底辺高校の鈴谷さん その6
糸田さんからのメール
23時過ぎ僕のケータイが珍しく震える、メールが届いたようで宛名を見ると糸田さんからだった。
『明日みぃこの誕プレ買いに行くから付き合って』
近々鈴谷さんの誕生日なのか、それなら是非に僕も何かプレゼントしたい、糸田さんに折り返しの電話をする。
プルルっと一回目のコールが鳴り終わる頃に糸田さんが出る。
『もっし~』
「あ、僕だけど」
『はいは~い、明日空いてる?』
「うん、○○駅に10時集合でどう?」
『おけー、おけー、』
「所で鈴谷さんって誕生日いつなの?」
『明日だよ~、買ったらその足で渡しに行くからよろしく~』
「明日なんだ、そっか、わかった、じゃあ又明日」
『明日ね~、おやす~』
おやすみなさいと言い返して電話を切った。
そっか、明日なのか、どんな物を買ったら喜んでくれるかな。
「軍配団扇とか・・・かな」
糸田さんとお買い物
「あはは~~~、まった~~~」
満面の笑みで手を振りながら僕に向かって走ってくる糸田さん。
「あはは~~、ぜ~~んぜ~~ん、92分45秒しか待ってないよ~~」
満面の笑みを返す僕。
「ほっとスイマセンデシタ!!!!」
ジャンピング土下座を公衆の面前でやりのける糸田さん。
「ほんどに、ほんどに!ずびばぜんでじだぁ!寝坊じじゃっだんでずぅ」
うぅ~~、と半泣きで震える糸田さん、可愛い。
糸田さんとお買い物2
謝るだけでは気が済まないからと、スタバのコーヒーを無理に押付けられた、別に怒ってないのに。
日サロで焼いた小麦色の肌に金色に染めた髪、ゆるく着崩した制服、そんな見た目の糸田さんだが物凄い気遣い屋さんなのだ。
「鈴谷さんへのプレゼント、なににするとか決めてたりするの」
「ん~まだちゃんとは決めてないけど、制服の上から羽織れるカーディガンとか~、それか愛媛城のミニジオラマか~~、軍配団扇?」
何でだろう後半二つの方が鈴谷さんの喜ぶ顔が想像できる。
鈴谷さんの誕生日
夕暮れ時、糸田さんに連れられ鈴谷さんの家前、スマホで呼び出した鈴谷さんが玄関の扉を開く。
「良くきたな・・・ほう、一緒なのか」
僕が一緒に来ているのを知らせて無かったので少し驚いている。
「みぃこ~はいこれ、誕生日おめでとー」
「おめでとう」
贈り物用の袋に入れられたプレゼントを糸田さんが渡す。
「一日中みぃこに喜んでもらえそうなもの二人で探したんだ~」
「あ、ありがとう、こんな風に友から何か貰うなど馴れてなくてな・・・照れてしまう」
少し顔を赤くしてる鈴谷さん、袋の中からカーディガンを取り出す。
「これは・・・」
抑えられないと言うようにみるみる鈴谷さんの顔が笑顔に変わっていく、その顔を見てると僕の心も何だかこそばゆくなる。
「ありがとう、本当にありがとう!」
そう言った鈴谷さんは何時もの喧嘩が強くて頼りがいがあって、正義感が強い武人じゃなくて、可愛い女子高生にしか見えなかった。
彼女は喜ぶ、花の慶次の主人公、前田慶次が大きくプリントされたカーディガンをぎゅっと抱きしめて。