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「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま
第2章 バズと共闘

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24話 同時視聴者数が5000人を超えて、配信が完全に止まらなくなった

オーガが倒れた後も、通路の熱は下がらなかった。

静かなはずのダンジョンなのに、空気だけが騒がしい。


原因は分かっている。

画面の向こうだ。


俺はスマホを見る。

同時視聴者数。


1342。

まだ増えている。


コメント欄の流れは、もう追いきれない。

文字が塊になって流れていく。


ひなたが身を乗り出した。



「これ、ほんとに増えてますよね!?」



俺は頷く。



「かなり」



凛も画面を見る。

その目がわずかに細くなる。



「跳ね方が早い」



コメントが流れる。



「今来た」


「神回避のとこから来た」


「例の新人どこ」



俺は苦笑した。

ついさっきまで、視聴者1000人で驚いていた。


それが今は1300を超えている。

配信の世界は速すぎる。


通路の先から新しい気配はない。

少なくとも、今すぐ戦闘にはならない。


俺は短剣を鞘に戻す。

ひなたも大鎌を少し下ろした。



「少しだけ、落ち着きましたね」



ひなたがすぐに返す。



「こっちは全然落ち着いてないです!」



コメント欄が跳ねる。



「分かる」


「ひなたかわいい」


「正直でよろしい」



凛は淡々と前を見る。



「配信としては、今が一番危ない」



俺は少しだけ首を傾げた。



「危ない?」



凛は短く答える。



「ここで失速すると、熱が切れる」



コメントが流れる。



「それはそう」


「凛ガチ勢の意見だ」



俺はその言葉を頭の中で転がす。

たしかに、今は流れの途中だ。


ここで気を抜けば、空気が落ちる。

逆に、もう一つ見せられれば伸びる。


ひなたが前を見る。



「じゃあ、次も行きましょう!」


「まだまだ見せられます!」



凛は少しだけ間を置いて言う。



「悪くない判断」



俺は前方を見る。

分岐はない。


通路は真っ直ぐ。

魔力の流れも単純だ。


深部まで近い。

だからこそ、遭遇率も上がる。


俺は短く言う。



「進みます」



コメントが一気に流れた。



「待ってました」


「続行助かる」


「5000いけ」



5000。

その数字は少し現実味がなかった。


だが、画面の勢いを見ると、不可能とも言い切れない。

俺は前へ踏み出す。


凛が並ぶ。

ひなたが後ろから続く。


歩幅が少しずつ揃い始めていた。

さっきより自然だ。


コメントが流れる。



「もうパーティじゃん」


「息合ってる」



その時、スマホが震える。

配信アプリの通知。


おすすめ急上昇、継続掲載。


その表示と同時に、数字がまた動いた。


1342。

1498。

1631。


ひなたが本当に驚いた顔をする。



「増え方、おかしくないですか!?」



俺も少しだけ同意したかった。

だが、口から出たのは別の言葉だった。



「ちょっと、速いですね」



コメント欄が笑いで埋まる。



「ちょっとじゃない」


「感覚バグってる」



凛は画面を見たまま言う。



「クリップが回ってる」



俺は短く返す。



「まだですか」



凛は頷いた。



「さっきのオーガ戦」


「見映えがいい」



コメントが流れる。



「凛の解説ありがたい」


「そこまで計算してるのか」



俺は正直に言う。



「計算はしてないです」


「たまたまです」



ひなたがすぐに反応する。



「たまたまであれは無理です!」



コメントがまた跳ねる。



「正論」


「ひなたのツッコミ助かる」



そのまま進む。

通路の先で、気配が二つ動いた。


速くはない。

雑魚だ。


俺は口を開く。



「前、2」



凛が即座に返す。



「左を取る」



ひなたも続く。



「じゃあ右いきます!」



影が飛び出す。

コボルト。


短剣持ち。

動きは軽い。


凛の雷が先に走る。

左の個体が一瞬で崩れた。


ひなたが大鎌を振る。

右の個体をまとめて吹き飛ばす。


俺は何もしていない。

それでも、十分だった。


コメント欄が流れる。



「処理早っ」


「もう雑魚が雑魚じゃない」



俺は少しだけ息を吐く。

この2人、本当に強い。


指示を出す側としてはやりやすい。

見えたものを、そのまま形にしてくれる。


しかも、視聴者から見ても分かりやすい。

伸びる理由が、少しだけ分かった気がした。


スマホを見る。

同時視聴者数。


1844。

1972。

2140。


ついに2000を超えた。

だが、驚く暇もない。


コメント欄の流れが変わった。

明らかに新規が増えている。



「D-Shareから来た」


「おすすめにいた」


「何この配信」



ひなたが俺を見る。



「2000超えてます!」



俺は頷く。



「見えてます」



ひなたは少しだけ笑う。



「そこはもっと驚いていいと思います!」



コメントが流れる。



「分かる」


「感情どこいった」



凛は淡々としていた。



「まだ伸びる」



俺は思わずそちらを見る。



「まだですか」



凛は短く答える。



「ここからは、数字が数字を呼ぶ」



コメント欄がざわつく。



「配信者っぽいこと言ってる」


「説得力ある」



その時。

また通知が入る。


白石凛のD-Share投稿が共有されました。


俺は目を細める。

横を見る。


凛は平然としていた。

たぶん、意図的だ。


ひなたが声を上げる。



「え、今投稿したんですか!?」



凛は短く答える。



「一言だけ」



コメントが爆発する。



「見た」


「凛が宣伝した」


「そりゃ伸びる」



俺は画面を開かない。

今は前を見る方が先だ。


だが、数字だけで十分だった。

同時視聴者数がまた跳ねる。


2140。

2488。

2912。


さすがに息を呑んだ。

ひなたも完全に目を丸くしている。



「3000見えてるじゃないですか……」



俺は短く返す。



「ですね」



コメント欄が加速する。



「3000いけ」


「もう止まらん」



そのまま進む。

今度は小部屋に出た。


広さがある。

視界が開ける。


戦いやすい。

そして、配信映えする。


気配は三つ。

まとめて来る。


俺は口を開く。



「前、3」


「ひなた、中央」


「凛さん、左右を」



凛は即答。



「了解」



ひなたも力強く頷く。



「いきます!」



モンスターが飛び出す。

リザード2体。

後ろにオーク1体。


凛の雷が左右を貫く。

ほぼ同時。


ひなたの大鎌が中央を吹き飛ばす。

重い音が響く。


そこへオークが踏み込む。

俺は前に出る。


棍棒の角度。

踏み込みの深さ。

全部見える。


半歩ずらす。

懐へ。


短剣を突き出す。

首元。


一撃。


静寂が戻る。

その直後、コメント欄が爆発した。



「神回」


「ずっと神回」


「これ配信として強すぎる」



俺はスマホを見る。

画面の右上。


3918。

4276。

4689。


あと少し。

本当にそこまで来ていた。


ひなたが声を震わせる。



「これ……」



凛も静かに画面を見る。



「行く」



俺は思わず息を止める。

数字が動く。


4689。

4822。

4961。


コメント欄が埋まる。

読めない。


そして。


5007。


同時視聴者数。

5000を超えた。


ひなたが声を上げる。



「いった!!」



コメント欄が完全に爆発した。



「5000きたあああ」


「やばい」


「本物だ」



俺は数秒、画面を見つめる。

頭が少しだけ遅れる。


1000人で驚いたのが、ついさっきだ。

それが今は5000。


凛が短く言った。



「通過点」



ひなたが笑う。



「かっこよすぎません!?」



俺はようやく息を吐く。

そして、少しだけ笑った。



「……思ったより」


「すごいことになってますね」



だが、まだ終わりじゃない。

通路の奥。

さらに重い気配が動いた。


さっきまでとは違う。

明らかに、格が上。


俺は短剣を握り直す。



「……来ます」



――この配信、まだ止まらない。

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