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「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま
第1章 追放と覚醒

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9話 「それ名前付きだろ」とコメントがざわついた

通路の奥から足音が聞こえた。

重い音だった。


ゴブリンとも違う。

オークとも少し違う。


一定の間隔で響いてくる。

ゆっくりだが、確実に近づいていた。


俺は短剣を握り直す。

罠を抜けた直後の通路は静かだ。


湿った空気。

石壁に染みついた苔の匂い。


その奥から、強い気配だけが近づいてくる。

スマホを見る。


同時視聴者数は58。

コメントが流れていた。



「また来る?」


「次は何だ?」


「ボス?」



俺は暗闇を見たまま答える。



「ミニボス級です」


「さっきより強いです」



コメントが増える。



「もう分かるのか」


「気配で判断?」



俺は少しだけ首を振る。

気配だけじゃない。


空気の揺れ。

足音の重さ。


壁に反響する音の大きさ。

そこから、大体の輪郭が見える。


身長は2メートル前後。

重量はオークに近い。


ただ、歩き方が違う。

もっと静かだ。


力任せではない。

そういう感じがした。


俺は通路の先を見る。

暗闇の奥。


そこに、わずかな赤い光が浮かんだ。

目だ。


次の瞬間。

影がゆっくり姿を現す。


リザードマンだった。


緑色の鱗。

細長い瞳。


人型だが、頭は明らかに蜥蜴。

片手には湾曲した剣を持っている。


しかも普通の個体じゃない。

体格が大きい。


肩には骨の装飾。

腰には赤い布。


魔力の圧も強い。

俺は小さく息を吐いた。


やっぱりだ。

ミニボス。


コメントが一気に流れる。



「何あれ」


「リザードマン?」


「普通のやつじゃなくね?」



俺は視線を外さない。

リザードマンもこちらを見ている。


目が合った瞬間、空気が変わった。

完全に敵として認識された。


俺はスマホを見る。



「通常個体じゃないです」


「かなり強いです」



コメントが流れる。



「ミニボスきた」


「逃げた方がよくない?」



逃げる。

その選択肢もある。


だが、通路は狭い。

背を向ける方が危険だ。


それに、相手の動きを見たい。

初動を読めば、もう十分だ。


俺は短剣を握る。

リザードマンはまだ動かない。


ただ、距離を測っている。

それが分かる。


普通のモンスターなら、もっと早く突っ込んでくる。

こいつは違う。


待っている。

相手の様子を見ている。


コメントが流れる。



「何で来ないんだ?」


「賢くない?」



俺は短く答える。



「様子を見てます」



コメントが返る。



「そんなことある?」


「モンスターだろ?」



俺はリザードマンの足元を見る。

重心が安定している。


剣先もぶれていない。

呼吸も浅い。


戦い慣れている動きだ。

ただの突進型じゃない。


俺は視線を全身へ走らせる。

腕の長さ。


脚力。

鱗の厚さ。


特に首と胸の鱗が硬い。

正面からの一撃は通りにくい。


腰。

脇腹。

太腿の付け根。


そこだけ少し薄い。

最初の弱点候補だ。


まだ動いていない。

だから候補のままでいい。


最初の一手で、全部確定する。

そこまで見えれば十分だ。


スマホを見る。

同時視聴者数は66。


コメントの勢いが変わっていた。

明らかに、みんな緊張している。


コメントが流れる。



「これ強そう」


「今までと違う」


「新人大丈夫か?」



俺は苦笑する。



「今までで一番強いです」



コメントが返る。



「断言するな」


「逆に怖い」



リザードマンが一歩だけ前に出た。

靴音はしない。


鱗が擦れる小さな音だけが響く。

やっぱり静かだ。


剣の角度が変わる。

半身。


踏み込みの姿勢だ。

速い。


俺は短剣を低く構える。

通路の幅は狭い。


大きく回避する余地は少ない。

壁を使うしかない。


その時、画面にコメントが流れた。



「待って」


「そいつ、名前付きじゃない?」



俺は一瞬だけ眉をひそめる。

名前付き。


スマホのカメラを少し寄せる。

リザードマンの胸元。


骨の首飾り。

その中央に、小さな鉄板が下がっていた。


文字が刻まれている。

潰れているが、読める。


俺は小さく呟いた。



「……ガルド」



コメントが一気に流れた。



「名前あるじゃん」


「ミニボス確定」


「やばいの来た」



俺は視線を戻す。

ガルドと呼ばれたリザードマンは、わずかに口角を上げた。


笑ったように見えた。

気のせいじゃない。


こいつは普通のモンスターより知能が高い。

面倒な相手だ。


だが、問題ない。

最初の一手で分かる。


その瞬間、この戦闘はほとんど終わる。

そこまで見えれば、十分だ。


後ろは罠地帯。

戻れなくはない。


だが、背中を見せた瞬間に追いつかれる可能性が高い。

それなら、正面で見る方がいい。


コメント欄が速くなる。



「始まる」


「やばい」


「新人死ぬなよ」



俺は短剣の柄を強く握った。

視線は剣先、肩、足元へ走る。


全部見る。

全部読む。


そうしないと生き残れない。

ガルドが一歩踏み込んだ。


そして、低い声で喉を鳴らす。

次の瞬間。


通路の空気が張り詰める。

俺は小さく呟いた。



「……来ます」

続きが気になる方はブクマしてもらえると更新追いやすいです

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