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底辺高校の鈴谷さん その5

糸田さんは見た目じゃない


「糸田さんのネイル綺麗だよね~」

糸田さんの横の席、僕の後ろの席でもあるクラスメイトの吉田さんが話しかけている。

「ぬ?お目が高いな、いっちゃんはくっそビッチだからな!」

鈴谷さんが自分の事のように誇らしげに返答する。

「みぃこビッチの意味勘違いしてね?」

たぶん女子力が高い的な意味で使ったんだろう。

「ぬ?」

「ビッチってのは男遊びが激しい奴の事を言うのよ、みぃこと一緒にいるのに軽い男が近寄ってくる訳ないでしょ」

鈴谷さん学校では武人として有名だもんね。

「あ~でもでも~糸田さんガチで付き合ってる男子とかいないの~」

と探りを入れる吉田さん。

肌を小麦色に焼いていて、メイクもばっちりな糸田さんだが中々に人気はあるのだ、誰相手でも分け隔てなく接するしお話上手、文化祭の時に出したクッキーを焼いてきたのも糸田さんで、家庭的な所もあってそのギャップに魅力を感じる男子も多い。

「へぇ?ないない」

ヒヒッっと笑って糸田さんは続けて言う。

「私まだ処女だしな!」

クラスの男子達は小さくガッツポーズをした。



太田くんはイケメンである


学駅で鈴谷さん達とも別れ一人歩みを進める何時もの帰り道、ふと何気なく目をやった河川敷の草むらに隣のクラスの太田君が寝転んでいる、いや倒れていた。

僕は駆け寄って様子を見る、顔に殴られたような跡があるし制服はボロボロになっている。

ユサユサと太田君の体を揺すって意識を確かめる。

「・・・っ!・・・・んっ・・・ん?」

覚醒した太田君と目が合う。

「君は・・鈴谷さんと何時も一緒にいる」

僕はうんうんと頷く。

「ははっ、恥ずかしい所を見られちゃったな、不良に絡まれてる中学生達を逃がしたら俺がボコられてしまったよ、誰かを殴った事なんか無いから喧嘩の仕方なんか知らなくてね」

太田君の背中に手をあてがって座らせてあげる。

「鈴谷さんみたいに強くもないのにな、かっこ悪いだろ?」

と笑って言う、なるほど、鈴谷さんの言ってた「奴もまた我と同じもののふなのか・・・」という言葉が理解できた。

僕は太田君の手をとって言う。

かっこ悪くないよ・・すっごくかっこいいよ・・・

太田君の目を見て思いがちゃんと伝わるように言葉にする。

太田君は何故か頬を赤らめて目線をそらした。



僕は決意する


「みぃこはさ~やっぱ自分より身長のおっきな人と付き合いたいの?」

女子達が恋バナをしている折、急にそんな話を鈴谷さんに振る糸田さん。

「ぬ?我か?そ~~だな~~我は小さい方が好きだな、そうだなちょうど我より25cmくらい小さいくらいが調度いいかな」

僕の方を見ながらドヤ顔で言ってくる。

あぁ、うっとおしい。

「でもさ~、男からすると相手がでかいのって嫌じゃないのぉ?」

僕にそういう話しは振らないで欲しい、恋愛とかよくわからないのだ。

「僕は別に、身長とかどうでもいいかな・・・」

「「ギャアアアアアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」」

よし、そのネタが使えない程度にはこれから発言していこう。



鈴谷さんの特技


「みぃこって昔から活舌すごいんだよぉ」

「うぬ、家族からも定評があるぞ、生ばなな生ばなな生ばなな、偽札作り偽札作り偽札作り、摘出手術摘出手術摘出手術」

ほんとだ凄い。

「ちょっと言ってみてよ~」

僕はそんなに舌が回る方ではないけどやってみる。

「スー・・・生バナナ!生なばな!なまままな!」

全然言えなかった。

あれ?シャベッターーが来ない。

見れば鈴谷さんは顔を手で隠し足をパタパタして悶えている、糸田さんも「反則だわ、私まで心がぴょんぴょんする所だったわ」とか言ってる。前の席に座ってる男子生徒まで机に顔を伏せてプルプルしてる。

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