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あの果てしない空の果て  作者: kai
綾取廻編
5/13

5.沈まない太陽

Tips:三星会

有巣仁理が会長を務める「三星会」。成立は2年前、有巣が世界中のマフィアや暴力団を手当たり次第に潰し、残った資産と付いてきた人員を纏めたのが始まりである。

三星会は有巣を含む13人の幹部と東、西、南、北で構成され、前哨基地は主に先進国、本部は日本に置かれている。

なお、現在は有巣の指示により待機中であった所を綾取廻率いる能力者の一派に襲撃され、有巣以外の幹部全員が国外への逃亡を余儀なくされている。

「夕闇迫る、雲の上」

往来がまばらな高速道路、向かってくる車に避けられながら、有巣仁理はゆっくりと歩いている。

「いつも一羽で、飛んでいる」

太陽が沈む。陽光が消えると同時に、有巣の髪が赤く染まる。

「鷹はきっと、悲しかろう。」

有巣はゆっくりと瞬きをする。開いた瞳は、真紅の光を帯びている。

正面から向かってくるのは白いバス。どうやら制限速度を大幅に超過しているらしきそのバスは、大きな風圧と共に有巣の横を走り抜けた。

「アレか。」

遠ざかるバスの後部を視認した有巣は、深い前傾姿勢をとる。

前髪が地面に着くほどの大袈裟な準備姿勢で静止した数秒後、有巣は橋を破壊するほどの衝撃波と共にハイウェイを縦断した。

その時間は僅か0.2秒。能力により抵抗を無視している有巣の最高速度は光速を遥かに超える。

「うわああああーーー」

窓をすり抜けバスの内部に入り込む有巣。しかしバス内部の僅かな空間では止まり切らず、フロントガラスを割ってバスの前方に投げ出された。

「なんてな!!」

空中で身体を翻しバスを見据える有巣。フロントガラス以外の抵抗を無視して移動したためバスは既に遥か後方にある。

「“祈りの御手(アンブラハンズ)”!!」

右腕で振りかぶると、有巣の背後から無数の巨大な拳が出現する。

「“剛拳(メテオ)”!!」

止まりきれなかったバスは『剛拳』に衝突し、血飛沫と爆炎を振り撒きながら爆散する。その様子を見て、有巣は満足気に頷く。

その後間もなく、有巣は音も無しに夜の闇に消えた。



雑居ビルが立ち並ぶ閑静な大通り。日も沈み街灯と住居の窓から漏れる明かりを頼りに、天道穂香は力なく歩いている。

突如、一棟のビルが地面に沈む。溶解しマグマとなったビルの残骸は一際明るく辺りを照らし、四車線の道路を覆い尽くした。

「よォ。初めまして。」

赤髪の男が天道の前に立ちはだかる。

「俺は、炎藤乾太(えんどうかんた)。炎熱系最強でSクラスの能力者だ。」

お前は?と言わんばかりに炎藤は天道を凝視する。

「天道穂香...です。」

天道の足下でマグマが蒸発する。

アスファルトが沸騰する。立ち上る煙の嫌な匂いに、炎藤は顔を(しか)めた。

「お前...」

大気が膨張する。青い炎を手に纏い、天道は炎藤に向かって歩き始める。

一般的に、炎は温度が上がると共に赤、白、青の順に色が変化するといわれる。

「熱ッ!!」

天道が発する熱を受け周囲の建物が溶解し始める。炎藤は熱にある程度耐性があるものの、天道の温度で火傷してしまう。

崩壊したビルの残骸が地面に到達し溶解する。すかさず天道は手を伸ばし、溶解した液状の瓦礫を集約し大きな火球を作る。

膨張熱に煽られ飛散するマグマをギリギリで避ける炎藤。

(俺が火傷するなんて...!どんな性能してんだよ!!)

対抗して炎藤も青い炎を右手に纏い、銃のような形をとる。

「“熱拳(ねっけん)”!!」

炎が膨張する。同時に、天道の火球は掌ほどのサイズに圧縮された。

「“指銃(シガン)”!!」

青い炎が天道の顔面を目掛けて飛ぶ。しかし、

「“王の雫”」

天道の掌の火球が炸裂する。火球の光が夜闇を引き裂き、ビル街を跡形も残さぬように吹き飛ばす。

「ぐゥ......!クッソ......!」

爆発と熱を至近距離で喰らい、全身が焼け爛れた炎藤。しかし流石はSクラス、四肢を欠損する事なく身体の形を保っている。

(“気”を練れ...!回復するんだ......!!)

白いエネルギーに包まれ、徐々に火傷が快癒していく。その様子を、天道は上空から見ていた。

「やってくれたな...!」

先程の爆発により、かなりの広範囲が更地になっている。一般市民も大勢巻き込んだかもしれない。しかし、現在の天道穂香はそれを気にするつもりはない。

「無辜の市民を巻き込んで...それでも正義の味方かよ!!人の命を何だと思ってやがる!!」

大きく胸を膨らませ、冷えた夜風を肺に取り込む天道。燃え残った服の破片を払い、再度炎藤に視線を落とす。

「......避難指示は出ているハズです...それに...先に手を出したのは貴方です...」

重い破裂音。影が揺れ、天道の手に服が現れる。

「随分と余裕だなァ。舐めてんのか?」

数十秒後、天道の着衣が完了する。来たのは半袖のシャツと半ズボン。

「......“貧乳はステータス”...?」

“乳”の字が横に引き伸ばされているそのシャツを見て、炎藤は思わず思考を停止してしまった。

その一瞬の隙を逃さず、天道は炎藤の眼前に瞬間移動移動する。

「...へ?」

遅れて聞こえる破裂音。同時に、天道の拳が炎藤の顔面を捉えた。

殴り飛ばされた炎藤は、遥か後方にあるまだ倒壊していないビルに大きな凹みを作った。

空気が漏れる音、声にならない声、そして気を失い白目をむく炎藤。瞬間、また重い破裂音が響き、幾つかのビルが貫通され砕ける。

瓦礫が落ちきった後、着地した天道を見下ろす影。

「あれ、遅かったか。」

静まり返った空に声が響く。声のした方を見て、目の色を変える天道。

「有巣先輩!」

その時、少し遠くで積み重なった瓦礫が噴火する。

「おっと。」

落ちてくる火球を避ける有巣。のっそりと起き上がった炎藤は、有巣を見て苦笑する。

「...やべぇな......」

Tips:炎藤乾太

・175cm70kg

・目も髪も赤く、髪型はオールバック。

・職業は無し。

・能力は『獄炎』。炎熱系最強の能力。本人の熱耐性と“気”の操作精度により、最高温度は一万度を余裕で超えるSクラス能力。彼の炎に焼かれて原型を保てた者はいない(天道穂香を除く)。

・好物は坦々麺。

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