21話 罠だらけの通路を完全攻略した
通路の空気が変わる。
さっきまでとは違う。
気配がない。
静かすぎる。
俺は足を止める。
凛とひなたも同時に止まった。
「ここから先、罠地帯です」
ひなたが目を丸くする。
「え、もう分かるんですか?」
俺は短く答える。
「気配がないのが不自然です」
「普通は何かいる」
凛が周囲を見る。
「つまり、代わりに罠がある」
俺は頷く。
「そういうことです」
コメントが流れる。
「来た」
「罠ステージ」
俺は床を見る。
石の継ぎ目。
わずかなズレ。
壁の穴。
天井の影。
全部見える。
一歩先。
踏めば、来る。
俺は短く言う。
「ここからは、俺の指示で動いてください」
凛は迷わない。
「任せる」
ひなたもすぐに頷く。
「はい!」
俺は床を指す。
「まず、そこは踏まないでください」
「その右を通ります」
ひなたが足を止める。
「ここ危ないんですか?」
俺は頷く。
「踏むと前後から矢が来ます」
凛が壁を見る。
「連射型」
俺は答える。
「はい、しかも時間差です」
コメントが流れる。
「見えてるのかよ」
「やばすぎ」
俺は一歩進む。
安全な位置だけを踏む。
わずかな隙間。
普通なら気づかない。
俺は振り返る。
「このラインをなぞってください」
凛が先に動く。
正確に踏む。
一切迷いがない。
ひなたも続く。
「うわ、狭い……」
その瞬間。
罠が作動する。
壁が開く。
矢が飛ぶ。
だが、外れる。
3人とも、すでに外にいる。
「今の来た!?」
ひなたが振り返る。
「全然当たらなかった!」
凛が短く言う。
「位置を完全に把握してる」
コメントが流れる。
「指示ゲーじゃん」
「これ強すぎる」
俺はそのまま進む。
だが、終わりじゃない。
次の区画。
床が歪んでいる。
ここは違う。
踏んだ瞬間じゃない。
動いた瞬間に来る。
俺は止まる。
「次は移動罠です」
ひなたが首を傾げる。
「移動?」
俺は説明する。
「走ると反応します」
「ゆっくりでもダメです」
凛が聞く。
「ならどうする」
俺は短く言う。
「跳びます」
コメントが流れる。
「は?」
俺は床を見る。
安全地帯。
3つ。
その間は全部危険。
距離を測る。
問題ない。
俺は言う。
「俺の後に来てください」
凛が頷く。
「了解」
ひなたも構える。
「いきます!」
俺は踏み込む。
一歩。
跳ぶ。
次の安全地帯へ。
着地。
何も起きない。
続けてもう一度。
跳ぶ。
抜けた。
振り返る。
「今です」
凛が動く。
無駄がない。
同じ軌道。
音もなく着地する。
ひなたも続く。
「えいっ!」
大鎌を抱えたまま跳ぶ。
少し危うい。
だが――
問題ない。
ぎりぎりで乗る。
罠は作動しない。
「やった!」
ひなたが笑う。
「全部回避できました!」
凛は静かに言う。
「完全に制御してる」
コメントが爆発する。
「意味わからん」
「人間か?」
俺はそのまま進む。
最後の区画。
ここは分かりやすい。
だが、一番危険。
踏めば終わる。
俺は止まる。
「ここが最後です」
ひなたが息を呑む。
「全部罠ですか?」
俺は頷く。
「正確には、一箇所だけ安全です」
凛が聞く。
「どこ」
俺は一点を見る。
ほんのわずかな違い。
そこだけ沈んでいない。
「そこです」
コメントが流れる。
「見えるのかよ」
「無理だろ普通」
俺は短く言う。
「順番に行きます」
俺が踏む。
安全。
そのまま抜ける。
凛が続く。
正確に踏む。
外さない。
ひなたが最後。
「ここですね!」
踏む。
一瞬。
空気が止まる。
だが――
何も起きない。
「よし!」
ひなたが笑う。
「完全クリアです!」
コメントが一気に流れる。
「ノーダメ」
「完璧」
俺は息を吐く。
罠地帯を抜けた。
振り返る。
何も変わっていない。
だが、意味は大きい。
凛が俺を見る。
静かな視線。
「想像以上」
短く言う。
それだけで十分だった。
ひなたも頷く。
「本当にすごいです!」
コメントが流れる。
「確信した」
「こいつ本物」
俺は前を見る。
通路の奥。
次の気配。
少しだけ強い。
「……次、行きます」
凛が頷く。
「任せる」
ひなたが笑う。
「楽しみです!」
俺は短剣を握る。
ここから先さらに深くなる。
だが――
問題ない。




