶもののいない逸材よ。

トウキチ殿と山を駆け巡っているとシカが現れよった。ノコノコ出てきた癖にワシに気づいておらんとは! 許さぬ。


「死ね!」

「ちょっ、さすがに素手で殴っても死ぬわけ……え?」


血を吹き出し、鳴きながら倒れるシカ。魔王争奪戦の頃を思いだすわい。あの頃は隠れ家に住んでいたからな、狩りは必須! 素手で飛竜でも叩き落とせるこの豪腕を持ってすればこんなひょろっちいのなど一撃よ!


ぬ? トウキチ殿がぶつぶついっておるわい。どうしたのじゃろうかの。まぁよい。こんなものじゃろ。そろそろこの山のシカは狩り尽くした頃じゃ。トウキチ殿の主人のもとへ行くぞ!

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