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「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま


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5話 新人なのにおかしいと気づかれ始めた

その後何度かゴブリンとの戦闘を繰り返した。


するとダンジョンの通路は静かになる。

さっきまでの戦闘が嘘みたいだ。


湿った空気が流れている。

石壁には苔が張り付き、床にはゴブリンの血が広がっていた。


俺は短剣を鞘に戻す。

腕の力がゆっくり抜けていく。


心臓の鼓動はまだ少し速い。

戦闘が終わると、急に疲れを感じた。


俺はスマホを見る。

配信はまだ続いている。


同時視聴者数。

12。


さっきより増えていた。

コメントも流れている。



「新人?」


「普通に勝ってた」


「ソロでCランク?」



俺は少し苦笑する。



「一応、ソロです」



コメントが続く。



「さっきの回避すごかった」


「ゴブリンの動き読んでたよな」



俺はゴブリンの死体を見る。

戦闘の動きが、まだ頭に残っていた。


ナイフを振る前の肩の動き。

踏み込む前の重心移動。


足の向き。

視線の流れ。


攻撃の前には、必ず小さな予兆がある。

俺にはそれが見える。


俺はスマホを見た。



「多分、スキルのおかげです」



コメント。



「スキル?」


「何の?」



俺は答える。



「観察です」



コメント欄が少し止まる。

それから、また流れ始めた。



「観察?」


「どんなスキル?」



俺は少し考える。

説明するのは難しい。


それでも、できるだけ簡単に言うしかない。

俺は通路の奥を見たまま口を開く。



「モンスターの動きとか弱点とか、全部先に分かります」



コメント。



「それ強くない?」


「当たりスキルじゃん」



俺は首を振る。



「戦闘能力はゼロです」


「だから、ハズレスキルって言われてます」



コメントが増える。



「でも勝ってた」


「普通に戦えるじゃん」



俺はゴブリンの死体を見る。

相手がゴブリンだったから戦えた。


動きが単純で、予兆も大きい。

だから読み切れた。


俺は短く答える。



「ゴブリンだからです。

強いモンスターだと、まだ分かりません」



弱いとは言わない。

今は、それが正しい気がした。


コメント欄が流れる。



「でも回避うまかった」


「ナイフ全部避けてた」



俺は少し考える。

うまい、というよりも違う。


避けるというより、来る場所にいないだけだ。

そう表現した方が近い。


俺はスマホを見て答える。



「攻撃の前に少し動きがあるんです」



コメント。



「予備動作?」


「なるほど」



俺は頷く。



「それが分かるだけです」


「来る場所が先に見える感じです」



コメントがざわつく。



「それだいぶ強くない?」


「未来視みたい」



俺は苦笑する。

未来視に近いと言えば近い。


ただ見えているのは、相手の癖と予兆だけ。

ただ、それが重なると、結果として先に分かる。


同時視聴者数が増える。

12。

16。

21。


数字はまだ小さい。

それでも、確実に伸びていた。


コメントが流れる。



「新人配信者?」


「ランキングで見たことない」



俺は笑った。



「今日が初配信です」



コメント欄が一瞬止まる。

次の瞬間、一気に流れが速くなった。



「初?」


「マジで?」


「それでCランクソロ?」



俺は肩をすくめる。



「さっきパーティ追放されたので」



コメントがざわつく。



「追放w」


「テンプレきた」


「でも強くね?」



俺は苦笑する。

否定できない。


追放されたのは事実だ。

ただ、今こうして配信している自分を、数時間前の俺は想像していなかった。


俺は通路の奥を見る。

ダンジョンはまだ続いている。


暗い通路。

湿った石壁。

遠くの気配。


モンスターは、まだいる。


スマホを見る。

同時視聴者数。

24。


小さな数字。

それでも確かに増えている。


コメントがさらに流れていく。



「新人なのに落ち着いてるな」


「観察、普通に強そう」



その中に、一つだけ違うコメントが混じった。



「……今の動き」



少し間を置いて、続く。



「完全に読んでるわね」



コメント欄がざわつく。



「誰?」


「詳しい人いる」


「プロ?」



俺はその一文を見つめる。

書かれていることは正しい。


さっきの戦闘は、全部読んでいた。

だから勝てた。


ただ、そのコメントは少しだけ違った。

見ていた側の理解が深い。


俺は短く返した。



「そうかもしれません」



すぐにコメントが続く。



「それで続けるの?」


「帰るの?」



俺は少し考える。

地上まで戻るには距離がある。


途中でモンスターに遭遇する可能性も高い。

それなら探索を続けても、大きな差はない。


むしろ、今の俺にはその方が都合がいい。

配信も続けられる。


俺は短剣を握る。



「もう少し探索します」



コメントが流れる。



「いいね」


「続き見たい」


「観察見せてくれ」



俺はゆっくり歩き出す。

通路は静かだった。


だが、その静けさに違和感がある。

床の色。


石の継ぎ目。

魔力の流れ。


罠だ。


そう判断した瞬間――

ほぼ同時にコメントが流れた。



「そこ、踏むと矢が来る」



コメント欄が一気に跳ねる。



「マジ?」


「今の何者?」



俺は一瞬だけ足を止める。

今のは、俺が気づいたのとほぼ同時だった。


偶然じゃない。

見えている人間のコメントだ。


俺は右へ半歩ずれる。

そのまま安全地帯だけを踏んで通り抜ける。


背後で小さく風が鳴る。

罠が、作動しかけて空振りした音だ。


コメントが流れる。



「本当に罠あった」


「同時に気づいた?」



俺は正直に答えた。



「気づいたのは、ほぼ同時です。

今のコメント、かなり詳しいですね」



コメント欄がざわつく。



「高ランク探索者?」


「プロ潜ってる?」



名前は非表示だから分からない。

だが、少なくともダンジョンを理解している人間だ。


それも、かなり深く。

少しだけ気になった。


同時視聴者数は28。

数字がまた増えている。


コメントが流れる。



「新人配信いいな」


「なんか当たり引いたかも」



俺は短剣を握る。

ダンジョンの探索は、まだ始まったばかりだ。


その時。

通路の奥から音がした。


足音。

重い。


さっきのゴブリンとは違う。

一歩ごとの圧が強い。


コメントが流れる。



「何か来る」


「次の敵か?」



俺は暗闇を見る。

影がゆっくりと近づいてくる。


背が高い。

人型。


そして、明らかにゴブリンより大きい。

俺は息を整える。


骨格。

歩幅。

重心。


見ただけで分かる。

さっきまでとは違う。


弱点も、動きも、まだ完全には読めていない。

だからこそ、観る。


次の瞬間。

巨大な影が姿を現した。


オーク。

ゴブリンとは、比べ物にならない圧だった。



「観察が間に合わなければ、終わる」

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