表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま
第2章 バズと共闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/30

22話 分かれ道を見抜いて最短ルートに進んだら、強い気配に当たった

罠地帯を抜ける。


空気が変わった。

わずかに湿度が上がる。


通路はそのまま続いている。

だが、すぐ先で左右に分かれていた。


見た目に大きな差はない。

幅も同じ。


壁の材質も同じ。

初見なら迷う造りだ。


俺は足を止める。

凛とひなたも自然に止まった。


ひなたが左右を見比べる。



「分かれ道ですね」


「どっち行けばいいんですか?」



コメントが流れる。



「右っぽい」


「いや左だろ」



俺はすぐには答えない。

床を見る。


石の継ぎ目。

摩耗の方向。


壁の傷。

空気の流れ。


さらに、魔力の濃度。

その偏りも確認する。


左の通路は、空気が少し重い。

流れが悪い。


魔力もわずかに滞っている。

行き止まりか、遠回りだ。


右は違う。

奥へ向かう流れがある。


俺は右を見たまま言う。



「右です」



ひなたがすぐに反応する。



「もう分かったんですか!?」



凛は俺を見る。



「根拠は?」



俺は短く答える。



「空気の流れです。あと、魔力の偏り」



ひなたが首を傾げる。



「そんなの見て分かるんですか?」



俺は頷く。



「見てるというより、読む感じです」



コメントがざわつく。



「何それ」


「攻略配信になってきた」



凛は左右の通路を改めて見る。

壁、床、奥の暗がり。


それから短く言った。



「ダンジョンの構造を読んでる」



俺は少しだけ考える。

表現としては近い。



「たぶん、そうです。

完全には分かりませんけど」



コメントが流れる。



「完全じゃないのが逆に怖い」


「それで当てるのか」



ひなたが感心したように息を漏らす。



「すごいなあ……

私、全然同じに見えます」



俺は右の通路へ一歩踏み出す。

2人も続く。


通路は静かだった。

さっきまでの罠地帯より、明らかに整っている。


床の割れが少ない。

壁の傷も浅い。


さらに進む。

数メートルで違いがはっきりした。


右の通路には、余計な戦闘痕が少ない。

つまり、無駄な接敵が少ない。


最短ルートに近い。

そういう作りだ。


凛が床を見たまま言う。



「たしかに、通りやすい」



俺は頷く。



「左はたぶん戦闘が多いです。

遠回り用だと思います」



コメントが流れる。



「本当に差あるんだ」


「見抜くのえぐい」



さらに歩く。

少し先で、別の通路と合流した。


左ルートだ。


見た瞬間に分かる。

状態が悪い。


床には引きずった跡。

壁には斬撃痕。


折れた矢。

割れたポーション瓶。


戦闘の痕跡が濃い。

かなり無駄に消耗している。


ひなたが顔をしかめる。



「うわ……めっちゃ戦ってますね」



凛も視線を細める。



「しかも複数回」



俺は短く言う。



「遠回りです。多分、初心者が迷いやすい方です」



コメントが流れる。



「罠だなあ」


「他の探索者かわいそう」



俺は足元を見る。

左ルート側には、泥のついた足跡も残っていた。


人数は3か4。

戻った跡もある。


進めずに引き返したらしい。

そういう痕跡だった。


俺は右の通路へ向き直る。



「このまま行けば最短で深部に着きます」



ひなたが目を丸くする。



「早っ!」


「もうそんなに分かるんですか!?」



俺は答える。



「通路の流れが単純なので、今は読みやすいです」



凛が静かに言う。



「戦闘だけじゃないのね」



俺は少しだけ笑う。



「そっちの方が本来は得意です」



コメントが一気に流れた。



「そっちが本業?」


「戦闘おまけなのかよ」



ひなたが本気で驚いた顔をする。



「いやいや!」


「戦闘も十分おかしいですって!」



コメントが跳ねる。



「ひなた正論」


「それはそう」



そのまま先へ進む。

空気が少しずつ重くなる。


魔力も濃くなる。

深部が近い。


俺は通路の奥を見る。

見えない。


だが、いる。

強い気配だ。


さっきまでの雑魚とは違う。

一段階上。


凛もそれを感じたらしい。



「……強い」



ひなたも笑顔を引き締める。



「ですね。ちょっと楽しみかも」



コメントが流れる。



「ボス前?」


「盛り上がってきた」



俺は短剣を握る。

ここまでで十分分かった。


このダンジョンは単純だ。

だからこそ、最短ルートも読みやすい。


逆に言えば、ここから先は分かりやすく危険になる。


俺は2人を見る。



「この先」


「多分、強めの敵がいます」



凛が短く返す。



「問題ない」



ひなたも大鎌を握り直す。



「行けます!」



コメント欄はもうかなり速い。

読める量を超え始めていた。


それでも、空気は伝わる。

期待している。


この3人で、次をどう越えるのか。

そこを見たがっている。


同時視聴者数。

903。

951。

998。


1000が見えてきた。

俺は画面を一度だけ見て、すぐ前へ戻す。


今は数字より先だ。

見るべきものは奥にある。


俺は小さく息を吐く。

視線を通路の暗がりへ固定する。



「準備いいですか」



凛が頷く。



「いつでも」



ひなたも笑う。



「大丈夫です!」



俺は一歩踏み出す。

その瞬間。


奥の気配が、ゆっくり動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ