今朝はアッサムティーから始まって
「ベル、機嫌直せ。今日はアッサムを淹れたぞ。ほら」
目の前でいつもの朝の顔――むっつりとした不機嫌な顔をしたベルに、アッサムを手渡す。
「……」
自分が悪いくせに毎朝ふてくされているベルは、無言でそれを受け取り、一気に――それでもどこか品のある感じに飲んだ。
着替えの手伝いはやらない、という約束がある。
温厚だが意外と神経質なベルのことだ。触られるのが嫌なんだろう。
ポットとティーカップをのせた、やたら豪華な模様が刻まれている木製のお盆を左手にもって部屋を出た。
スープを深皿にいれて、焼いたバゲットを小さなかごに盛り付けて、テーブルの上へ。
がちゃ、とちょうどいいタイミングでベルが入ってきた。
「良い匂いだね」
機嫌を直した、顔のベルは俺ににっこりと笑いかけた。
「おはよう、ロスト。
今朝もありがとう」
どす黒いオーラをまとって。
はあ、とため息をつきながら椅子を引き、ベルが座ってから椅子を少し戻す。
「あのなぁ…毎朝毎朝俺だって迷惑してるんだぜ?
やられたくないんだったら最低三回ぐらいで起きろよ」
「今日もおいしそうだ。いただきます」
都合の悪いことは華麗にスルー。
いつものことだ、とあきらめる。