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「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま
第2章 バズと共闘

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25/40

25話 無駄な戦闘を全部切り捨てて最短ルートでボス部屋まで到達した

同時視聴者数5000超え。

その数字が、まだ画面の右上に残っていた。


だが、見ている暇はない。

通路の奥から、重い気配が近づいている。


俺は前を見る。

凛も、ひなたも、もう余計なことは言わない。


さっきまでの驚きは残っている。

それでも2人とも、戦闘の空気には完全に入っていた。



暗がりから姿を現したのは、大型の魔獣だった。

四足の黒い獣だ。


低い姿勢。

長い牙。

気配は重い。


だが、動きは単純だった。

俺は一瞬だけ観察する。


筋肉の付き方。

足の角度。

首の振り。


十分だ。

ここで時間は使わない。



俺は短く言う。



「左へ流します。凛さん、足止めだけ」


「了解」


「私は?」


「今は待機で」


「分かりました!」



コメントが流れる。


「指示早い」


「もう流れ作ってる」



魔獣が飛び込んでくる。

速い。


だが、直線だ。

俺は半歩だけ動く。


左へ誘導。

凛の雷が走る。


脚が一瞬止まる。

それで十分だった。


魔獣の突進は軌道をずらし、そのまま壁へ流れた。

衝突音が通路に響く。


俺は振り向かない。



「無視で行けます。進みます」


「倒さないんですか!?」


「無駄です」



コメント欄が一気に流れた。


「出た」


「無駄判定」


「好き」



そのまま進む。

背後で魔獣が起き上がる気配がする。


だが追ってこない。

通路幅、雷のタイミング、突進後の姿勢。


全部込みで、追えない位置に入っている。



凛が横目で俺を見る。



「今のも読んでた?」


「追える角度じゃなかったので」


「合理的」



ひなたが興奮した声を出す。



「今の普通にすごくないですか!?

倒さないで抜けましたよ!」



コメントが流れる。


「それが上手い」


「攻略配信って感じ」



通路の先が少し広くなる。

小部屋が見えた。


普通なら中に敵がいる構造だ。

だが気配は薄い。


俺は入口で止まる。

床を見る。


右に擦れ跡。

左に泥。

中央だけ綺麗すぎる。


踏ませる罠だ。



俺は指を差す。



「中央は踏まないでください。右沿いで抜けます」


「また罠ですか?」


「落下式です。踏んだ瞬間に床が抜けます」



コメント欄が流れる。


「また見抜いた」


「ダンジョン解析えぐい」



凛が床を見たまま言う。



「痕跡がある。他の探索者が一度踏んでる」


「多分、引き返してます。正面突破した形跡がない」



ひなたが小さく息を漏らす。



「そこまで分かるんですね……」


「分かるというより、残ってるだけです」



コメントが跳ねる。


「言い方が強い」


「これもう先生だろ」



右沿いを進む。

落とし穴の縁だ。


安全な幅は狭い。

だが十分に通れる。


凛は迷わず進む。

ひなたも武器を傾けて抜けた。


何も起きない。

そのまま部屋を出る。



通路へ戻る。

ここから先の空気がさらに濃くなる。


深部が近い。

魔力の流れが変わっている。


俺は壁を見る。

左側は魔力が薄い。


空洞がある。

だが、使えない。

崩れやすいからだ。


右側は逆に密度が高い。

構造が安定している。


本線。

ボス部屋へ繋がる道だ。



俺は視線を向ける。



「このまま真っ直ぐです。分岐は全部無視で」


「全部分かる?」


「全部じゃないです。でも今はかなり読みやすいです」



コメントが流れる。


「読みやすいって何」


「感覚バグる」



ひなたが俺の横に並ぶ。



「他の人って、ここどのくらいかかるんですか?」



コメント欄が一気に流れる。


「普通20分前後」


「安全進行ならもっと」


「今かなり速い」



俺は少しだけ目を細める。

やっぱり、そうか。


自分では比較しづらい。

だが、視聴者が言うならそうなのだろう。


凛も言う。



「かなり速い。しかも消耗が少ない」


「じゃあ、最速狙えます?」


「多分」



コメント欄が跳ねる。


「来た」


「最速宣言」


「神回継続」



そのまま進む。

通路はますます静かになる。


敵の気配がない。

それが答えだった。


深部へ近づくほど、雑魚は減る。

代わりに気配は一つに集まる。


つまり、ボス部屋が近い。



俺は立ち止まる。

左の細い横道だ。


壁には爪痕。

床は荒れている。


遠回り。

しかも、さっき誰かが戦ったばかりの跡がある。


凛も気づいたらしい。



「別の配信者?」


「たぶん、遠回りしてます。正面ルートを見つけられてないです」



コメントが一気に流れる。


「比較やば」


「こっちが正解」



ひなたが目を丸くする。



「じゃあ私たち、かなり早い?」


「かなりどころじゃない」



その言葉の重さに、ひなたが一瞬黙る。

それから、にやっと笑った。



「……気持ちいいですね!」



コメント欄が笑いで埋まる。


「素直でよろしい」


「分かる」



俺は少しだけ苦笑する。

たしかに、悪くない感覚だ。


無駄がない。

ルートが見える。

通せる。


かなりやりやすい。



スマホが震える。

配信アプリからの通知だった。


注目配信1位に掲載されました。


その表示と同時に、数字がまた動く。

5007。

5288。

5514。


ひなたが声を上げる。



「まだ増えてる!?」


「最速攻略が見えてるから視聴者が離れない」



コメントが流れる。


「それな」


「今一番見たいのこれ」



通路の先。

巨大な扉。


石造り。

刻印。

魔力の圧。


間違いない。

ボス部屋だ。



「うそ……もう?」


「早い」


「最短です」



コメント欄が爆発する。


「来たあああ」


「ボス部屋」


「最速じゃん」



俺は扉の前で止まる。


短時間。

無消耗。


理想形だ。


向こうにいる。

濃い気配。

重い魔力。


次が、このダンジョンの核心だった。


俺は短剣を握り直す。

凛も静かに構える。


ひなたは大鎌を肩に乗せたまま、少しだけ息を整えた。


コメント欄はもう読めない。

それでも、熱だけは分かる。


今この瞬間を、全員が待っている。



俺は小さく息を吐いた。

視線は、扉の向こうへ向く。


凛が静かに言う。



「最速、狙う?」


「やりましょう!」



俺は頷く。



「……行きます」



一拍置いて、続ける。



「更新します」



扉に手をかける。


――この配信、まだ伸びる。

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