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機械の竜は宇宙を行く  作者: 機械龍太郎
第一章 秋津洲戦役
1/15

星海の大航海時代


分厚い特殊ガラス越し、生まれたままの姿で一歩外に出れば容赦なく命を奪う無機質な世界の中で、鈍い銀の輝きを身にまとい、体をくねらせ泳ぐ姿が、二つ見えた。


四肢を持ち、長大な体に背中に並ぶ一対の背ビレ。その姿は、伝説に謳われる竜の姿をしていた。



機竜だ。



全長15mから60m。この星の海で最強・・・になるだろう兵器だ。

そんな中でも中型機竜に分類される、およそ30mほどの鋼の竜が二匹、真空の海の中で泳いでいるのを、僕は見ていた。


その泳ぎは昔テレビで見た地球に住むクジラの親子が泳ぎ方を教えている様に似ていた。


クジラと違って二匹の大きさは同じだけど、映像で見た親子と同じように、少し距離を置いて泳いでいた。


そう、それは実際に泳ぎ方を教えているのだ。

見た目は微笑ましい様に見えるが、おそらく、片方の機竜に乗っている友人の彼にとっては、そんな心境とは程遠いものだろう。


なにせ泳ぎ方を教えてくれるのは優しい母親でなく、だみ声で叫ぶ40代のオッサンなのだから。


『いいか前川訓練生、計器は死んでも絶対座標と自分で設定した星は死なん!!そいつを信じて死ぬ気で泳げ!!そうすればどんな場所からでも必ず帰れる!!』


「ばい!!了解でず!!!!」




彼、前川広武は追加実習、つまり居残り訓練を受けていた。


初歩的な真っ直ぐ機体を飛ばすだけの実習。だけど、さんざん座学でやって、シミュレーションもして1年間頑張って、ようやく実際の機体に乗って、本当に動かせると昨日からワクワクしていたのに、今ではもう涙声だ。




実際の宇宙はシミュレーションと全然違った。星の数はシミュレーターの映す空よりもずっと多いいし、パイロットスーツを着ているとは言え、360度の全天モニターの中で、外は本当の宇宙だと思うと足がすくむ。


何より教官が


『今日はお前たちの記念すべき初実機訓練だ。オレがマンツーマンで教えてやるし、いざとなったら操縦権をとって何が有っても無事に帰してやる。だから−−−CPUの補助を切って完全マニュアルでヤレ。』


という思いやりに溢れたコトを仰言ったからだ。




前川はシミュレーションではけっこういい成績だった。僕よりかなり良かった。座学はダメだったけど、実習だけは学年でもけっこう上の方だったのに。



どうやら補助ありの通常モードでは、モニターに色々と浮かぶから自分はコックピットにいると分かるので落ち着いていられるけど、全天モニターにほとんど何も映らない完全マニュアル(非常モード)だと自分が体一つで宇宙にいるようで、パニックになるらしい。



その気持は分からなくもないし、彼と僕だけでも無いようで、同じように居残り組みが他にも何人かいるし。

『毎年そういうやつは出てくるから安心しろ。宇宙が怖いとか言ってられなくなるまで飛ばしてやる』と教官も言っていた。



彼も最初は自分が宇宙に1人でいるように感じるからパニックになっていたのだろうけど、今泣きそうになっている理由は、操縦権が自分にない状態で最大戦速近くまでかっ飛ばされているからだと思います先生。




ああ、つぎにアレを体験するのは自分だと思うと、今から胃が痛い。

読んでみたくて書いてみた、なんちゃってSF未来ものです



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