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運命に綴られた世界  作者: 秋藤 一二三
序章:運命の始まり
1/6

00:新たな運命の誕生

 こんにちは、こんばんは。

はじめまして、秋藤一二三です。よろしくお願いします。

小説を書くのは初めてとなります。よってこの作品は、所謂、処女作というやつになります。いや、他の方のと比べるとそりゃあもう酷いものかもしれませんが。

とりあえず、頑張って書きました。頭の中に描き出した話、妄想、想像、ヴィジョン、なんてものを言葉にするのは大変ですね。痛感しました...

では、このへんで。楽しんでもらえれば幸いです。

 暗く、陰気臭く、謎めいて、儀式的な装飾が施されている部屋。窓もないその部屋の光源は何本ものろうそく。おそらくは地下室。それも特に深い場所にある。世界には、表には決して知られてはならない場所のようだ。

 そこには4つの影。何かを囲むようにして立っている。4人は同じローブを着ている。黒く、装飾もない布が全身を覆っている。その4人を区別する手段は声しかないだろう。

「魔法陣の用意は終わりました…これで術に対する準備は全て整いました。」

 若い男の声だ。しかし、この声には感情というものが感じられない。

「本当にやんですかぃ?これは禁忌も禁忌、そのうえまたも禁忌を重ねる大事なんですぜぃ?オレとしちゃぁ、ここでこそ"王とはなんなのか"ってのを考えますがねぇ。」

 さっきの男とは違った声だ。なんともだらしない言葉づかい。へらへらと。だが感情のある明るい声だ。

「黙りなさい、ラウ。全ては陛下の決めること。私たちは意見を述べる資格はないの。」

 女の声。言葉づかいも、声もキツイ感じだ。

「まぁ、いい。お主らにはここまでよく働いてもらったのでな。そのような些細ささいなことは気にしとらんよ。――――――ムーよ。この魔法が成功する確率はどれくらいかの…」

「およそ5割かと。」

 即答。

 感情のない声が老人の声に答えた。

「ふむ……これは…この魔法が成功すれば我が国には滅びの運命を辿ると言われた。しかし……しかし、我も国王である前に人の子…我の立場を考え、国民を優先した思考で物事を考えるべきなのは分かっておる…だが、やはり……」

 沈黙。

 そして老人は視線を落とす。その先にあるものは台の上に横たわる赤子。生まれて間もないくらいの男の子。声は出していない。深い眠りについているようだ。そして、拘束具に囚われている狼に似た獣。青と銀色の毛をまとい、その姿には何人も寄せ付けない風格がある。しかし、本当の意味で他者を寄せ付けないのはその目だろう。ギラギラと、自分を囲んでいる者への憎しみか――――いや、その目にもった感情まではわからないが、明らかに誰が見ても怖気づいてしまう目だった。

「……始めてくれ。」

 その老人はその場を離れた。声だけでは感情は判断できなかった。

「始める。」

 ムーという男が言った。狼のような獣の額に手を当て、何かを言った、いや唱えた。するとすぐに獣は目を瞑った。それを確認した後"メス"のようなものを手にとった。どこから出したのかはわからない。そしてそのメスで獣の腹部を裂く。

 出血。

 だが、なぜかはわからないが出血量はひどいものではない。むしろほとんどない。動く心臓。動く内臓。動いていることを確認する。

 そして次に男の子の方へ手を伸ばす。そしてまた切開。先ほどと同じく出血は微々たるもの。動く心臓。動く内臓。動いていることを確認。

「以上だ。」

「んじゃぁ、オレの番かな。」

 へらへらと、ラウと呼ばれた男が言った。腕を伸ばし、肩をほぐし、首を回す。そして一呼吸。

「っおっし。」

 目が変わった、ように感じた。これは気迫によって感じるものだった。

 ラウは男の子の心臓を手にとる。よく見ると心臓には何やら印が刻まれてある。刺青のような、黒い模様が。

 へらへらと口数が多い方だったラウは一言もしゃべらず、その印を見定める。

 集中。

 意識をその印ひとつに注ぐ。そして、空いているほうの手の指、右手の人差し指と中指で印を抑える。その瞬間、炎のような、ゆらゆらと漂う黒い煙が昇った。

 無表情。

 だんだんと、黒い煙は治まる。

「……ふぅ。完了したぜ。」

 ゆっくりとラウは心臓から手を離す。

 そして3人は台を中心にし、自分たちの位置を修正した。地面には魔法陣。自分たちの立つ位置に小さな円が描かれている。上から見てちょうど正三角形のような位置取りだ。各々からオーラが出てきた。雰囲気とかではなく、しっかりと目に見える、力のあるものだ。色はそれぞれ違うが。そして、3人は顔を見合わせ、頷き、同時に叫ぶ。

「心身転移《ラン・デュ・オリソア》!」

 魔法陣から光が、各々のオーラは光が増す。風が出てきた。魔法陣の中心、台を中心に渦巻くように。最初は弱く、次第に強くなっていった。音は風の音だけだ。轟々(ごうごう)と。ローブがなびく。しかし、なぜかフードは飛ばされない。風が渦巻いて、渦巻いて、だんだんと中心へ、台へと集束していく。集束。とうとう風の渦が囲むのは男の子と獣の体ふたつになった。そして…

 バチンっ!

 破裂音。

 その音はさっきまでの風の音よりも大きかった。

 そして、その音と同時に風は止み、魔法陣、3人の者たちからの光やオーラは消えた。

 そして、2つの体の動きも消えた。

「ど、どうなったのだ?…」

 老人は言う。恐怖と希望の混じった声で。

 しかし、3人は答えない、いや答えられないのかもしれないが。

 ビクンっと獣の体が動いた。すると、体全体を纏うように光が現れ、その光が獣の心臓の上に球体状に集まる。体を纏っていた光は全て球体になった。体には光は無い。そして、その光はゆっくりと、ゆっくりと男の子の方へ動き、男の子の心臓の上に位置し、止まり、ゆっくりと、ゆっくりとその子の心臓へと吸い込まれた。

 ……沈黙。

「ここからは、私の番ね。」

 女は言う。ラウと同じように手を心臓に当てる。目を瞑り、何かを唱える。またも沈黙。そして……ドクンっと男の子の心臓が動いた。

 同時に鳴き声が響く。

 何かを悲しむように…

 何かを喜んでいるように…

 何かを絶望しているように…

 何かを切望しているように…

「無事、終了したわ。陛下成功です。」

 国王は答えなかった。

 こうして、運命が狂った。異分子が、希望が、厄災が、英雄が、悪魔が、その他多くの役割が生まれてしまった。一体どこへ向かえばいいのか、何をすべきなのか解らないままに…

   読んでいただきありがとうございました。

これからも頑張って書き続けます。

今後ともどうぞよろしく。

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