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「無能」と追放された俺、観察スキルで全て見抜いて無双したら元パーティが崩壊した  作者: ささかま


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14/24

14話 「逃がさない」と有名配信者に言われた

通路の奥は静かだった。

もう新しい気配はない。


俺は壁にもたれたまま、スマホを見る。

配信はまだ続いていた。


同時視聴者数は173。

さっきより、また少し増えている。


コメント欄の流れも速い。

クリップから来たらしい新規が明らかに増えていた。



「クリップから来た」


「今のボス戦やばかった」


「本当に初配信?」



俺は苦笑する。



「本当に初です。

自分でも驚いてます」



コメントがさらに流れる。



「慣れすぎ」


「落ち着きすぎ」


「声が新人じゃない」



俺は小さく息を吐く。

慣れているわけじゃない。


ただ、戦闘の後は妙に静かになる。

そのせいで、声も落ち着いて聞こえるのかもしれない。


その時、配信アプリの通知が一つ浮かんだ。

認証済みアカウントからのリアクション。


名前を見て、わずかに眉が動く。


白石凛。


人気配信者だ。

探索者ランクはB。


ダンジョン配信ではかなり有名で、登録者も多い。

初心者でも名前くらいは知っている。



コメントが一気に流れる。



「凛だ」


「白石凛が反応してる」


「マジじゃん」



俺は通知を開く。

短い投稿だった。


『この新人、動きが異常に綺麗』

『反応じゃない』

『最初から分かって動いてる』

『あとで配信で見る』



俺は少し黙る。

画面を見つめたままになる。


コメント欄が一気に加速した。



「見つかった」


「終わったな、いい意味で」


「有名人に拾われた」



俺は正直に言う。



「ちょっと驚いてます」



コメントが返ってくる。



「そりゃそう」


「凛に触れられたら伸びる」


「一気に来るぞ」



同時視聴者数が動く。

173。

186。

201。


二百を超えた。

数字が変わるたびに、現実感が薄くなる。


数時間前まで、視聴者は一桁だった。

それが今はもう遠い。


スマホがまた震えた。

今度はD-Shareの通知だ。


トレンド欄に変化が出ていた。

トレンド三位。


『新人ソロでボス撃破』


その文字を見た瞬間、コメント欄がさらに速くなった。



「トレンド入った」


「マジで来てる」


「切り抜きから人増えるぞ」



俺は通路の先を見る。

静かなダンジョン。


湿った空気。

冷たい石壁。


こっちは何も変わっていない。

変わったのは画面の向こうだけだ。


コメントが流れる。



「凛の配信始まるかも」


「同時視聴されるぞ」


「見に行く」



俺は首を傾げる。



「同時視聴ってそんなにあるんですか」



コメントがすぐ返ってくる。



「ある」


「クリップ見ながら話す」


「配信者に拾われると一気に伸びる」



スマホがまた震えた。

今度は配信開始通知。


白石凛がライブを始めたらしい。


コメント欄がざわつく。



「始まった」


「凛、今見てる」


「同時視聴きた」



俺は少し迷う。

だが、コメントの勢いが早い。

向こうも俺のクリップを流しているらしい。



「今、映った」


「お前のボス戦流れてる」


「凛が褒めてる」



俺は小窓で白石凛の配信を開いた。


白いジャケット。

長い黒髪。

落ち着いた声。


画面の中の彼女は、俺のクリップを見ていた。


ちょうど、ガルドの尾をしゃがんで避ける場面だった。

凛は目を細めて言う。



「これ、反応じゃない」



少し間を置いて、続ける。



「最初から分かって動いてる。予測してる動き」



コメントが流れる。



「やっぱり?」


「新人じゃない?」


「観察系?」



凛は画面を見たまま言う。



「多分、観察か解析系」


「しかも、かなり精度が高い」



俺は自分の配信画面に戻る。

同時視聴者数がまた増えていた。


201。

217。

236。


コメントも一気に増える。



「凛が褒めてるぞ」


「本物認定きた」


「もう埋もれない」



俺は苦笑する。



「新人ではあります」



コメントが返る。



「そこじゃない」


「強さの話だ」



返す言葉に少し迷う。

見えるから避けられる。

見えるから通せる。


それだけだ。

だが、それが普通じゃないらしい。


その時、白石凛の配信で、もう一つ言葉が落ちた。



「少なくとも、埋もれる動きじゃない」



少し間を置いて、彼女は続けた。



「……私が直接、見に行く価値はある。

逃がさないわ、この人」



その一言で、向こうもこっちも同時にざわついた。


コメント欄が跳ねる。



「来た」


「接触確定じゃん」


「終わったな、いい意味で」



俺は小さく息を吐く。

これは、もう避けられない。


少し面倒だ。

だが、それ以上に――


この流れは、利用できる。


同時視聴者数は248。

まだじわじわ増えている。


スマホの通知は止まらない。

共有、フォロー、引用。


全部が一つの流れになっている。


追放された探索者。

その肩書きはまだ消えていない。


だが、それだけじゃない。


俺の配信は――

もう、元には戻らない。


その瞬間。

スマホが震えた。


新着通知。

白石凛からのダイレクトメッセージ。



「今、どこにいる?」

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