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美しき女性

 世界が水色に見える。えっ!?と思って飛び起きてから、自分が異世界に来たのと、ライムの中で寝たことを思い出した。どうやら食べられてはいないようだ。外はもう明るくなっている。ライムの外に出ると周りを見渡してみた。やっぱり森ばかりだが少し向こうに川が見えた。この川は流れが穏やかで音が静かなため昨日は気づかなかったようだ。川の近くにいってみると水がとても澄んでいるのがわかった。

「あっ!もしかして。」

あることに気がついた。急いでちょっと深くなっているところを探す。ここなら…。

水面を覗く。

「映った!」

水面に自分の姿が映る。鏡がなくて自分の姿がどう変わったのか、ずっと気になっていたのだ。

銀髪(ちょっと青みがかってるかな?)ちなみにポニーテールになっている。これには流石に気づいてた。金色の眼、顔は普通。せめて美人が良かったな。年齢は見た目8歳くらい。身長もだいぶ縮んで、だいぶ若返ったことが分かる。服装はよく魔法使いとかが羽織ってるマントみたいなもの。なんだっけ、ローブ?かな。ちなみに色は白。それにいかにも冒険者な服を下に着ている。でも、そんなことより…。

「銀髪、金の眼キターーーーーー!!」

ラノベとかを読んでいて、かっこいいと思っていた組み合わせである。これでテンションが上がらない方がおかしい。

しばらく変わり果てた自分の姿に見入っていたら、いきなり後ろから声を掛けられた。

「ロジー様。」

「はいっ!?」

自分に見入っていた所を見られた恥ずかしさと、急に声がかかってビックリしたので、声が裏返ってしまった。声がした方を振り返ると、そこにひとりの女性が立っていた。見た目は20歳くらいで、透き通る様な青い髪の毛に、深い碧色の眼、整った顔立ちで、女の私が見てもすごく美人だと思う。服装は、私と同じローブにファンタジーでよく見る、ワンピースみたいなドレスみたいなやつを着ている。これも青を基調としていて、この女性は全体的に青い。ところで、

「誰…ですか?」

私はこの世界にきて、人と会話した覚えはないよ?名前を教えた覚えもないし、しかもなんで様づけ?

「私はライムでございます。」

「ライム!?」

あの綺麗な流線型のぷるんぷるんだったライムが?こんな綺麗な女の人に?

「ほんとに、ライム?」

「はい。ロジー様との契約により人型に擬態が可能となりましたゆえ。」

「へぇ…。それよりライムって女だったんだね。」

スライムに性別があったのはびっくりだ。なんせみんなぷよぷよで、見分けなんかつかないからね。

「いえ。スライムには性別はありません。なので男にも女にもなれます。」

そう言ってライムは目の前で男になる。

あー。こっちもイケメンだとか。別に羨ましくはないけど?美人にもイケメンにもなれるなんて羨ましくないけど?

「ですが、女性でいるほうが楽ですので普段はこちらでいようと思うのですが、ロジー様が男性の方がよいとおっしゃるのならば、男でいますがどうなさいますか?」

「いいよ。女性の方が気楽だからそのままでお願い。」

「かしこまりました。」

ライムは女性に戻ると急に目の前に跪いた。

「は?」

驚きで間抜けな声を出した私をほっぽり出してライムは喋りだす。

「ロジー様とわたくしのこの契約、御主人ロジー・リリー様より承りし我が名ライムにおいて、違う事無き様我が身を捧げて忠誠を誓います。今後よろしくお願いします。」

…何事かと思った。わかってたけど、堅苦しい性格だったな。そういえば。

「うん。よろしくね。で、もしよかったらその敬語やめてくれないかな~と思ったり。」

敬語は堅苦しくて苦手だし、一緒にいるならもっと友達とか家族みたいにしていきたいんだけど、

「ダメでございます(キリッ」

あぁ、物凄いキリッとした表情で返されてしまった。

「せめてロジー様はやめてほしいんだけど。もっと普通にリリーとかって呼んで欲しいんだけど。」

「そんな失礼なことはできませぬ(キリッ」

「全然失礼じゃないんだけどな…。お願いだから様づけだけはやめて。」

様づけなんて年賀状の宛名ぐらいでしかされたことないから、ものすごく落ち着かない。

「…分かりました。では少し考えておきます。」

必死のお願いが届いたようだ。

「ではロジー様、これから何をいたしましょうか。」

そうだ。とにかく森を抜けて街でも村でも人のいるところに行かなきゃ。この世界のことまだ何にも知らないし。

「街に行きたいと思ってるんだけど。」

「街、ですか。」

あれ?なんか微妙な反応だな。

「街でなんか起きてるの?」

「いえ、そういう訳では…。」

ライムが何か隠し事をしてるような気がする。

「街行こう?」

「おそれながらロジー様。私には街の方角が…。」

ま、まさか。いやそんなことはないだろう。

「方角が?」

「わからないのでございます…。」

ライムは泣きそうな顔になりながらそう言った。かわいいなー。ってそんなことを思ってる場合じゃない。

「方角がわからないの?」

「はい。すいませんロジー様。」

考えてみたら、ライムは昨日私が召喚したスライム。しかもモンスターだし。人の住む街に縁がないのも当然だ。

「どうしよ。」

死ぬかも。昨日と今日で何回そんなことを思っただろうか。


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